大工さんを社員化して数年ほど経つ。
大工さんを社員化して数年ほど経つ。今では4名の大工さんがますいいで木工事に腕を振るっていてくれる。その中の一人、本間さんは僕が最も信頼する大工さんの一人である。年は60歳ちょっと、人生のすべてを大工としてやってきたプロだ。無垢の板を加工する万能機の小型版を所有しているので、無垢の栗の板などを扉にするなどの仕事を現場でこなしてしまう。もともとは国産無垢材をこだわって使用する設計事務所の仕事をしていたということだが、数年前よりますいいに参加してくれている。つい最近では川口市にある氷川神社さんの「古神札納め所兼トイレ棟新築工事」の棟梁として腕を振るってくれた。この現場では北海道産のオニグルミ(ウェルナット)を使用して、建具を造ったりの造作までやってくれた。本間さんの名言、「僕は腕が良くなんかない。大工として当たり前のことをやっているだけだ。でも当たり前のことをできる大工が少なくなっているんだよね。」この言葉は、本間さんの言葉の中で僕が最も好きな言葉である。腕の良い本間さんが言うからこそ味わいのある言葉なのだ。
昨年より丸太で国産広葉樹を購入している。丸太で購入すると、自分の好きな寸法に製材できる。約1年乾燥させて建築に使用するのだが、自分で製材をした丸太材はいつどこで採れたかもわかるし、とにかく愛着がわく。写真はまさにこれから製材をしようとしているところだ。決められた角度と厚さで鋸が入れられ、板が挽かれるのにかかる時間はほんの数秒だ。すると丸太がまたもとの位置に戻って、そしてまた鋸が入る。この繰り返しである。こういう板を手に入れても、それを加工する人がいなければ意味がない。最近の家造りでは既製品の取り付け係のような大工さんが多くなっているけれど、やっぱり木を扱うことが好きな職人さんが良い。仕事とはいえ、楽しんでやってもらいたい。そのほうがお施主さんにも喜んでもらえるような気がする。一緒に家づくりをいているますいいの大工さんはみんな木を扱うのが好きな大工さんである。腕の良い職人さんと良い材料、僕たちはそういう環境を整えることをデザインすることからしっかりと手がけなければいけないのだと思う。