増井真也 日記 blog

埼玉県建築士事務所協会の理事としての沿道耐震事業に参加。

2021/10/29

午前中、埼玉県建築士事務所協会の理事としての沿道耐震事業に参加。この事業は緊急時の輸送道路に面して建っている昭和56年以前に設計をされた建物の所有者に耐震診断を受けたことがありますか?などのアンケートを実施し、その実態と意識調査を行うものである。アンケート調査をしていると、本当にいろいろな人がいるもので、協力的な方もいればそうでない方もいてなかなか人生の勉強になる。建築というのはもちろん個人の所有物であるのだけれど、その場に建っていること自体で社会の一部になるというものでもある。大きな道路に面していれば、それがもし倒壊した時に他の人の命の救助の妨げになったりなどの可能性もあるわけなので、やはり所有者は社会的責任を感じなければいけない面もあるのだと思う。

以前赤と白のシマシマのデザインの住宅が社会問題になったことがあった。個人の所有物とはいえ外部のどこからでも見える、というよりその建築デザインの集合体によって街並みが形成される以上は、建築はそのデザインまでもが地域の資産であると言えるのだ。

午後、スタッフ全員が集まっての全体会議・研修会。この研修会も月に1回開催しているのでだいぶ定着してきたようだ。細かい技術研修というよりも建築を好きになり、より良い建築のデザインを行うことができるような思考の積み重ねになるような研修を行なっている。
「常に信義を重んじ、誠実な建築家・現場監督としての良識を持ち、住宅を中心とする建築設計・施工を通じて広く社会に貢献する」
この理念に少しでも近づけたのではないかと思う。

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埼玉県さいたま市にて設計中の茶室のある住宅

2021/10/28

埼玉県さいたま市にて設計中の茶室のある住宅、外観デザインスタディー。設計を進めるにあたり、屋根勾配を3寸にしたりの微変更をしてきたので、新しい模型を作ってみてその形を確認してみた。若干の勾配の変化なのだけれど、建物の外観の印象はだいぶシャープなデザインになったように思える。破風板にはガルバリウム鋼板をまく設計だったのだけれど、木製にした方がやはり印象が優しくなるような気がするので試しに木にしてみたがやはりこの方が良さそうだ。建物の内部に関してはこれまでかなり細かい部分まで茶道の動きとともに検討を重ねてきたのでこれでいよいよ工事に移ることができる。

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一生に一度の家族のための一大事である住宅。

2021/10/25

一生に一度の家族のための一大事である住宅。
しっかりとした構造のもと、安心して風雪、地震から守られて暮らしたいと誰もが思うはずである。
時とともに味わいが生まれ、柱に付いた古い傷を見るたびに家族の成長を思い出せる、そんな質感は大変魅力的だ。光や風の流れを感じて、ゆったりと暮らすことが出来るおおらかさは誰でも求めるものだろう。ささやかな自然を取り込み、家での暮らしにひろがりを与えてくれる庭との関係があればなお良い。暮らしの中の豊かな出来事を、しっかりとした構造の建築のなかで安心して体感できる、そんな住宅に住みたいと思う。
材料はローコストの要素に当てはまるものの中から、先のテーマに会うものを選び出して使用しよう。セルフビルドを取り入れ、コストのコントロールを行いながら、自然素材をふんだんに取り入れ、心地よい空間としよう。

これは、ある家作りを行うときにクライアントと一緒に作り上げたテーマである。

家作りのはじめには、まず「どのような家に住みたいかを自分の頭でイメージする」ことが大切だ。

世の中には様々な商品化されたパーケージ住宅が散在している。ヒノキ、防犯、収納量、構造、わかりやすいキーワードで飾られたそれらの住宅は一見住み心地の良い優れた商品に思えるが、敷地形状、法律、家族構成、予算、道路の状態など様々な条件に左右される建築というものは、展示場で見たものと同じ魅力を持つものがそう簡単に出来るわけがないのは明白だ。

