増井真也 日記 blog

埼玉県川口市にて設計中のNさんの家についてのスタディー

2022/08/31

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
埼玉県川口市にて設計中のNさんの家についてのスタディー、次回打ち合わせに向けてのプレゼンの準備を行なった。Nさんの家は、約90坪ほどの敷地に建つ木造2階建て住宅である。Nさんと奥様、そして二人のお子様のための専用住宅だ。道路よりも1m近く低い状態だった土地の外周部に擁壁を造成し、そこに土を盛土して道路の高さと同じ高さに嵩上げする工事を終了し、いよいよ住宅を作る段階となった。現在は実施設計真っ最中、次回打ち合わせでは平面詳細図と各部屋の展開図をご覧いただくための準備を進めている。展開図というのは部屋の壁の見え方を描いたもので、4面の展開図を見ればその部屋の内装が全てわかるようになっている。この段階では開口部の位置や開き方を決定し、構造の検討に入る準備を進めるわけなので、開口部中心にスタディーを行った。次回以降はいよいよキッチンなどの設備などについての打ち合わせに入っていくこととなる。気を引き締めて取り組んでいきたいと思う。

鹿児島の人は桜島がいつも見えているから心が堂々としている

2022/08/27

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
研修3日目。今日は朝早起きをして鹿児島中央駅前のホテルから桜島まで蒲郡の小林住建社長の小林さんと一緒にジョギングをした。小林さんはトライアスロンを趣味とするアスリート、僕はたまにジョギングの一般人、当然僕のペースに合わせていただき、たまに歩きも交えながら桜島まで4キロほどの道のりを楽しんだ。桜島は現在進行形で噴火している活火山である。今日も山頂付近の火口からはモクモクと噴煙が上がっている。鹿児島の人は桜島がいつも見えているから心が堂々としているということを聞いたが、確かに存在感がとてつもなく大きい。ただの山ではない、生命のようなものを感じるところがそう言われるのかもしれない。

午後、知覧に行った。僕は初めての訪問である。ここは特攻隊が飛び立った飛行場があったところで、今では多くの特攻隊員たちによる手記が展示されている。その多くはお母さんに宛てたもので、国を守るために自ら進んで犠牲になる志を勇敢に書き記しているものが多かった。今の時代を生きる僕たちには計り知れない思いであるが、当時欧米列強に追いつかなければの思いで必死に生きた日本人にとっては当然としなければいけなかった辛い思いなのであろう。語り部のお話が聞けるというので部屋を移動すると、60歳くらいの初老の方がお話を聞かせてくれた。特攻隊の生き残りのお話かと思っていたのでちょっと残念だったが、考えてみれば生き残りの方はすでに90歳を超える高齢、そういう生の声が聞ける時代は終わりを告げているのかもしれない。

ウクライナの戦争のニュースを目にすることが少なくなってきた。ある状況がしばらく続くとそれが日常のように感じてくる。中国が台湾に対してプレッシャーをかけている状況が続くが、日本もこれに対して防衛費を増やす方向に進み出しているようだ。こういう少しづつの動向が向かう先はいったいどこなのか?人類の叡智は平和の継続を実現することはできないのだろうか。少なくとも歴史はNOという答えを示しているが、この先は過ちを繰り返さずに進むことができるような一人一人の思いが大切なのだと思う。

今日から3日間は研修のために九州を訪れている

2022/08/25

今日から3日間は研修のために九州を訪れている。羽田から飛行機で福岡空港へ。コロナが始まってから飛行機には乗っていなかったので、久しぶりの飛行機である。空港に雰囲気は以前と変わらないようだ。僕がこうして移動しているのだからみんなもしている、だいぶ元通りに戻ったということなのだろう。福岡空港から待ち合わせの博多駅までは地下鉄で10分ほどだ。とても移動が楽だと感じるが、これくらいのコンパクトな都市へと東京も変換されていく必要があると思う。人口減少の時代ここまで広がりすぎた首都を維持し続けることはおそらく困難になってくるだろう。

福岡といえば数年前に東京と争ってオリンピックの誘致をしていたことを思い出した。もしも福岡で開催していたらいったい何が起こったのだろう。今更になって当時の汚職が事件になっているが、磯崎新先生と石山修武先生が福岡について誘致合戦を戦っていた理念はとても崇高なものだったと記憶している。福岡、中国や台湾を巻き込んだアジア圏の創造という理念が実現すれば、今のごとき争いの中心ではない別の形のアジア圏が生まれていたかもしれないと思うと、現在の都市の規模による経済力から判断をしてしまったこと、なんとも惜しいことをしたなあと思うのである。

