増井真也 日記 blog

なるべく費用を抑えて

2022/03/30

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、注文住宅を中心に丁寧にデザイン設計を行います。(東京都町田市、群馬県高崎市にも分室があります。)
東京都東村山市にてリフォームを検討中のUさん打ち合わせ。大規模改修をするか、はたまた新築住宅を作るかの検討をしているのだが、その判断基準として将来住宅を売却するときの価格についてお話をした。例えば築年数が30年の住宅を2000万円の費用をかけてリフォームし15年後に売却するとする。土地の価格が3000万円だとして、そこにリフォーム費用なるべく多くを上乗せして売りたいと思っても、築年数が45年の木造住宅はそうそう簡単に売ることはできない。日本では木造住宅の寿命は30年程度と思われており、文化財のような特別な建築を除いては建物価格を上乗せして不動産取引が行われることはほとんどないからである。それに対して、欧米では古い建築を手入れしながら住みつぐという文化があるので、古ければ古いほど価格があがる国もあるのだが残念ながら日本はそうはなっていないのだ。

日本でも古い建築が価値を持ってくれれば良いと思う。そのためには新築時点でのより良い住宅の設計が不可欠であろう。構造、断熱、素材、・・・さまざまな要素が100年の使用に耐えうるという想定で設計することが求められるわけである。最近はますいいで作った住宅の再販の事例も増えている。下の写真はもう18年ほど前に作った住宅だが、数年前に持ち主が変わった。そして新しい家主さんからはリフォームの依頼を受けている。こういうことに丁寧に対応していくことは環境にも良い。そしてとても良い種類の仕事だと思うのである。

Uさんの家、リフォームでも新築でも良い仕事をできればと思っている。リフォームならばなるべく費用を抑えて作ってあげたいと思う。

 

 

予約制モデルハウスの我が家

2022/03/29

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、注文住宅を中心に丁寧にデザイン設計を行います。(東京都町田市、群馬県高崎市にも分室があります。)
今日は埼玉県さいたま市にてマンションのリフォームを検討中のNさんご家族が、僕の家、つまり今モデルハウスとして予約制で公開している住宅を見学に来てくれた。公開しているのは2階のリビングと1階の水回り、そして茶室である。1階は鉄筋コンクリート造としているが、これは荒川が氾濫した際の水害に備えてのことである。2階から上は木造住宅だ。やはり住宅は木造の方が住み心地が良い。この住宅は中庭を介して2世帯住宅となっている。中庭部分は細い廊下で繋がっているだけなので、構造上の弱点となっている。この廊下部分の床には鉄骨の補強ブレスが仕込まれているのだけれど、地震が起こるとそのブレスが頑張ってくれているのがわかる音がするのが面白い。少々の説明の後、薄茶を差し上げて次は現場の見学に移動した。

初めての茶事

2022/03/27

埼玉県川口市にてデザイン性の高い注文住宅を建設する、工務店機能を兼ね備えた設計事務所を営むますいいリビングカンパニーの増井真也です。
今日は我が家で行う初めての茶事を行なった。お客様としては旧知の某大学の先生、千葉県でいつも年末の釜にご招待いただいている先生、そして川越の先生である。11時に席入りなので、15分ほど前にお客様がくる。待合で白湯を出している間に、僕は茶室で炉の中を整える。準備ができたら迎え付け。さあいよいよ後戻りはできなくなってしまった。隅点前を終えると、素飯を差し上げますで懐石の始まりである。菓子、濃茶、そして薄茶と全ての工程が終わる頃にはドット疲れ果ててしまう。やはり慣れないことをするのは大変なものだ。でもお客様には喜んでいただけたようで、何よりの達成感であった。亭主1回、客100回という言葉があるそうだけれど、僕は100回のお客様分の勉強ができたのだろうか?

今日で21年目の長い道のり

2022/03/24

今日は1年間取り組んできた川口グリンセンター内シャトー赤柴大集会堂の基本設計の納品を行った。このプロジェクトは明仁上皇陛下が皇太子時代に宿泊をしたことがある洋館風建築である。それ以来はレストランや結婚式場などの用途に使用されてきたのだけれど、老朽化によって最近は空き家状態であった。今回のプロジェクトでは、利活用の提案も含めてリノベーションの基本設計を行なっている。構造に関しては約1500平米ほどの2階建ての鉄筋コンクリート構造の強度や中性化の破壊試験なども行なった。50年経った建築が意外なほどに健全な状態を保っていることが分かったのだが、これを当時建てた会社が僕が以前勤めていた戸田建設であるということもまたなんとなく運命を感じるのである。

ちなみに今日はますいいの本社を2001年3月24日に使用開始して以来、21年が過ぎた記念日でもある。あっという間だったけれどよくこれだけ長く続けることができたものである。ますいいリビングカンパニーは工務店機能を兼ね備える設計事務所として運営している。今では丸太の製材、吉野や八溝の山とのお付き合い、社員大工さん、そしてこうした公共建築の設計なども手がけるようになった。これも一緒に仕事をしていただいている社員と協力会社さん、そしてますいいを信頼して仕事をご依頼いただける皆様のおかげである。これからも精一杯建築家の道を精進していきたいと思う。