大切なことは、そこで暮らすことになる自分自身がどのような環境の中で暮らしたいか、どのような風合いの中で暮らしたいか、そういうイメージを持つことだと思う。そして、そのイメージを建築として構成していくこと、これが建築家の役割である。建築家に提示するイメージは断片的なものでよい。暮らしの中の理想的なシーンを写真などで伝えることも有効だろう。それらの断片を、ひとつの立体に組み上げる作業こそ私たちのもっとも得意とするところであるからだ。

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今日は栃木県の那須烏山市に久々のカヤックに来た。

2021/10/24

今日は栃木県の那須烏山市に久々のカヤックに来た。ここから流れる那珂川という川は、西に八溝山系を抱えるとても豊かな川である。夏には鮎釣りが有名で、秋には鮭も遡上する。まだ紅葉にはちょっと早いけれど、夏の暑さが和らぎ水も澄んでいるまさに絶好の条件であった。僕はだいたい那須烏山駅からちょっと下ったところにあるベースから約15キロくらい下ることが多い。終わりは大瀬というやながある場所の少々先で、大瀬はその名の通り大きな瀬、なかなかスリルのある場所だ。今日は水量が少ないのでそれほどでもなかったけれど、大雨の後などは顔まで被るくらいの波が立っているので面白い。終了後、ベースに作られた野外サウナでのんびり過ごす。最高のアウトドア日和であった。

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下の写真は茂木製作所のボイラーである。この製品は一度火をつけると竹を燃料に湯を沸かすことができる優れものだ。竹はご存知の通り1年で高くそびえ立つ植物である。木のようにゆっくりの成長するのではなく、一晩で1mのびる時期もある。その竹を燃やして湯を沸かすなんともエコなボイラーなのだ。僕が通っているベースではこうして沸かした湯をためた五右衛門風呂に入ることができる。これがまた気持ちが良いのである。

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晩御飯の買い物に出かけて、どの食品を購入しようか迷っているとき

2021/10/21

晩御飯の買い物に出かけて、どの食品を購入しようか迷っているとき、その素材の鮮度や値段、産地など様々な情報を天秤に欠け、お財布の中身と相談して、購入する食品を決める、これは毎日普通に誰もが行っていることだと思う。

しかし家を建てるとなるとちょっと事情は違ってくるようである。「坪○○万円~」という値段があたかも住宅を坪によって構成される完成された商品のように感じさせ、購入する側もそれを疑わない。本当は一つ一つの部材の組み合わせによって作り上げるものなのに、何がどうなっているのか皆目わからないままに購入してしまう。でもちょっと考えてみて欲しい。家作りというものはそれほど難しいものではない。地盤を固め、基礎を作り、柱を立てて、屋根を掛ける。窓を付け、外壁を作り、内装工事をしたら、設備器具を取り付け、ほぼ完成だ。ひとつの家を作るのにかかわる職種がだいたい20職種くらいだろう。そしてそれぞれの職人さんが作り上げる材料の一つ一つをばらばらに書き出してもA4用紙30枚程度で全て書き出すことが出来るのである。

たとえばヒノキの柱と杉の柱の値段がどれくらい違うのか。1本あたりの価格の差はせいぜい2000円程度である。30坪の住宅だと70本程の柱を使うことになるのでその差はせいぜい14万円だ。もちろん産地や等級によって値段は異なるが、「ヒノキの家」というパッケージを自分で作り出しても実は30坪の住宅で坪当たり5000円もかからないという事実がわかったとき、初めて自分自身の頭で採用するかどうかを決定することが出来るであろう。

買い物に付き合ってくれるシェフや料理人がいるとしよう。フレンチのシェフか中華の料理人かによって多少の意見の違いはあるだろう。得意とする分野も違う。でもプロとして材料を吟味し、安くておいしい献立を考えてくれる存在がいるとしたら大変助かる。私はそういう細かい比較検討を行ううえで、プロの技術者としての客観的な意見と建築家としての広い視野を持って、家についてクライアントと一緒に考えてくれる存在が建築家であると考える。フレンチと中華が違うように建築家にも様々な方がいる。それはその方のこれまで作った作品を見て判断してみて欲しい。