洗い出し仕上げ

2022/08/24

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
左官土間の仕上げにはいろいろなものがあるが、僕は洗い出し仕上げという手法が好きだ。石とセメント・石灰等を混ぜ、塗り付け、鏝でしっかり伏せこみ、セメントが硬化する前に表面のセメント分を洗い出し、中の骨材を表す。いわゆる昔からある定番の黒磯仕上げもあれば、石の種類を調整すれば三和土風の柔らかい表情にすることもできる。こういう仕上げは均質にならないのが良い。なんでも均質な工業製品が多い時代、職人の手の跡が残る仕事、つまりは職人によって仕上がり具合が異なるような仕事はとても価値があると思う。呼び名は同じでもついた師匠や癖などにより微妙に仕上げが異なるからこそ、オンリーワンの良さがあるのだ。

下の写真はますいいの本社庭の洗い出し仕上げの風景だ。スタッフたちが職人さんに教えてもらいながら体験しているが、ラフ仕上げであればセルフでも挑戦が可能な仕上げだと思う。

小屋組はいかがかなあと屋根裏を覗いてみると。。。

2022/08/23

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
今日は朝一番から埼玉県川口市にて古民家再生の工事前調査を行った。築年数は100年ほどの古建築であるが、数十年前に場所を移動する曳家によって改築されているので既にベタ基礎であったりの補強はされている。小屋組はいかがかなあと屋根裏を覗いてみると、なんだか面白いことになっている。中央にあるのは何にも支えていない小屋束である。以前の改修工事の際にどういうことがあってこんな状態になったのやら、もしかしたら微妙に屋根の高さが変わったのかもしれないけれど、新築ではあり得ないこういうものが観れるのが面白いところである。丸太のうねうねとくねっている母屋は以前からのものだろうが、なかなか表情があって良い。今の建築は製材された角材しか使用しないが、昔はこういう丸太もきちんと利用していたのだなあと改めて感心させられる。今日は解体工事の事前説明を行った。建築工事の見積もりなどは解体を行った後に詳細に調査をしながら行うことになる。普通の場合と違って2段階構成であるけれど、これもまた古民家再生のという特殊な工事ならではだ。極端に古い建物では解体してみないとわからない部分が多すぎるということなのである。10月からいよいよ解体を始める予定。進行がとても楽しみである。

本当のプロは道具にこだわる

2022/08/19

小沼さんの大津磨きの道具を見せていただいた。大きな輪島塗りの3段重ねの箱にたくさんのコテがしっかりと油紙で包まれて納められている。コテはハガネでできていて、とても高価なものだと言うことだ。とても腕の良い鍛冶屋さんが手作りで作ったコテなのだけれど、こう言う良い道具を作ることができる鍛冶屋さんはもういなくなりつつあるそうだ。鍛冶屋さんというと元々は刀鍛冶あたりの流れである場合が多いのだけれど、こういう状態はどんな業界でも同じなのだろう。ちなみにこのコテは大津磨き専用だという。土壁を塗るには土壁のコテ、なんでも一緒のコテで塗るのではない。これはレストランのシェフがオムレツ専用のフライパンを用意していたり、対象に合わせてさまざまな包丁を用意していたりするのに似ている気がする。本当のプロは道具にこだわる。これは最良の仕事をするための条件をしっかりと準備するということでもあるし、そもそも良い仕事をするための道具そのものが好きなのだと思う。

真紅の大津磨き

2022/08/17

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
今日は埼玉県さいたま市にて進行中のAさんの茶室の撮影を行った。作業をしているのは左官屋さんの小沼さんである。小沼さんは以前の日記にも書いたけれど、○○建材などの調合漆喰を使わない職人さんである。調合漆喰が悪いわけではないけれど、やっぱり消石灰と藁すさとツノマタを混ぜて作る漆喰の方が良いという考えで、いわゆる昔ながらの材料を作り、昔ながらの手法で壁を塗っている。今写真撮影をしているのは大津磨きの手法で茶道口の壁の小口を塗っている様子である。小口だけを真紅の大津磨きの手法で仕上げているのは小沼さんの提案なのだけれど、これはなかなか洒落た仕上げになるだろう。撮影しているカメラマンさんも真剣な眼差しで見学をしていたが、なかなか見れるものではない特別な仕上げなのである。

 

高過庵

2022/08/15

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
中央自動車道を通ると滋賀県から埼玉県への帰りがけに諏訪がある。このみちは中央アルプスと南アルプスの間を通り抜けるので、とても眺めがよく山好きにはたまらない道である。この伊那谷は寒天などの生産が有名である。同じ長野県でも長野市とはまた違う本当の田舎が味わえる。もう少し進むと諏訪がある。諏訪の地にある諏訪大社の神長官を務めている守矢氏の資料館、及びその周辺の茶室群を藤森照信先生が設計している。非常にユニークな小建築群で、一件の価値ありということで帰りがけに寄ってみた。