気配をデザインする

2022/03/23

窓辺に座って外を眺めるのが好きな人は多いだろう。ともすると隣の家の人と目が合ってしまうところが都会の住宅の困ったところなのだけれど、まあそんな変化も窓がなければ感じることができないわけだから、窓のというのはとても大切な存在であると思う。窓からは色々な光が入ってくる。直射日光だけではなくて、北側の窓から入り込む安定した反射光もまた魅力の一つだと思う。緑が見えたりのご馳走があればなお良しだ。

僕の家の北側の窓はとても大きい。アルミサッシだけれど内側に木製の飾り枠を設ることで木製建具の如き感じとなっている。家の玄関に向かう路地の一番奥にある窓だから、家族が帰ってくるとその気配が伝わってくるのも良い。窓の設計をすることは、ただ単に壁に穴を開けることではない。その家の暮らしの中で感じる、家の内外双方の気配をデザインすることだと思う。

丹沢山登り

2022/03/20

今日は丹沢にある塔ノ岳という山に登った。昨年から地元の先輩に誘われたことをきっかけに山登りを再開したのだけれど、中学高校山岳部時代のようにはなかなか行かないものだが、ようやくコースタイムにして8時間ほどの一日の山行としてはロングコースと言われる山に登ることができた。今日は風のない穏やかな日だった。でも登り初めからずーっと何だかよくわからない音がどーん、どーんと聞こえていた。これは雷かなと思いながらも、天気予報では晴れマーク、道ゆく人に尋ねてみると「自衛隊の軍事演習だと思いますよ」の答えが返ってきた。世界ではウクライナとロシアの戦争が行われている。遠い世界の出来事だけれど、日々その映像が自然と目に入る。SNSなどの情報は個人の意思で世界中を飛び回ることができるから、遠い世界のこととすぐ身近で起きていることが、同時並行的な情報として知覚されるわけだ。東富士演習場から聞こえてくる大砲の音とウクライナで響くミサイルの音が何となく被ってしまい、何だか不思議な感覚になった。平和というものの尊さや、それがプーチンのような人間の一瞬の判断によって奪い取られてしまう不思議を感じながらの山歩きであった。

 

たまに米の研ぎ汁で磨いてあげる

2022/03/19

埼玉県伊奈町にて設計中のTさんの家の打ち合わせ。このプロジェクトはTさんの奥様の実家に、Tさんご家族が同居するための炉フォーム計画である。都心から程よい距離を離れたちょっと田舎に移り住み、畑を耕したりの自由を得ながら暮らす「田舎暮らし」を快適に行うための設計を進めている。もちろんますいいの得意なセルフビルドなどを積極的に取り入れて、コストダウンを図っているが、床の唐松無垢材などの自然素材にはこだわりを持って設計しているところである。

群馬県中之条市で製材している唐松のフロアリングは僕のお気に入りの素材の一つだ。この写真は僕の自宅であるが、ここの床にも使用している。建てて2年ほどになるが、色合いも落ち着いてきた。たまに米の研ぎ汁で磨いてあげると自然な艶が出てきて良いのでおすすめだ。

アイデア、そしてアイデア

2022/03/17

埼玉県川口市で設計中のNさんの家の擁壁工事についてのスタディー。このプロジェクトでは、道路より1200mmほど下にある敷地地盤に擁壁を作って嵩上げする予定だ。川口市という場所は元々低地であるので地盤は悪い。地盤の悪いところに擁壁を作るとなれば、それなりの地盤改良が必要となる。構造設計者との協議では平米あたり5.5トンの地耐力が必要だということだけれど、ギリギリでの施工は地盤の沈下が心配なので7トンの地耐力を実現することができる改良方法を検討することにした。

この擁壁は現場打ちコンクリート擁壁である。既製品の擁壁を並べるだけの工法もあるがこちらは必要とされる地耐力が現場打ちの場合よりも大きくなってしまう。現場打ちということは敷地の外での作業が必要となるので、隣地の許可を得たり駐車場の車を移動していただいたりの調整が必要となる。それがもし叶わない場合には、やっぱり既製品擁壁をうまく利用することも考えなければいけないかもしれない。下のスケッチは直接7トンの地耐力が出せない場合のアイデアだ。擁壁の下に幅広のスラブを作りう、そのスラブを7トンの地盤で支えることでその上に置かれた既製品擁壁の傾きを抑えようという考えだ。これはこれで二つのコンクリート塊をいかに固定するかの工夫も必要となってしまうのでもしもの時の第2案としてとっておくことにしよう。

