増井真也 日記 blog

誰にも出し抜かれない生き方がある。それはゆっくり歩くことだ

2023/02/28

最近お葬式に参加することがやたらと増えている。今週は今日と明日の2連続でお世話になった方のお父様の葬儀に参列するのだが、そんなに寒くもないのにどうしてお亡くなりになる方が増えているのか不思議である。葬儀に行くと、最近はメモリアルコーナーのような設をよく見かけるようになった。生前のお姿を見ると、その人が生きてきた証のようなものが感じ取られ良いと思うがこういうものもあまり形骸化しない方が宜しいような気もする。亡くなった方を見ていると、たまにとても幸せだったんだろうなと感じる時がある。なんだかとても良い人生を歩んできたのがひしひしと伝わってくるような瞬間である。そういう人は大体自分のペースで生きてきた人のような気がする。

「誰にも出し抜かれない生き方がある。それはゆっくり歩くことだ。」

これはヘンリーデビットソローの言葉である。「さて今から出発すれば、夜までにフィッチバーグに着くだろう。以前このペースで1週間歩いて旅をしたことがある。君はその間働いて汽車賃を稼ぎ、明日、あるいは幸運にもかきいれどきですぐ仕事が見つかれば今夜にも、そこへ着くだろう。フィッチバーグを目指して歩く代わりに、君は1日の大半をそこで働いて過ごすわけだ。ということは、鉄道が世界を一周したとしても、僕は常に君より先を行っていることになる。さらに、その地方を見物し、いろんな体験ができることを考えると、とても君のやり方に付き合う気にはなれないね。宇宙の法則とはこうしたもので、人間はとてもかなわない。」

まあ地球を一周は大袈裟だとしても、こういうふうに自分の足で歩くスピードを忘れないことは大切だと思う。そして僕が良い人生を歩んできたのだろうなあと感じる人は大体の場合、自分おスピードで歩く時間を大切にしてきていた人だと思うのだ。自分自身への戒めである。

建築本体で1500万円というなかなか厳しいローコスト住宅への挑戦である。

2023/02/25

午前中、埼玉県吉川市にて設計中のSさんの家の打ち合わせ。建築本体で1500万円というなかなか厳しいローコスト住宅への挑戦である。クライアントのSさんは弓道をやっていて、セルフビルドで弓道場を作りたいという夢を持つ。元々は家の中から弓を射るような計画も考えていたのだけれど、流石にそれもないだろうということで、まずは住宅を建設しその後に弓を射ることができる小屋を作ろうという計画になったわけだ。住宅は木造2階建、仕上げなどはほとんど全てセルフビルドで行う予定だ。今回の打ち合わせでは予算まであと一歩というところまで近づけることができたのでいよいよ工事に向けて進みそうである。

午後、東京都台東区にて茶室のリフォームを検討中のOさん打ち合わせ。修正プランのご説明と概算見積もりのご提示を行った。

続いてマンションのリフォームを計画中のTさん打ち合わせ。プランの作成に向けたヒアリングなどを行った。

今日は埼玉県入間市にある茶業研究所の茶室の調査に伺った

2023/02/22

今日は埼玉県入間市にある茶業研究所の茶室の調査に伺った。とても古い木造平家建築で、石場建に土壁風仕上げなのだが、だいぶ傷んでしまっているようで全面的な改修工事が必要となる。柱だけでなく梁までもがシロアリの被害を受けてしまっているようだから、構造部材の交換も半分以上は必要そうだ。写真は小屋組の様子である。丸太を使って組み上げた化粧の小屋組の上に、葭簀の天井を貼っている。草庵と呼ぶにふさわしいなんとも粗野な作りだが、果たしてどこまで綺麗にお色直しができるやらである。

中心に大きな中庭を配置し、その庭を取り囲むようにL DKと和室のある多目的室を配置している

2023/02/20

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)

埼玉県川口市にて進行中のNさんの家の現場では上棟を終えて大工工事が進行中だ。この住宅は約60坪ほどの木造2階建である。土台と柱は桧の120角を採用し、梁には国産材の杉を使用している。プランの特徴としては中心に大きな中庭を配置し、その庭を取り囲むようにL DKと和室のある多目的室を配置している。比較的大きな現場ということで、大工さんが2〜3人体制で取り掛かっているがこの先の進行が楽しみだ。

今日はスタッフの宍戸君の結婚式に参加した

2023/02/18

今日はスタッフの宍戸君の結婚式に参加した。約1年ほど前に入社して依頼、地元川口市で保育園を営むコマームさんの新たな保育園の設計や、同じく地元川口市で古い住宅をリノベーションしてシェアハウスを運営する予定のY さんの家などで力を発揮してくれている。

奥様は新入社員歓迎会の時に一緒にバーベキューに参加してくれたことがあって、とても優しそうな素晴らしい女性であった。コロナの影響でこのような会合を開催することがなかなか決断できない社会情勢の中で、若い二人が力を合わせて今日という日までたどり着いたことが何よりもよろこばしいことであるし、心より祝福したいと思う。きっとこういう不安定な世の中で結ばれたからこそ、幸せな家庭を築いてくれることだろう。