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昨日とても悲しい知らせがあった。

2021/10/20

○昨日とても悲しい知らせがあった。僕が川口市立前川東小学校という小学校の5年生から6年生の間同じクラスだった友人の奥様が亡くなったというのだ。まだ47歳、僕と同じ年齢だけに本当に悔やまれる死である。今日はそのお通夜、僕は受付のお手伝いをさせていただいた。お子さんは大学一年生の女の子が一人、通夜の席では友人のTとともに笑顔で過ごしていた。きっと今日は泣かないで過ごすと決めていたのであろう。お母さんの死は何よりも辛いことだと思う。それなのに笑顔で過ごすなんて僕にはできるかどうかわからない。とても強い、そして綺麗な心を持っていないとそういうことは実際に行うことはできないと思うのである。

お通夜が終わり人がいなくなった頃、お清めに友人たちと酒を飲んでいると、友人のTもやってきてくれた。僕たちは皆明るく時を過ごした。亡くなった奥様もきっとそれを望んでいるとおもったし、もしも一人が泣き出したら絶対にみんなが泣き出してしまうだろうというような気もしていた。人の人生なんていつ何が起こるかわからない、そんなことを強く感じた1日だった。

「今を生きる」という映画を思い出した。この映画は僕が高校生の時に担任の英語の先生が授業で見せてくれたものだ。主演はロビン・ウィリアムス、1989年ごろの映画である。この映画を紹介してくれた先生は奥様を御巣鷹山の日航ジャンボ機の事故で亡くされた。奥様はこの機のキャビンアテンダントだった。Tにもそのお嬢さんにもこれから先を明るく強く生きてほしいと思う。そして僕もなんとなくそんなことを考えた1日だった。

住宅のコストは一つ一つのものの値段の積み重ねできまる。

2021/10/19

住宅のコストは一つ一つのものの値段の積み重ねできまる。よく坪○○万円という呼び方をするが、あれほどいい加減な値段の表示方法はない。確かに理解することは簡単になる。しかし、価格がきまる過程を見えにくくし、価格のブラックボックスを作ってしまっている。昔の家作りでは、クライアントがある程度の知識を持っていた。間取りはその地方ごとに決まった様式というものが存在し、それを自分の土地にあうようにちょっとアレンジするだけで簡単につくることができた。大工は徒弟制度の中で身に着けた能力を持ち、図面化しなくてもその間取り図だけで材料を発注し、家を創り上げることができたのである。しかし、ハウスメーカーや建売の坪いくらという表示になれてしまった現代人は、まるで車を買うように家を考えることが一般的になってしまっている。

船橋の家では、160ミリ角の大黒柱をたてた。材質は杉、節はない。長さは4500ミリ。さてこの柱一体いくらだろうか?

この柱、実は50000円で買えた。丸太を天然で乾燥させ、更に乾燥機にかけたものを製材し、プレーナーという機械で仕上げる。断面寸法は170ミリ。長さは4.5メートルの柱が50000円で手に入るにはわけがある。普通に街の材木屋さんに探しに言った場合は、材木屋さんの営業マンがまず問屋さんに行く。問屋さんでは付き合いのある製材所やメーカーに問い合わせ、こちらの指定した寸法の材木を探す。しかも埼玉県の場合はそれほど有名な産地が無い。大手材木問屋はたいていの場合このような注文に対し、木曽ヒノキや東北の杉を勧めてくる。たまたまあったものを仕入れ、材木屋さんに卸す。それを購入するわけだが、この重層構造に頼って物を仕入れるとどうしても高くなってしまう。

