増井真也 日記 blog

最近は物価の上昇に伴ってリフォームの依頼が増えている

2024/10/23

衆議院選挙が街を賑わせているが、どうも国政選挙は市議会議員選挙などと比べると盛り上がりに欠ける気がする。地方選挙に比べてどうしても縁遠い気がするのが原因か、はたまた単純に候補者が少ないからなのか、僕の住む川口市は投票締め切りと同時に結果が分かるような選挙区だからなのか。とにかくこの国を良い方向へ導いてくれる政治家に受かって欲しいものだ。

最近は物価の上昇に伴ってリフォームの依頼が増えている。そもそも日本に建っている築年数が30年くらいの住宅は、まだまだ利用できる状態のものが多く、表面を綺麗にして、ほんのちょっと耐震補強をして、この先何十年も住み続けることができるものが多いのだから利用した方が良いのだ。これだけ空き家が増えている時代に、新築住宅をわざわざ建てる選択をするのも良い。でもリフォームする家が身近にあるならば、やっぱりそれを利用した方が良いと思う。

この事例はホームセンターに勤めるご主人がセルフビルドに取り組みながら、奥様の実家をリフォームし、親子と奥様のお母さんが同居するための家を作り上げた事例である。もともと和室だった部屋の天井を取払い、子世帯のリビングとして利用している。2世帯住宅の場合は、このように適度な距離も持って過ごすことができるようなプランの工夫も大切だ。天井の下から現れた梁を化粧で見せることで、特徴的な空間となっている。

越谷市のIさんの家では、土壁のセルフビルドを行った

2024/10/18

越谷市のIさんの家では、土壁のセルフビルドを行った。総工費が1000万円ほどで家全体の7割ほどをリノベーションするこということで、木摺や土壁の塗りつけ作業はものつくり大学の学生たちの協力を得て、そしてもちろんお施主さんも最大限加わってのセルフビルドを採用した。伝統構法でも素人仕事が向いている内容もあるし、左官技能者の高度な技能がなければ不可能なこともある。この木摺下地の中塗り土仕上げは、素人仕事としては少々難易度の高い仕事であったが、とても良くできたのではないかと思う。

今日は埼玉県蕨市にて設計中のSさんの古民家改修工事の構造について、構造家の山辺豊彦さんと担当の鈴木さんと一緒に現場の確認を行った

2024/10/17

今日は埼玉県蕨市にて設計中のSさんの古民家改修工事の構造について、構造家の山辺豊彦さんと担当の鈴木さんと一緒に現場の確認を行った。築約100年ほどの古民家に増築をされているという典型的な住宅を、増築部分の一部を解体・減築して最も古い部分を再生するという計画である。既存の構造の状況をチェックするために、天井の一部に穴をあけ小屋裏を除いたり、床下を除いたりの確認を二時間ほど行い終了した。写真は床の間の様子である。部屋の壁は土壁の上に黒漆喰磨き、とこの中は土壁の上に紅葉絵のある砂壁仕上げとなっていた。この部分は解体してはいけないなあと、保存する方向での計画とすることにした。それにしても、こだわりの左官仕事である。これだけの仕上げを職人にさせることができたということは、よほど目利きの施主だったのだろうと思う。

「漆喰磨き1合炊き竈」

2024/10/13

今日は名古屋の勇建工業さんにて、かまど作りの二日目。昨日の中塗土に漆喰を塗って磨いて仕上げる。こちらは仕上がった「漆喰磨き1合炊き竈」。1合のお米を固形燃料で美味しく炊くことができる。この写真は左官の加村さんの作品で、僕が作ったものは只今乾燥中である。ここまで上手に作れるはずもないけれど、練習に何個か作ってみようと思う。

竈のワークショップ

2024/10/12

2連休。今日は名古屋にある勇建工業の加村さんのもとに、竈のワークショップを行いに来た。

瓦に竈の大きさを示す四角を描く。
線の中に白セメント、珪砂6号、メトローズ少々、ハイフレックスを混ぜた下地材を薄く塗る。
その上に追っかけで土を塗る。
日干しレンガを土で接着しながら四角の線に内側に積む。(ここで数日乾燥させる)
ガイドをあてがって、出っ張っている部分を剣山で削り取る。
その上に土を中塗りする。(初めは薄く塗って、型板の形に合うように徐々に土をつけていく。)
しばらく乾燥させて、硬い鏝で綺麗に押さえる。(火窓の整え、表面の押さえ、面取りなど)