写真は高過庵である。入るには梯子を登る。実際に使うのは骨が折れるだろうが、ユーモアあふれる建築としてとても愛着が持てる。大体昔から人は高いところが好きなのだ。藤森建築群は近隣の公民館も加わり合計五件となっていた。建築が街を変えるという現象を目にすることがあるが、この街も藤森建築とともに少し変化したのかもしれない。

太陽の光はまさに1日のスタートであり、全ての生命の目覚めの機会だ

2022/08/11

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
二日目の今日は、昨日と同じく丸山から天狗岳方面いむかい、様子を見ながら天狗岳アタックか黒百合ヒュッテのビーフシチュを目指すことにした。だいぶ差のある目標だけど、二人の娘たちのリクエストだから仕方がない。

朝、4時ごろに小屋を出て高見石まで登るり日の出を待つ。だいぶガスっているので日の出を見ることは難しそうだけれどもしかしたらの期待を込めて・・・。残念ながらご来光とはいかなかったが、朝焼けで空が染まる様子は見ることができた。太陽の光はまさに1日のスタートであり、全ての生命の目覚めの機会だと思った。単純なことだけれど都会で暮らしているとなかなか気づくことができない大切なことである。自然と涙が出てくる、とても感動的な一瞬であった。

黒百合ヒュッテは改修工事中でまさにスケルトンリフォームの真っ最中である。大工さんたちが作業しているが、なんとなくあくせくした様子がない。まあ標高2000メートルまできて作業をしてくれる大工さんたちである、そんなにあくせくするような人はいるはずもない。息子と妻が天狗岳アタック、娘たちと僕は黒百合ヒュッテでお留守番ということになったので、一足先にビーフシチューを味わうことにした。名物だけあってなかなかの味である。滞在するほぼすべての人がビーフシチューを食している様子だが、これはとてもすごいこと。山の上でも行列のできるお店はあるのだなあ。

ニュウを通過する帰路、北八ヶ岳の原生林を見た。とても緑色の深い山である。高山に生まれた湿原地帯ならではの植生なのだろう。地球高温化による山火事などのニュースが断つことがないけれど、これからも失いたくない光景である。

僕は好きな仕事をするために建築の道に入り込んだ

2022/08/10

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
今日は家族で北八ヶ岳白駒池に訪れた。北八ヶ岳の広大な原生林の中に、満面に清水をたたえた神秘的な湖で標高2,100m以上の湖としては日本最大の天然湖だ。コメツガ、トウヒ、シラビソの原生林で、地面は一面の苔で覆われている。うねうねとした大地が緑一色で覆われている様子は色々な山に行っているけれどあまり見ることはできないだろう。

今夜の宿泊はあらかじめ高見石小屋、まずは白駒池を通過して小屋まで登ることにした。高見石までは約1時間ほどの軽い登りである。苔の大地から発生するマイナスイオンに包まれながら気分よく歩いているとすぐに目的にが見えてきた。そもそも標高が高いので下界の暑さが嘘のような状態である。気温は100メートルで0.6度下がると言われているので、2000メートルでは12度も低いことになる。下界が30度ならこの地点は18度、ちょっと長袖を着たくなるような温度なのだ。

小屋に到着してひと段落したら、1時間ほどかけて近くの丸山まで登る。途中次女の様子がおかしいので引き返すことにしたのだが、どうやら車の中に貧血の薬を忘れてしまったようだ。幸い約2時間ほどの往復できるコースなので取りに行くことにした。本当はニュウを回遊する予定だった物足りなさを晴らそうとハイペースで往復すること約1時間、コースタイムの半分で薬を取ってくることができた。

山小屋の主人は30代の若者である。星博士の先代について修行し引き継いだそうだ。毎晩星について話をしてくれるようだが、なかなか面白い。小屋の蔵書にヘンリーデビッドソローの「孤独の愉しみかた」に出会った。この本にあった一節「手段や道具は、真理を追究するためのものなのに、手段や道具ばかりに夢中になる社会ができあがってしまった」に代表されるように人生の真理を考えさせてくれる本である。僕は好きな仕事をするために建築の道に入り込んだ。好きなことをして生きていることの大切さを改めて感じさせてもらった本との出会いがこの山小屋であったこともまた最高の偶然だ。山はやっぱり最高だ!