日本の家は高すぎる。少しでも質の高いローコスト住宅を作ろうと考えルナらば、まずは素材を吟味することから始めなければいけないと思うのである。

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造ってみたい住宅がある。

2021/10/18

造ってみたい住宅がある。この図面は今から5年ほど前に埼玉県の久喜市に土地を購入した方のために考えたプランだ。プライバシーを守られた中庭空間に大きく開くプランで、家のどこにいても視線を交わすことができる。光を取り込む側の棟は低く抑えることで、東側の光をふんだんに取り入れる工夫をしている。色々と考えたけれど残念ながら建たなかった建築たちの中で、なかなか忘れることができないものがたまにある。この住宅はその中の大切な一つであるのだ。

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お菓子屋さんをやりたいという女性からのご相談を受けた。

2021/10/16

今日は埼玉県羽生市にて小さな住宅を造って、お菓子屋さんをやりたいという女性からのご相談を受けた。小さな小屋のような住宅、約20坪ほどの面積に中に小さなお店と一人が暮らすスペースがある。平家で一部がロフトになっていて、そこに収納やちょっとした隠れ家的なスペースが作られている。扉を開けるとすぐにキッチンやダイニングがあって、奥の方に軽く仕切られた寝室スペースがある。まさに小屋の家を作りたいというご要望であった。

小屋のような家とはなんだろうか。小屋というとやはり都会の中に一軒家というよりは周りに広々とした土地が広がっているイメージがある。広さは必要最低限、とてもシンプルな暮らしが営まれるだろう。いわゆるNーLDKの間取りではなく、ワンルーム型のプランニングにしたいところだ。素材は木をふんだんに使用したい。構造の柱や梁も現しとして、木組みの魅力が感じられる内装のデザインがふさわしいと思う。人が暮らすために本当に必要な建築とはを考えたときに出てくる答え、それが小屋であるような気がするのである。

9坪ハウスという最小限住宅がある。

2021/10/15

9坪ハウスという最小限住宅がある。この住宅は増沢洵という建築家によるもので、建坪は、三間×三間=九坪、1階九坪+2階六坪=一五坪という総床面積である。きれいに六分割された立面。南側の大きな開口とスノコのテラスが特徴的だ。吹抜けが居間になっており、その奥が寝室、二階が書斎と家事室となる。細かいディテールは設けず、構造がそのまま表現になっているシンプルな家だ。規模は小さいが、とるべきところは思い切って空間を確保し、小ささを感じさせない。この住宅は戦後日本において物資が不足している時代に作られた実験住宅である。

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9坪ハウスプラン

下の写真はますいいで10年ほど前に造った9坪ハウスである。クライアントはとある大手ハウスメーカーの方だ。玄関もないこの住宅は家に入るとすでにリビングにいるという状態である。正方形平面の中に家具作りのように寸法を無駄にせずに収められているプランニングは、まさに増沢洵氏の最上現住宅と同じである。原油高、資源の高騰、環境負荷を考えるとこうした小さな家はとても理想的な答えのように思える。もちろん全ての人に当てはまる答えではないけれど、こういう最小限の空間で好きなことを仕事にしながら自然と共に暮らす、そんなライフスタイルがあっても良いのではないだろうかと思うのだ。

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第2回目となる街並み環境整備事業のワークショップを行った。

2021/10/11

今日は16時より第2回目となる街並み環境整備事業のワークショップを行った。あいにく衆議院選挙の会合が重なってしまったようで、何人かの参加者が欠席となってしまったのだけれど、まあ仕方がない。本日はまず初めに対象となる本町1丁目を中心とする街歩きをしたかのような気分になっていただくための映像を見ていただだいた。続いて川口市の本町にある面白くなりそうなスポットと谷中、千駄木、北千住のすでにさまざまな形や用途にリノベーションされている事例を比較説明するというレクチャーである。さまざまな事例を見ていただいた後で川口市の本町にある古い建物に対してどのようにリノベーションなどを行ったら良いかの話し合いを行うワークショップを開催。大変多くのご意見をいただくことができたようで何よりであった。

