増井真也 日記 blog

今日は小林澄夫さんと会うために風土社に来た

2023/04/24

午前中、東京都台東区にて新築住宅を計画中のSさん打ち合わせ。Sさんの家はいわゆる浅草近郊の込み入った住宅街に建っているのだけれど、すぐ隣に10階建てのマンションが突然建ってしまい、日当たりの悪い状況となってしまった。そこで古いご実家と貸家を壊して、日当たりや風の通りに配慮したパッシブ設計の手法を取り入れた木造2階建ての住宅を作ろうという計画である。今日はプラン修正の打ち合わせを行った。

 

夕方、JRの飯田橋駅で降りて、神楽坂の隣にある軽子坂を10分ほど登ったところにある風土社を訪問。この坂は江戸時代に海から上がってきた荷物を下ろし、屋敷街まで運び上げるために作られた坂だそうだ。今では洒落た店が並んでいて、特に二つの坂に挟まれた細い路地を入った地帯は表通りよりも発見と驚きに溢れる魅力的な路地となっている。

今日は小林澄夫さんと会うために風土社に来た。仲介人はチルチンびとの編集長、山下さんである。小林さんは左官教室という本の編集長をされていた方である。いわゆる左官の世界の生き字引、多くの仲間を持ち、知識も持っている。さらに言えば小林さんは詩人という肩書も持っている。その目はまるで亀の目のように透き通っていて、純粋である。まあこういう人ではいと人生をかけて左官の研究などしないのだろう、と訳のわからぬ納得を感じながらお話に耳を傾けた。
僕は左官について研究を深めようと考えているのだが、そのための道筋を示してくれる羅針盤となってくれる人であると予感している。このような素晴らしい方をご紹介いただけるというご縁に感謝、なんとも恵まれた話なのだ。話を終えて路地にある居酒屋で一杯、最後には〆の鰻重を堪能して家路についた。

今日は早稲田高校山岳部のOB会に参加した。

2023/04/22

今日は早稲田高校山岳部のOB会に参加した。場所は懐かしの高田馬場「清龍」である。この店で何度酔いつぶれたかわからぬ思い出の店だ。総勢40名ほどだろうか、顧問のお二方もすでに退職されており、青木先生など80歳になられたとのことだが、昔と全く変わらない様子に驚いた。3歳年上の高村先輩は最も可愛がってもらった先輩だ。同じ早稲田の理工学部に進学したので、目標とする先輩だったが30年間ほぼ変化なしの当時のままの姿であった。人はあるところから先は老いはするもののそうそう変化はないということなのだろう。髪がなくなったり、体重が倍増したりの劇的変化がない限り、少しづつシワが増え年老いていく変化には気が付きづらいのかもしれない。

数年ぶりのOB会、初めのうちは恐る恐る声を掛け合うが、次第に昔の呼び名に戻ってくる。時を戻すのに30分以上はかからない。中学高校の6年間を共に過ごした仲間との再会は、なんとも言えない楽しい時間であった。

様々な地域に残る伝統的左官の技法を調査し、その特徴を比較調査してみたいと思う

2023/04/19

現代建築では省力化や均質化のために、古くから伝わるさまざまな技術がなくなっているが、左官もその一つである。ビニルクロスや塗装にその座を奪われることは避けられたとしても、石膏ボードに薄塗り仕上げのような漆喰が当たり前になってしまい、昔ながらの手法で施工できる職人はどんどん減少してしまっている。

私は住宅、茶室建築や古民家の再生、公共建築の新築やリノベーション等に設計者、そして住宅規模の木造建築においては現場施工管理者として携わっており、それらの現場では木ずり下地などの本格的な漆喰や土壁、そうでなくとも薄塗りの漆喰仕上げを取り入れるように心がけている。しかしそれらの設計施工を行うにあたり、建築が建つ場所性に基づき適正な色土、砂、色砂、石灰、荒壁土、中塗り土、スサ、糊、顔料を選定し、職人に対して適正な指示を出すことはとても難しい。昔は至る所で土が取れ、その土が持つ色がその場所の左官の色を決めていた。だから良い土が取れる場所の近くには左官屋さんが多くいたそうだ。今ではその土が取れる場所は一部の山を残すのみとなってしまったのである。

様々な地域に残る伝統的左官の技法を調査し、その特徴を比較調査してみたいと思う。そうすることで、その壁がこうであって欲しいと定義づける言語が手に入るような気がする。そしてその言葉はきっととても優しい言葉であるような予感がある。

