増井真也 日記 blog

今日は、伝統建築の調査と保存設計を行う森本さんとの食事会をおこなった

2025/05/22

今日は、伝統建築の調査と保存設計を行う森本さんとの食事会をおこなった。森本さんはチルチン人にも連載している歴史家である。早稲田の後輩でもありご縁があるので、埼玉県建築士事務所協会川口支部の周年事業の講師を依頼したというわけだ。

先般の能登半島地震では多くの伝統建築が倒壊した。その中には、すでに多額の資金を投じて耐震補強工事を行なったものも含まれており、伝統建築に対する限界耐力診断を用いた意匠優先の補強設計の手法も、被害の調査の解析によってだいぶ見直されるだろうということであった。僕たちが普段行っている耐震補強は、筋交と金物で補強を行う強固なものだが、伝統建築の場合は筋交を入れることができないなどの事情を勘案しながらの補強となるため難しいのである。

今日は、埼玉県さいたま市にある某茶寮にて雨乞いの茶事にお招きただいた。

2025/05/20

今日は、埼玉県さいたま市にある某茶寮にて雨乞いの茶事にお招きただいた。雨乞いの茶事というのは初めての体験である。まず初めに折敷の上に楽茶碗に盃で蓋をしたもの、塩の入った小皿、先端を切り取った茶筅が出される。楽茶碗には豆ごはんが盛られており、そこにほうじ茶で茶漬けにして、茶筅で塩をつけて味付けをしながらほぐしたご飯をいただくところからスタートする。聞くと、これは草の茶事ということで、時間短縮の作法であるとのこと。点前に使う水指は船頭が傘を被った様相の風変わりなデザインである。続き薄茶で濃茶と薄茶をいただき終了した。

これを機にIさん達も、自然素材を使う手加工の家づくりを続けていってほしいと思う。

2025/05/19

午前中は、千葉県の匝瑳市にて計画中の書道教室兼茶道教室の設計打ち合わせを行った。裏千家の青年部時代の友人のご紹介であるが、遠距離なので施工までは行うことができないということで、施主のFさんの地元のお知り合いの大工のIさん兄弟が施工を担当することになった。Iさん兄弟は普段は既製品を用いた一般的な住宅を作っているということなので、今回はFさんと一緒にますいいのモデルハウスまで来ていただいて、大工さんの手加工による枠や家具の作り方について見学していただいた。全くやったことがない大工さんが、急にて加工に挑戦してもなかなかうまくはいかないのだが、幸いIさんたちには大工の親方であるお父様がいらっしゃるということだし、加工機も一通り揃っているということなので、ポイントを伝えればできるはずである。昔ながらののみと鉋を使う加工を伴う家づくりはとても楽しいものだ。これを機にIさん達も、自然素材を使う手加工の家づくりを続けていってほしいと思う。

午後は、東京都世田谷区にて計画中のMさんの家の打ち合わせ。Mさんはかれこれ10年以上も前に、セルフビルドをふんだんに取り入れたローコストリフォームを行ったお施主さんのお嬢さんである。Mさんのご両親が退職を機に山梨県の方に引っ越すということで、その土地を親子の間で売買して、新築住宅を建てるという計画だ。Mさんはこれを機に、ご結婚が決まったという。なんとも嬉しいエピソードなのである。

 

埼玉県のさいたま市に約800万円で週末だけ過ごすための住宅を造ってほしいというのである。

2025/05/17

今日はちょっと面白い、とてもますいいらしいご相談があった。埼玉県のさいたま市に約800万円で週末だけ過ごすための住宅を造ってほしいというのである。この物価高騰の時代に800万円で住宅とは、なんとも時代錯誤、だけどとてもロマンチックなお話である。そして僕は儲からないけれど楽しいこういう仕事が何よりも好きだ。施主は女性だ。こういうロマンチックなことは男性の領分だと思っていただが、どうもますいいにはロマンチックな女性のクライアントがやってくる。広さは9坪ほどで、切り妻屋根、床は杉板で、勾配天井、ドアは木製のドアが良いだろう・・・の空想がとても楽しい。