こういう街づくり活動をしていると、何を今更やっているの?というような声を聞くことがある。俺も昔はやっていたよという声もよく聞く。これらは皆当たり前のことだと思う。だってそういう人たちが言っている昔というのは、今からおそらく30年ほど前のことであって、つまりはそういう人たちが僕と同じ40代のおじさんであり、街のことを考えざるを得ない、つまりは自分たちの子供たちがこの町でこれから先も幸せに暮らしていくことができるようにという願いを持って生きざるを得ない世代の時に、本業とは関係ないかもしれないけれど自分の時間を使って地域のために動いていた、そんな思い出を話していただいているのだから、本当に当たり前のことだと思うのである。僕はまさにそういう思いでこの活動をしている。参加してくれている他の人たちもきっとそうだろう。皆それぞれ自分の本業がある。僕は建築だが、神社さんもいれば、お寺さんもいる。不動産屋さんもいるし、酒屋さんもいる。芸大の歴史の教授だっているし、都市計画家もいる。鋳物屋さんも、議員さんも、学童保育もいる。こういうみんなが地域を思うことがまずは何よりも大切なことだと思うのである。まちづくりに早いも遅いもない。だってこれからもこの町で僕たちは生きていくのだ。その街をよくすることはいつもやらなければいけないことに決まっているのだ。

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今日は栃木県にある那須岳登山。

2021/10/10

今日は栃木県にある那須岳登山。朝4時過ぎに家を出て、那須ロープウェーの駅まで約3時間のドライブである。ロープウェーで山頂駅に行くとすでにたくさんの登山客が歩き始めている。簡単にも乗れる山だからスニーカーのいかにも観光客のひともいれば、茶臼岳だけではなくそのさきの朝日岳や三本槍へも足を伸ばそうという本格的な登山者までいろいろな人がいる。標高は2000m弱、それなりの高度なので風やガスの様相は本格的な山らしさをもっている。登り始めて40分ほどで山頂に着く。山の周辺は雲海ができていてとても良い眺めだ。青空とのコントラストが美しい。気温も高く風もそれほど吹いていない。まさにハイキング日和である。

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山頂で少し休んでそのまま朝日岳に向かう。こちらは1時間半ほどのハイキング、簡単な岩場があったりのちょっとだけ山っぽい雰囲気になってきて面白い。こちらまで来る観光客はいないらしく、ほとんどの人は登山靴を履いている。観光地と山の境目、なんだか面白いエリアだ。稜線を歩いていると東側と西側で風の温度が全然違う。東の生暖かい風を感じていると、なんだか天気が荒れてくるなの予感がする。三本槍まではさらに1時間半ほどの山行だ。往復を考えると今日はやめておいた方が良さそうだ。そこで、茶臼岳を回り込み瓢箪池まで往復してロープウェーで下るというルートを取ることにした。そのまま帰るのもなんとなく寂しいし、三本槍まで行くのはちょっと心配というなかでの妥協のルートである。最後の30分ほどはやはり予想通りの悪天候となる。ガスで10m程先までしか視界がきかないけれど、まあこの山道であれば問題はない。少々濡れてしまったが無事下山。今年2回目の登山、山岳部時代に山を歩いている時とは全く違う、足が別の生き物のように重い感じがするのは歳のせいだろう。でもなんとなく先週行った1回目よりは足が地面をつかめている感じがした。やっぱり山は良い。自然との一体感、それが一番の楽しみなのである。

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中之条ビエンナーレ2021がいよいよ開始されることとなった。

2021/10/09

コロナもおさまってきたところで中之条ビエンナーレ2021がいよいよ開始されることとなった。会場は群馬県吾妻郡中之条町 町内5エリアである。会期は10月15日から11月14日まで。ますいいでは高崎分室の柳澤と滝本が二人でエントリーをしている。もともとこの街は柳澤の生まれ故郷、故郷でのイベントにいつかは出店したいと思っていた夢がついに叶ったということだ。二人の情熱がこもった、古い住宅を解体してスケルトンにした建築空間の作品を展示しているのでぜひご覧いただきたい。