下の写真はますいいリビングカンパニーモデルハウスの茶室の壁に用いた木ずり下地土壁仕上げの断面模型である。木ずり下地は檜厚み15mmを使用した。

今日はますいいリビングカンパニーの新入社員歓迎会を兼ねた家族会を開催した

2023/04/16

今日は埼玉県さいたま市にある二木屋さんという料理屋さんにてますいいリビングカンパニーの新入社員歓迎会を兼ねた家族会を開催した。設計や現場管理のスタッフだけでなく、一緒に家づくりをしている大工さんとそのご家族もご参加いただき総勢64名で大変賑やかな会を開催することができた。これからも良い仲間と共に、良い家づくりを続けていく所存です。末長いお付き合いをよろしくお願いいたします。

 

社員の顔を思い浮かべながら、そして奥様やお子様の顔を思い出しながら、メッセージを紡ぎ出していると、自然とみんなにもっと幸せになってほしいなあと思うものである

2023/04/15

午前中は東京都杉並区にて新築住宅を検討中のFさん打ち合わせ。お母様がお亡くなりになったご実家の敷地に小さな家を建てる計画である。昨日は平家の提案から2階建ての可能性を探るお話をさせていただいた。

12時より水道屋さんのSさん宅訪問。Sさんは僕が初めて家造りをさせていただいたお客様でもある。昨年より大病を患い今は病気療養中、大好きなお酒を飲むことはできなかったけれどその分僕が飲んであげた・・・。奥様の美味しい手料理を味わいながら16時ごろまで長居してしまう。言われて気がついたけれどこんなふうに一緒に飲むのは10年以上ぶりだとのこと。大切な人との大切な時間は意識して作らないとあっという間に時間がたってしまうのだなあの感である。

今日は明日開催されるますいいリビングカンパニーの年一回の新入社員歓迎会、家族会に向けてご参加くださる社員と大工さんとその後加増に向けたお手紙を書かせていただいた。こんなふうに一人一人に向けてお手紙を書くなどそうそうあることではないけれど、ゆっくりと時間をとって書き出してみると、すごく上質な大切な時間を過ごしているなあということに気がつく。社員の顔を思い浮かべながら、そして奥様やお子様の顔を思い出しながら、メッセージを紡ぎ出していると、自然とみんなにもっと幸せになってほしいなあと思うものである。そんなふうに思う本当の思いがあってこそ、優しさあふれる経営に向かっていくことができるのだと思う。明日は一人一人と丁寧にお話ししたいと思う。

今日は朝からチルチンびとさんの編集長の山下さん、ライターの太田さんがモデルハウスの取材に来てくれた。

2023/04/10

今日は朝からチルチンびとさんの編集長の山下さん、ライターの太田さんがモデルハウスの取材に来てくれた。取材にはモデルとして設計を担当した田村室長のご家族も参加してくれた。取材は10時ごろから始まり、14時ごろまで続けられた。光の移り変わりを見ながら良いアングルを探していく山下編集長を見ていると流石だなあの一言である。

建築に感じる美しさや愛おしさとは、自然とつながる無償の存在がどれだけ含まれてれいるかによって感じるものなのだ

2023/04/06

今日は、東京都文京区でご両親から受け継いだ土地に、自宅と貸し屋の建築を検討中のKさん打ち合わせを行った。土地は結構広い。こういう広い土地を維持し続けるということはなかなか大変だ。部分的に販売すると言っても、計画的に行わなければメチャクチャになってしまう。道路のように使用する部分を作ったり、はたまた本当に位置指定道路を造成してしまったりの手法によって、区切ることができる区画の数も変わってくる。位置指定道路というのは本当の道路と同じように扱えるので、そこに2m以上接道するように分割すれば小さな土地を多く作ることも可能になるのだ。

こういう土地を相続すると多くの場合アパート経営の道を進む方が多いだろう。でも、同じようなアパートばかりが建ち並ぶ街並みをこれ以上増やしたくないなあの想いは誰にでもあると思う。なんでも良いから建てて貸せば良い、の発想で造られた街並みはなんとなくきちんとした豪華なものに見えるけれど、でもそれ以上の何も感じることはできない。

田舎道を歩いているといわゆる農家建築を見かけるが、そういう民家はどこか愛おしく感じるものである。こうした民家に使われている素材は、木であり、竹であり、草であり、泥であり、石であり・・・つまり地場で見出される元々は無償のものである。樹木は板になるために生えたのではない。砂利はコンクリートになるために生まれたのでもない。しかしながらハウスメーカーが作る工業住宅によく使われる建材はサイディングに代表されるようにあらかじめ建材になるべくして生まれたもので無償の存在とはいえないものである。木はゆっくりと土に帰る。泥と草で作られた左官壁もまたゆっくりと粘土に帰っていく。無償の存在から生まれたものたちは、再び自然に帰ろうとする。建築に感じる美しさや愛おしさとは、自然とつながる無償の存在がどれだけ含まれてれいるかによって感じるものなのだ。