今日の作業はここまでである。このかまどは1号炊きの鉄鍋を使って、固形燃料でご飯を美味しく炊けるものだ。明日は二日め、漆喰の仕上げを習得する。いずれますいいのワークショップでも取り入れるので楽しみにしていてほしい。

この木の色が数年後には綺麗なグレーに変化する。こういう変化を経年美化というが、それが楽しみな素材である。

2024/10/05

今日は埼玉県さいたま市にて進行中のOさんの家の現場へ。この現場では電気配線や断熱材の施工などが進行中で、造作工事の完成に向けて何人もが作業をしている。写真は杉の化粧材を貼った様子。柾目の通った節のない綺麗な材料で施工をすることができた。全体的にはモルタル下地の上にジョリパット仕上げを採用していて、味わいのある左官仕上げになるのだが、玄関周りだけは杉板を採用している。この木の色が数年後には綺麗なグレーに変化する。こういう変化を経年美化というが、それが楽しみな素材である。

日本の家は明るすぎる。僕の家のリビングは、間接照明が中心であんまり天井についているダウンライトをつけることはない。

2024/10/03

茶室の壁に土壁を塗った話を数日前に書いた。その茶室の炉に炭を入れ、茶を点ててみた。もちろん炉開きの時期はまだ先であるが、試しに使ってみたいの気持ちはなかなか抑えることはできない。水指は萩、茶碗は黒楽、棗は黒漆の無地、花入には信楽を設えた。花は秋明菊に美男葛。余計なものを排除してみて土の空間を味わってみた。この部屋には一応照明がついているけれどそれを消してみるとわずかな自然光に照らされる方が美しいことがわかる。道具たちだけではなく、茶室の聚楽壁の表情もわずかな揺れ動くような明かりの方が、一つ一つの藁の様子がわかるような撫でものの優しい風合いが伝わってくる。

日本の家は明るすぎる。僕の家のリビングは、間接照明が中心であんまり天井についているダウンライトをつけることはない。夕食の時は蝋燭の光と、二つある間接照明の灯りを使うのだけれど、それに目が慣れてしまうと明るすぎる光は目が疲れてしまうようになる。バーの明かりが蛍光灯だったら嫌なのはみんな一緒だろう。でもなぜか家のリビングだとみんなめいいっぱい明るくしてしまう。北欧の家は総じて暗い。キャンドルとストーブの灯り、そしてわずかな間接照明が心地よい。

灯りの文化が日本にはないのか。そんなことはない。茶室にはそれがある。茶室に蛍光灯をつける人はいない、いないはずである、多分いないだろう・・・(一部の公民館などではそういう酷い事例を見ることもあるけど。)みなさんも思い切ってリビングにある蛍光灯を取り外してみてほしい。代わりに間接照明を二つくらい買ってみよう。それだけでもきっと灯りの魅力に気がつくと思う。

土間キッチンのあるこのスペースが玄関を兼ねている

2024/10/02

狭小住宅の設計では、いわゆる玄関スペースが無駄となる。昔の農家の家では、外部との出入り口のある土間の部分に炊事場があってそこで煮炊きを行った。いわゆる玄関土間スペースというものではなくって、半外部的な広間で水と火が使えるようになっていた。写真の住宅では、土間キッチンのあるこのスペースが玄関を兼ねている。家の目の前には畑スペースがあって、そこで採れた野菜をキッチンでそのまま料理することができるようになっている。目の前に見えるキッチンカウンターの天板のタイルはお施主さん自身がDIYで貼りつけたものだ。タイル貼りはセルフビルドの中でも簡単でお勧めだ。土間にはフレキシブルボードを敷いている。実はこの床の下には床暖房が入っているので、冬でも暖かく過ごすことができるよう工夫されている。

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