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埼玉県川口市にて新築中卯宅を検討中のNさん打ち合わせ。

2021/10/06

午後より、埼玉県川口市にて新築中卯宅を検討中のNさん打ち合わせ。Nさんは地元川口市の大学の先輩である。もうかれこれ20年近いお付き合い、こういう方からご自宅を新築を依頼されうというのは何よりも嬉しい話だ。敷地は100坪弱、川口市では珍しいなかなかの広さである。西側で道路に接道し、南側は現状駐車場となっている。そのうちには何かが立つかもしれないので、それに対する光を取り入れるための配慮は大切にしたい。今日は第1回目のヒアリングということで、護符から新築住宅についてのご要望を伺った。

ご要望を伺いながらこの住宅でやった方が良いことを考えてみた。
・LCCM住宅(またはZEH)を目指す。・・・昨今のエネルギー価格の上昇を考えても省エネ住宅にすることは急務と考える。
・吹き抜けを利用して全体のつながりを生み出す。
・国産材、自然素材を利用して体に優しいエコ住宅とする。
・中庭や隣地境界からの引きがある庭を作り、隣地に建築が作られた後の採光に配慮する。
・1階にLDKと客間、2階に子供室と寝室を設け、将来的には1階だけで生活が成り立つようにする。
・ひさしやパーゴラなどを利用してパッシブLCCM住宅とする。

とりあえず今の時点ではこのような方針で設計を進めてみようと思う。まずはファーストプラン、楽しんでいただけるように進めていきたい。

古民家プロジェクトについてのご相談。

2021/10/05

午前中、埼玉県蕨市にて築100年近い古い住宅を改修したいという古民家プロジェクトについてのご相談。日本ではすぐに古い建築を壊してしまうけれど、海外では古ければ古いほどに価値が上がるという。丁寧に作られた古民家の如き住宅は、もしも今の時代に再び作ろうと思ったら膨大な費用がかかるし、そもそもそういう材料を揃えるのだって大変だ。だからこそその住宅を壊すことなく、さらに50年住み続けていこうという考え方は大変共感できるものである。僕はこれからの建築家というのはだんだん「造らない、壊さない建築家」になっていくと考えているのだけれど、だからこそ古い建築のリノベーションというのは大切にしていきたい領域なのである。

話は変わるが今取り組んでいる「川口グリンセンター・シャトー赤柴大集会堂」の設計も同じくリノベーションである。こちらは築50年ほどの鉄筋コンクリート造の建物だが、当時よく造られたなんとも言えない洋館建築様式というのが何よりもの文化資産であると思っている。こういうものは今さら真似して作っても全く意味がない。当時のものが50年という時間を経て人々の記憶に残り、当時の日本が世界を真似た訳のわからない様式であっても、それでも僕たちの目に映ると懐かしさを感じるような状態にまでなって始めて文化と言えるものに昇華するのだと思う。どんな文化もその当時はなんらかの低俗な流行り廃りの中に存在していたのであろうし、でもそれが時間を身に纏うことで歴史となり文化となることはさまざまな分野ですでに体験済みだ。

住宅もしかり。たかが一軒の住宅でもそれがあるべき形で保存されれば街の価値を向上させる資産となる。幸い僕には川口市に文化財活動の中で協働している東京芸術大学の小林先生という大きな見方がいる。もしもこの仕事に関われるならそういう気持ちで取り組みたいと思うのである。

とあるお寺さんの塀の設計をしている。

2021/10/04

埼玉県さいたま市にあるとあるお寺さんの塀の設計をしている。この禅寺は立派な山門があるが、塀はない。山門の周りは生垣で仕切られていて駐車場との境は不明瞭だ。ここに100年は持つであろう塀を作りたいというのが今回のご依頼である。

塀は築地塀のイメージでデザインをした。本来は版築で作られる部分は、鉄筋コンクリートの頑強な作りとし、その上に木造の屋根をかける。木造の屋根には瓦を葺く予定だ。瓦はもちろん豊島区の本納寺さんの本堂瓦屋根吹替工事の時にも依頼した飛鳥さんである。片側2枚半、合計で5枚の河原が乗る屋根はなかなか大きく見える。さてさて、モックアップとして作った写真の屋根に瓦ものったことなので、一度御住職にご覧いただくこととしよう。