街並みもしかり。あらかじめ貸しアパートとして作られた積水ハウスやパナホームの建ち並ぶ様相はまさに新建材で作られた住宅から感じる薄っぺらさである。対して、自然な住宅の集合体に同じような価値観の人たちが集い暮らすような場は、無償性を持つ素材のごとき愛おしさを感じるものとなるであろう。この計画では普通の住宅の集合体を作ることが望ましいと思うのである。
(桂離宮:土壁、石、畳、・・・ここには無償性の素材しかない)

埼玉県川口市鳩ヶ谷の里というところにますいいのモデルハウスが出来上がった

2023/04/03

埼玉県川口市鳩ヶ谷の里というところにますいいのモデルハウスが出来上がった。木造2階建ての40坪ほどの小さな建築である。この住宅はパッシブ設計を取り入れたLCCM住宅である。パッシブ設計とは、光や風といった自然の力を久の出寸法や窓の位置や大きさをコントロールすることで最適化して、エアコンになるべく頼らないで快適な状態を作り出そうという設計である。LCCMというのは「ライフ サイクル カーボン マイナス」の略称で、CO2排出量が生涯を通してマイナスになるという性能である。この性能は建築の断熱性能を高めるとおともに省エネ機器を使用し、屋根の上でソーラー発電をすることで実現する。

もう一つの特徴は、ベニヤ板などの新建材を全く使用していない健康住宅という点である。この性能は僕みたいに喘息といった現代病を持っている人には大変ありがたいものである。多くの現代病は化学物質に対するアレルギーによって引き起こされるものである。昨今の耐震等級3の住宅を作るには24ミリの構造用合板を釘留めして水平剛性を実現するのだが、この住宅ではそれを使用せず、杉板を根太に釘3点留めすることで水平剛性を発現させている。合板を使用すれば瞬時に終わる作業だけれど、わざわざ手間隙をかけて一枚一枚の板を貼る作業は合理的ではない。でも大切な家づくりにはこういう手間隙をかけることこそが重要だと思うのである。

一生暮らす家を一生続くローンを組んでまで建てて、その家が理由で健康を害することほどおかしなことはない。これは全て生産者の側の理由で起きた悲劇であるのだ。少しでも手早く、少しでも均質に、少しでも大量に物を作る必要などないのである。むしろ空き家が問題となっている現代においてそれでも家を作ろうとするならば、なるべく丁寧に時間をかけて自分たちにとって本当に快適な空間を作らなければいけないと思うのである。これらの構造計算は「ヤマベの構造」で有名な山辺先生に依頼した。山辺先生はますいいの構造研修会で全4回にわたる社員研修を依頼した先生である。90角の檜の筋交など強固な構造を考えてくれる心強い仲間である。

古民家再生現場にてチルチンびとの撮影を行った

2023/04/01

今日は埼玉県川口市にて進行中の古民家再生現場にてチルチンびとの撮影を行った。この現場では現在構造補強を行っている。この建物は100年前に作られ、50年前に曳家されている。その後も小さな増改築を繰り返し今に至る。築100年の古い構造体には傷んでいるところもあれば、度重なる改修工事などの結果ちょっとまずい状態になってしまっているところもある。特に接合部の金物が無かったり、そもそも筋交と呼ばれるものがなかったりの状態では来るべき大地震に耐えられるはずもないわけで、計算に基づいた補強をしなければ安心して暮らすことができないわけだ。

今回の古民家再生では「ヤマべの構造」という木造の構造書の中ではバイブルとなっている書を執筆した構造家の山辺先生の指導を受けながら、耐力壁を作ったり、梁や柱の接合を強化したりの補強を行った。使用している材木は全て岐阜県の木曽と奈良県の吉野から取り寄せたヒノキである。古民家は欅などの硬い木が使用されているので、杉ではそういう固い木に負けてしまって耐えることができないのである。今日はちょうどその工事がそろそろ終わりそうだということで、古民家再生における構造補強というテーマで取材をしていただいた。

古民家再生という仕事は、やっていてとても気持ちが良い。民家再生を手掛けてみると日本のような高温多湿の環境下でいかにして長寿命の家をつくろうと努力を重ねてきたかがわかるだろう。木材は地面に近いところから腐り始める。民家の外周部にある柱の根本にはそういう部分を直した根継ぎの跡がある。先に述べたように、家族構成の変化に応じリフォームもされているだろう。つまりはすでに何度も再生されてきて今に至るのである。写真に写っているような今では手に入らない太い良材が魅力である古民家再生だが、昨今の急激な気候変動を引き起こした大量生産大量消費社会に対するアンチテーゼであるという点こそがその本質的な意味であると思う。

取材には編集長の山下さんとカメラマンさん、そしてライターの鈴木さんがいらしていただいた。構造補強や力の流れ、工事をする上で大変だった点などなど説明させていただいて12時ごろ終了した。

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