セルフビルドにはロマンがある。自分の家は自分で建てるの実践は多くの可能性を示してくれる。

2022/08/08

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
今日はお盆休み前のバタバタとした1日であった。午前中は川口市で取り組んでいる旧本町診療所内のコマームナーサリーという保育園の設計に関する打ち合わせ。この建物は古い診療所あとを改修して、2。3階を保育園に利用しようというもの。1階ピロティー部には車椅子用の駐車場が計画されているが、どうやらこれが条例に違反するようだ。とはいえ後から道路拡幅が行われ、結果的に違反となってしまったのだから悪意はない。でもそのまま確認申請を行うこともできないわけでやっぱり駐車場はなくすということで決定するしかないであろう。こういうシチュエーションはリノベーションならではの難しい局面であるけれど、それを嫌がれば全てを壊して再建築するしかないの破滅的結論になってしまうわけだから、「壊さない建築家」を標榜する僕としては、これも環境保全のための大切な活動と考え丁寧に突破していくしかないのである。

午後、新たな設計ソフト導入に関する打ち合わせ。

続いて埼玉県さいたま市にて進行中のAさんの茶室現場確認。

夕方、埼玉県越谷市にて弓道場のある住宅を作りたいというSさん打ち合わせ。開発申請の関係からまずは住宅部分だけを作り上げることになり、いよいよ確認申請の段階である。超ローコストへの挑戦なのだけれど、セルフビルドを積極的に取り入れたいSさんであれば何とかなるであろう。セルフビルドにはロマンがある。自分の家は自分で建てるの実践は多くの可能性を示してくれる。もちろん全てのことを行うのは難しいが、例えば屋根と外壁部分だけを作り上げてしまって後は自分でやるというようなハーフビルドであれば、やる気があればできないはずはないのだ。何もしないでローコストを目指せば、建売住宅の餌食になるしかない。だってこの世界には、同じものを大量に作るという大量生産の塩酢による手法しかないのだから。でもセルフビルドは違う。自分のための家づくりを行うことは労働ではない。労働ではないからこそ、時間をかけてこだわりの作業を経済という呪縛から解放されて行うことができるのである。

 

光を効率的に透過するためにスノコ状の床や段板だけのオープン階段

2022/08/06

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
今日は東京都豊島区にて新築住宅を設計中のWさんご夫妻打ち合わせ。都会の土地に作る完全2世帯住宅の計画である。周りを囲まれている土地の中でいかに光を取り込むことができるかを考えた結果、階段を納めた箱を光の筒として構成し、そこに対して居室空間が寄り添うようなプランをプレゼンすることに。今日は第1回目のプレゼンテーションなので、1/100のプランと模型を使用したご提案をした。ますいいでは基本設計のスタート時点で2回の無料プレゼンを行っている。プレゼンは基本的に基本設計が終わるまで模型と図面によって行う。図面だけだと建物の全貌が理解できないが、模型があれば一目瞭然だからである。今回は光を効率的に透過するためにスノコ状の床や段板だけのオープン階段をご提案した。
次回は第2案である。裏千家茶道を楽しむWさんのご意向で畳の魔が欲しいとのこと、面積を確保するために螺旋階段を取り入れた新たな案を楽しんで考えたいと思う。

良い家づくりを目指す思いは同じ思いを持つ人を集めるのだ

2022/08/05

埼玉県さいたま市にて進行中のAさんの茶室の工事でいよいよ左官工事が本格的にスタートする。今回の左官職人さんは小沼さんと言って、知る人ぞ知る名人である。名古屋の知人よりご紹介いただき、この現場から土塗壁などの仕上げをお願いすることになったことは以前の日記にも書いた。そして小沼さんと大工の本間さんが15年くらい前に同じ現場で家づくりをしていたというご縁があったことも書いた。類は友を呼ぶ、良い家づくりを目指す思いは同じ思いを持つ人を集めるのだと改めて感じた出来事であった。この現場はとても良い空気に包まれている。クライアントのAさんが本間さんの最後の作業日に花束を持ってきてくれた。こんなことってあるだろうか。僕はこれまで経験したことがない。お互いの思いがとても良い方向に影響しあっているのである。写真は小間の下地処理の様子。小間は荒めの土塗り仕上げ、広間は土塗壁のスサが目立たないように仕上げる予定だ。小間の茶道口のRの部分にはそこだに大津磨きを施す。入口土間は藁漆喰、トイレなども水回りには土佐漆喰を塗る予定である。土間はかき落としで仕上げてもらう。左官は水と漆喰そして土を使って空間を包み込む要素を作る芸術的作業である。この素晴らしい技が加味されることでさらに素晴らしい茶室となるであろう。

増井真也 日記アーカイブ