増井真也 日記 blog

木と土の建築を作ってみようと思う。

2025/08/12

写真は三内丸山遺跡の人が集まる建築として利用されていた縄文建築である。こんなダイナミックな建築は現代ではなかなか建たないけれど、普通のログハウスのように丸太を組んだり、こだわり大工さんの太鼓ばりを手刻みしたりの事例だってだいぶ減っている。人の手が入ることがそのまま価格に直結する時代においては、なかなか採用しにくいのである。

土だって同じである。割れる、剥がれる、流れる、自然のものだからこそカチカチには固まらない。だからあまり使われることもない。現代人はカチカチ、ツルピカでなければなかなか採用しないのである。なかなか作れないからだろうか、こういう建築に対する憧れはどうにも留まらない感情としていつも胸の中にある。

土をセメントのように使うと、コンクリートにはない温かさがある。三和土などはその良い例であろう。ニガリを用いる本格的なものから、セメントと混ぜて作る簡易的なものまである。縄文ではないけれど、昔の木組みは古材を購入することで再現できる。

今、本社の隣に小さな倉庫・多目的室を計画している。木と土の建築を作ってみようと思う。

3畳の茶室

2025/08/11

3畳の茶室を作った。とても小さいけれど、思いの詰まった茶室である。リビングのすぐ横に配置されており、くぐりを通って部屋に入る。床柱にはこぶし、床框には檜のサビ丸太を採用した。天井には木曽アルテックさんで作っていただいた網代、葦簀を使い軽やかな仕上げとしている。天井の段差を止める壁止めは、杉の細丸太を使った。

狭い部屋では、あまり重苦しい天井はない方が良い。壁は木摺下地を用いた土壁仕上げである。木摺下地は木摺へのめり込みも入れると約30mmもの厚さを塗ることができるので、とても重厚感のある壁仕上げとなる。厚塗りだからって何が違うの?の疑問を感じる方はぜひますいいのモデルハウスにお越しいただきたい。写真ではわからない違いを誰でも感じることだろう。左官は小沼充さんだ。小沼さんの土壁はふわっと塗り上げることが特徴で、藁のスサがうっすらと見えている柔らかい仕上げである。小さな部屋で、固い砂壁のような仕上げをすると天井の話と同じように、余計に狭く感じてしまうのだ。

建築学科や技能学校といった縦割りの教育では育たない感性の豊かな人材を育て、良い家づくりに繋げることができれば良いと思うのである。

2025/08/09

今日は、静岡県の松崎町にてA3ワークショップの打ち合わせをおこなった。同行していただいたのは、東京大学の権藤先生と大学院の学生4人である。お盆休み中ということでいつもより少々混雑しているが、それでも観光地とは異なり街はとても静かだ。15時、松崎町長やいつもお世話になっている伊豆の長八美術館の設立に深く関わった森さん、そして松崎蔵つくり隊の事務局を務める山本さんといったメンバーと共に前向きなお話を行うことができた。

この街は、養蚕や生糸の生産でとても栄えていた。また伊豆半島を迂回するための風街港としても利用されていたそうで、西風による火災を防ぐためのなまこ壁が一般の民家にも普及したことで、なまこ壁が街の風物詩になったそうだ。今回、なまこ壁通りを構成する二つの蔵を石山修武先生のご縁でますいいで所有し、その修復活動を通して伝統的左官技能の伝承を行うとともに、建築家、職人(左官)、芸術家の三者交わる活動によるデザインワークショップ(A3ワークショップ)を通して、ますいいスタッフだけでなく、関わる学生や若手職人さん達までも巻き込んだ成長に繋げようという試みを行なっている。建築学科や技能学校といった縦割りの教育では育たない感性の豊かな人材を育て、良い家づくりに繋げることができれば良いと思うのである。

今日は神奈川県にある富士川建材さんにて、スタッフを連れてのモルタル勉強会を行った。

2025/08/05

今日は神奈川県にある富士川建材さんにて、スタッフを連れてのモルタル勉強会を行った。ますいいは外壁に左官のモルタルの仕上げを採用している。このモルタル外壁というのは、能登半島沖地震以降とても見直されており、ラス網モルタルが持つ耐震力が住宅の倒壊を防いだというような研究結果も発表されている。一方でサイディングのハズレや落下などの事例も指摘されているので、地震への強さがモルタル人気の再興につながる予感もしているのである。それにしても原田社長以下、社員の皆様の熱心な講義を受けることができた。このような研修を住宅の品質の向上に繋げていくことはとても大切なことだと考えている。今月の勉強会のメインテーマに採用しようと思う。

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