保育園の設計コンペ

2022/03/15

川口市で募集している保育園の運営事業者選定コンペに設計者として協力している。僕は決して保育園の設計を専門としているわけではないのだけれど、実はもう4年間も保育園の施設認可を行う審議委員として活動していて、これまで何十もの保育園の認定に関わってきた。そろそろ新規整備も終わる頃かなあと思っていたら、何とこの設計に事業者として関わることになったのである。こういうケースというのはなかなか緊張感があるものだ。これまで審査している側が、今回は審査される側になる。これまで指摘してきた事項は少なくともクリアしなければならないし、それ以上に魅力的に設計をしたくなるのが人情というものだ。さてさて、これは頑張らなければいけないなあの思いであるのだ。

戦争が終わらない。なぜ人が人を殺すのかと思うけれど、どう考えてみてもロシア人の総意ではなく一人の独裁者による暴挙としか思えない。これはナチスのヒトラーと同じような気もするが、民族主義や帝国主義のような偏った思想で形成された熱狂的なエネルギーのようなものがロシア国内にあるような気は全くしないところが、第2時世界大戦時とは異なるようにも思える。ある力を持った権力者が、国民の意思とは関係ないところで軍を動かし、反対者を処分し、必ずしも士気のない若い兵士たちが何となく戦いをしているという状況と言った感じだろうか。ミサイルで街を破壊する先に一体なにがあるのか。領土を占領することが目的とも思えないし、そうしたところでロシアに格別な何かが起こるとも思えない。まるでアメリカがイラクを破壊し独裁者を殺してあるはずの核兵器は見つけることができなかったあの戦争の時のように、きっとなにもなかったかのように終わるだけなのだろう。

 

家を作ったお客様からのプレゼント

2022/03/14

埼玉県川口市に数年前に建てた中庭のある家のMさんから、「白文字がとても綺麗に咲いたからよかったら見にきてください」のお誘いを受けた。この住宅は二つの中庭を外壁が囲むように作られており、内部と外部(中庭)が木製の建具を介して連続した空間での暮らしを楽しむように設計されている。今日はとても暖かく、中庭ではいついているのら猫が3匹まるで我が家というふうにゆったりと過ごしていた。白文字は黄色い綺麗な花を咲かせていた。まるで桜のように1週間ほどで終わってしまうようだが、まさに四季の移ろいを楽しませていただいた。

 

マンションのスケルトンリフォーム

2022/03/08

埼玉県さいたま市にてリフォームを検討中のNさんご家族打合せ。Nさんはお母さんとお二人で暮らすマンションのスケルトンリフォームを検討している。マンションのリフォームというのはコンクリートの躯体やサッシで囲まれた空間を、どのようにアレンジするかの工夫なのだけれど、今の日本のマンションは何の工夫もない一律の内装パターンで作られているので、まずはそこにどのような暮らし方の個性を組み込むかの検討から始めることとなる。趣味のハープを奏でる場所が欲しい・・・のような特別な行為を心地よく行うことができる場をアレンジできるのがリフォームの楽しいところ。これからの設計を楽しみにしたいと思う。

下の写真は数年前に東京都で行ったスケルトンリフォームの写真である。約1800万円ほどでの改修工事であったが、ご夫婦二人でのびのびと暮らすことができる自然素材を中心とした内装とした事例だ。小上がりはベッドのように使用でき、その下は収納となっている。空間を余すところなく利用した良い事例である。

2022/03/06

今日は埼玉県蕨市にある古民家を訪れた。築90年ほどの古い木造住宅を丁寧に直してこの先も住み続けたいというご相談である。僕は古い建物がとても好きなので、こういうご相談はまさに大歓迎だ。田村と妻と一緒に現場を調査し、どの程度の痛みがあるかの推察や、どのような改修工事が適しているかの考察を行なった。

日本の建築は50年もすると価値がないことにされてしまうことが多い。住宅を丁寧にメンテナンスして、次の世代に受け継ぐという文化がないのは、高温多湿の気候や木造が中心であることが原因なのだろうが、海外では木造の住宅でも何世代にもわたって使い続けられているし、古ければ古いほど価値があるという価値観もあるわけだから、この国でもそうした文化の醸成ができるのではないかという期待もある。でもそのためには受け継ぐに値する建築であることが重要なことで、だとすると僕たち建築家が良いものを作る努力をもっともっと行わなければならないということなのかもしれない。

木製建具とウッドデッキの素敵な家

2022/03/05

午前中、埼玉県上尾市にて新築住宅を検討中のTさんご夫妻打ち合わせ。Tさんご夫妻は昨年上尾市で作ったHさんの家のオープンハウスに来ていただいた時に出会った。土地はすでに購入しているということで、これまでハウスメーカーさんなどにプランを作ってもらったりの検討をしてきたのだけれどどうも気に入った住宅に出会うことができないということで、ますいいに来ていただいたところである。ますいいの好きな住宅のイメージは、南大谷の家とのこと。2階にL字型のリビングを配置し、木製建具を使用した開口部とその向こう側にあるウッドデッキが特徴的な住宅である。素材の味を生かし丁寧にデザインされたとても良い住宅なので、皆様にもご紹介しよう。

 

 

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