増井真也 日記 blog

竈のワークショップ

2024/10/12

2連休。今日は名古屋にある勇建工業の加村さんのもとに、竈のワークショップを行いに来た。

瓦に竈の大きさを示す四角を描く。
線の中に白セメント、珪砂6号、メトローズ少々、ハイフレックスを混ぜた下地材を薄く塗る。
その上に追っかけで土を塗る。
日干しレンガを土で接着しながら四角の線に内側に積む。(ここで数日乾燥させる)
ガイドをあてがって、出っ張っている部分を剣山で削り取る。
その上に土を中塗りする。(初めは薄く塗って、型板の形に合うように徐々に土をつけていく。)
しばらく乾燥させて、硬い鏝で綺麗に押さえる。(火窓の整え、表面の押さえ、面取りなど)

今日の作業はここまでである。このかまどは1号炊きの鉄鍋を使って、固形燃料でご飯を美味しく炊けるものだ。明日は二日め、漆喰の仕上げを習得する。いずれますいいのワークショップでも取り入れるので楽しみにしていてほしい。

日本の家は明るすぎる。僕の家のリビングは、間接照明が中心であんまり天井についているダウンライトをつけることはない。

2024/10/03

茶室の壁に土壁を塗った話を数日前に書いた。その茶室の炉に炭を入れ、茶を点ててみた。もちろん炉開きの時期はまだ先であるが、試しに使ってみたいの気持ちはなかなか抑えることはできない。水指は萩、茶碗は黒楽、棗は黒漆の無地、花入には信楽を設えた。花は秋明菊に美男葛。余計なものを排除してみて土の空間を味わってみた。この部屋には一応照明がついているけれどそれを消してみるとわずかな自然光に照らされる方が美しいことがわかる。道具たちだけではなく、茶室の聚楽壁の表情もわずかな揺れ動くような明かりの方が、一つ一つの藁の様子がわかるような撫でものの優しい風合いが伝わってくる。

日本の家は明るすぎる。僕の家のリビングは、間接照明が中心であんまり天井についているダウンライトをつけることはない。夕食の時は蝋燭の光と、二つある間接照明の灯りを使うのだけれど、それに目が慣れてしまうと明るすぎる光は目が疲れてしまうようになる。バーの明かりが蛍光灯だったら嫌なのはみんな一緒だろう。でもなぜか家のリビングだとみんなめいいっぱい明るくしてしまう。北欧の家は総じて暗い。キャンドルとストーブの灯り、そしてわずかな間接照明が心地よい。

灯りの文化が日本にはないのか。そんなことはない。茶室にはそれがある。茶室に蛍光灯をつける人はいない、いないはずである、多分いないだろう・・・(一部の公民館などではそういう酷い事例を見ることもあるけど。)みなさんも思い切ってリビングにある蛍光灯を取り外してみてほしい。代わりに間接照明を二つくらい買ってみよう。それだけでもきっと灯りの魅力に気がつくと思う。

土間キッチンのあるこのスペースが玄関を兼ねている

2024/10/02

狭小住宅の設計では、いわゆる玄関スペースが無駄となる。昔の農家の家では、外部との出入り口のある土間の部分に炊事場があってそこで煮炊きを行った。いわゆる玄関土間スペースというものではなくって、半外部的な広間で水と火が使えるようになっていた。写真の住宅では、土間キッチンのあるこのスペースが玄関を兼ねている。家の目の前には畑スペースがあって、そこで採れた野菜をキッチンでそのまま料理することができるようになっている。目の前に見えるキッチンカウンターの天板のタイルはお施主さん自身がDIYで貼りつけたものだ。タイル貼りはセルフビルドの中でも簡単でお勧めだ。土間にはフレキシブルボードを敷いている。実はこの床の下には床暖房が入っているので、冬でも暖かく過ごすことができるよう工夫されている。

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