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今日は数年ぶりの山に行った。

2021/10/03

今日は数年ぶりの山に行った。もう山など行くわけがないと思っていたのだけれど、地元の先輩に誘われてなんとなく行くことになって、でも今の弱った足では登れるわけもないので急遽ジョギングをしたりの準備をして、今日に至ったわけだけれどなんだか昔を思い出してのワクワク状態である。ザックや靴なども一式揃え、まさに中年山デビューとなったわけだが、怪我だけはしないように気を付けなければいけないな。

今日は会津磐梯山、八方台登山口から登るとそれほど大変な思いをしなくとも山頂まで辿り着くことができるコースを選択した。同行者は妻と先輩とアウトドア第ベテランのKさんである。この時期は紅葉が綺麗でたくさんの登山者がいる。流石にひさしぶりの登山なのでこれまでに経験したことがないくらいに疲れたが、多くの人に先に行ってもらいながらなんとか山頂までたどり着いた。足に力が入らない感覚・・・、これは流石になんとかしたい。体がふわふわ浮いているような状態、大地を掴んでいる感じがしない状態、危険な岩場だったらちょっと歩けない感覚である。

下りの途中で廃墟となった温泉宿を見た。1990年代後半に廃業したそうだけれどこの温泉は江戸時代に開業し、当時は多くの人に利用されていたそうである。こんな険しいところで宿を営むなど今の若者にはちょっと無理な発想だろう。理想郷と利便性や経済性の差異を楽しむ感覚がなければここでの温泉宿経営は不可能である。利便性ばかりを追求する現代社会において、そういうものから逃げるような暮らしをしていたある一定のヒッピーのような層は消滅してしまったようであるが、最近のコロナによってそういう層が再び復活してきたような気もするのがこれからの日本の楽しみなところだ。今の日本は東京を中心とするごく一部の地域を除きなんとなく対外経済力も衰え、まるでブータンやネパールの如き自然豊かな後進国の古き良き時代に戻ろうとしているような気もするのであるが、もしそうなってしまったとしてもそれはそれで人は幸せに生きていくことはできる道があると思うのであるが、そのためのヒントはまさにこういう暮らしや文化に隠されていると思うのである。社会制度は結局その時代の人々の思考の方向性によって作られるものである。今の日本の政治は少々昔の思考回路を持った人たちによって支配されているようであるけれど、次の世代の指導者たちが全てを決める時代にはまた違う方向の国づくりが行われるだろう。僕たちの考えが国の方向性を決める、そんな時代が少しづつ近づいてきているわけだからこそ、色々と考えていかなければいけないと思うのである。

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茶室についての打ち合わせを行った。

2021/10/02

今日は堀部くんと一緒に現在埼玉県さいたま市にて設計中の茶室についての打ち合わせを行った。土曜日にしては珍しく時間があったので、一日中のスタディーである。昨今の家づくりではプレカットと言って、工場で構造部材を加工することが普通なのであるが、工場加工をするということはそのための加工図を正確に書かなければならないということで、そのチェックはなかなか大変な作業となる。プレカットを考えるということは、その結果出来上がる意匠が決まっているということなのだが、コストダウンのためにその意匠変更案も考えながら進めるというのはとても時間がかかる作業だ。目標とする予算、作りたいデザイン、機能、性能、クライアントの思い、さまざまな要素に思考を巡らせながら何かの結論を求めていく作業は、明確な答えがあるのではなく、どれだけ粘って良い場所を見つけ出すことができるかというとても曖昧な作業である。

プレカットの図面を見たり、意匠図を見たりを繰り返しながらふと時計を見るといつの間にやら1日が終わっている。1日という長い時間がこんな風に過ぎていくことはなかなかないけれど、考えて見れば設計というのはそれくらいに楽しい仕事なのであろう。

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