だいぶ前のことだけれど、埼玉県の川口市に写真見たいな小屋を建てた。この小屋は女性が週末に畑作業などを楽しむための休暇小屋、つまりダーチャのようなものである。施工にはセルフビルドをたくさん取り入れた。写真に映るキッチンも手作り、テラコッタのタイルも施主施工である。そしてこの小屋の値段がまさに800万円だったと記憶している。

今日は東京大学権藤研究室にて開催されたHEAD研究会に参加した

2025/05/14

今日は東京大学権藤研究室にて開催されたHEAD研究会に参加した。初めて参加させていただいたが、この会は工務店や設計事務所や不動産屋さんなどが権藤先生の元に集い、様々な情報交換をしたり、今後の建築について考えることを目的としている会のようだ。今日の講師は中田さんという建築のコンサルティングをされている方で、元々は神戸で工務店経営をされていたそうだ。講師といっても堅苦しい講義形式ではなく、ざっくばらんな日常会話の先にある何かを探そうというものであった。

現代の社会では、若者が建設技能者、つまり職人になるケースは減少している。2020年に実施された国勢調査によると左官技能者の総数は58,610人、そのうち65歳以上は24,930人で41.6%を占める。75歳以上でその人数が急激に減少すること、また20歳から24歳の技能者数が1920人、25歳から29歳の技能者数が2090人であることから、新たな入職者が減少する人数を補填することは困難である。左官だけではなく、すべての分野でこんな感じだから、今後の建設業界を支える若者はとても貴重だ。もちろん住宅の着工数は減少していて、これからもどんどん減っていくわけだから膨大な人数は必要ないけれど、ある程度の人がいないと何もできなくなってしまうということである。

今日の会合でなんとなく見えたこと、それは今後の建設の仕事では、施主による職人さんへの直接発注を増やした方が良いのではないかということ、それを行うためには、アレグサンダーのいうビルダーズヤードの如きもの、つまり設計を手伝ってくれる設計者がいて、職人と出会うこともできて、その設計者は工事管理もしてくれて、施主が参加したいときには工事にも参加できる様になっているというようなヤードという仕組みが理想的ではないかという予感であった。こういう未来予想に基づいて仕組みを考えるのはとても良い。来年計画されているますいいの30周年記念行事に向けて形にしていきたいと思う。

少し時間があったのでイサムノグチが設計を行ったモエレ沼公園のガラスのピラミッドを訪れた

2025/05/10

今日は左官関係の見学で北海道に。少し時間があったのでイサムノグチが設計を行ったモエレ沼公園のガラスのピラミッドを訪れた。この公園は1982年に着工し2004年にグランドオープンした。実はイサムノグチは1988年に亡くなっている。ピラミッドはイサムノグチの意志を引き継いて青木淳が設計をしたものだ。この公園ができる前、この地は都市廃棄物の埋立地だった。その埋立地を都市の記憶を表すランドスケープ彫刻としたのがイサムノグチだった。

ピラミッドは、もともとエジプトのお墓であり、太陽光線を表す象徴的な形態で偉大な王を祀り、未来での復活を願うものであった。モエレ沼公園には、札幌から排出された多くのゴミが眠る。そのゴミの上に立つ彫刻としての公園を象徴するガラスのピラミッド、一体ここにはどんな思考が込められているのだろうと思いながら中に入った。

内部に入るとその神秘的な空間性に魅了される。あいにくの雨、ガラスには雨が流れ落ちている。たまに光が刺すと表情がガラッと変わる。ガラスのボリュームがとにかくすごい。感覚がおかしくなるような空間の質だ。このピラミッドの高さ32m、これでもすごいのにクフ王のピラミッドは140mというから驚きだ。建築の力を感じる瞬間は少なくなったが、とても貴重な機会であった。

埼玉県川口市にて行ったNさんの家のリフォーム

2025/05/05

埼玉県川口市にて行ったNさんの家のリフォームでは、古い空き家をリノベーションしてシェアハウスとして利用できるようにした。この古い家はもともとご実家だったところなので、なかなかの良い設である。その良い意匠を生かしながらのリノベーションということで、例えばこのように和室の書院を残して新たな棚として利用できるようにした。上の写真はリフォーム後。引き戸の上の欄間に浮かぶ菱格子が白い壁にとてもよく似合う仕上げとなった。

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