今回は主賓の挨拶ということで少々緊張。アトラクションでは宍戸君には内緒でスタッフのみんな、そして隣の青木食堂の皆様やお客様のYさんにも登場していただいた、「氣志團」のマブダチに合わせてダンスをした結婚お祝いビデオを披露。会場の皆さんもサプライズビデオを楽しんでいただけたようで何よりであった。

埼玉県川口市にて進行中の古民家再生現場の管理

2023/02/16

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)

今日は埼玉県川口市にて進行中の古民家再生現場の管理を行った。この現場では現在構造補強の真っ最中である。構造の補強については「山辺の構造」の著者である山辺先生に依頼している。築100年にもなるとその構造はいろいろな変遷を経て、必ずしも理想的な状態とはいえない箇所がたくさんあるわけだけれど、それを一つ一つ丁寧にあるべき姿に近づけていくという作業である。弱ってしまっている柱があれば、その周りに添え柱を立ててあげる。細すぎす針があればその下に桧の梁を付け足してあげる。そうこうしていくうちに、スケルトンに解体されたときには風が吹いたら倒れてしまいそうだった構造が、安心感のあるどっしりとした状態になってくる。下の写真は桧の平角材である。この材料は奈良県の吉野から購入している。次の写真は構造補強の様子である。現場で作業をしてくれている大工さんたちも、生きているうちにこんな仕事に巡り会えてよかったの感謝感謝だ。このような素晴らしいご縁をいただいたことに心から感謝したい。

お嬢さんのアトピーが良くなったことが何よりの知らせである

2023/02/14

洗面室の設計はなるべくシンプルな形にする。この洗面化粧台は大工さんの造作によるもので、シンクはTOTOさんのSKシリーズを使用した。このシンクは実験室用シンクと言われるもので、安価で使いやすいことが特徴だ。シンク前の壁にはタイルを貼っている。鏡は大工さんに作ってもらった枠の中に貼っている。前板は杉で作り、家具用コンセントを取り付けた。

クライアントのOさんのお嬢様は、アトピー性皮膚炎に悩まされていた。健康になれる住宅が欲しいということだったので、化学物質の発生を抑えるために新建材やビニルクロス、ベニヤ板を一枚も使わないことにした。構造や下地材などは無垢材だけで作り上げている。床は30ミリの杉板を貼った。壁の仕上げは左官屋さんによる漆喰仕上げである。お嬢さんのアトピーが良くなったことが何よりの知らせである。この住宅の空気環境測定結果は来月号のチルチンビトで紹介される予定である。その時はまたご紹介したいと思う。

日本の山を守るために国産材を使用した家づくりに取組む

2023/02/12

16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんによるスピーチが話題になりました。十代の学生たちが世界中で運動をおこし、未来の地球のためにメッセージを伝えていました。そのメッセージには、「私たちの活動には、大人の皆さんの力が必要なんです。」という言葉がありました。

2019年は大きな台風が2回関東地方を襲いました。気候変動による自然災害がその勢いを増す中で、建築に携わる私たちにはできることがあるのではないかと思います。そこから目を背けて建築を造り続けることは、間違っていると思います。

だからこそ、ますいいは日本の山を守るために国産材を使用した家づくりに取組んでいくことを決意します。

「山の豊かさが川を通じて、海に恩恵をもたらすことは広く知られています。山の樹木から落ちた葉や、森の土壌に含まれる多くのミネラルをはじめとする様々な物質が雨水や地下水に溶け込み、河川を通じて海洋に運ばれ、植物性プランクトンを大発生させて、それが貝類や動物性プランクトンの餌となり、やがて小型魚、大型魚と食物連鎖が進んでいきます。「海を豊かにしているのは山の森」、その山を整備するにはやはり人手が必要です。山を整備してくれる人々、つまり林業に関わる人が暮らしていくためには、その山でとれる木を売らなければいけません。地域の山を育てる人、地域の山の木で家をつくる人、地域の山の木で作った家に暮らす人、こういう関係性が成立する事こそが僕たちの暮らす自然を守ることにつながるのです。」

庭の緑の中に溶け込むようなものにしたい

2023/02/09

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
今日は埼玉県さいたま市にて庭のある小屋の改修工事を設計中のYさんと打ち合わせを行った。Yさんの家はさいたま市にある別所沼公園の近くにある。この公園の付近には昔からアーティストさんが好んで移り住んできた場所で、今でもなんとなく風情がある街である。公園の中には立原道造のヒヤシンスハウスがある。この小さな小屋は詩人であり建築家であった立原がアトリエとして作ろうとしたものを2003年に建築したものだ。立原はこの構想を実現しることなく24歳でこの世を去ったので、建築家としての実作はないのであるが、ある意味この小屋が唯一の実作のようなものと言えるだろう。

Yさんの家も別所沼の近くにある。母屋の前には庭があってそこには小さな小屋が置かれている。今回の計画はその小屋をお色直ししようというものである。下のパースはそのイメージだ。庭の緑の中に溶け込むようなものにしたい、というにはちょっと作りすぎの感がある。透明なポリカの波板を使ってうまく透明感を作り出せるようもう少し手を加えてみたいと思う。

浅見くんが秩父を盛り上げる原動力になれると思う

2023/02/06

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)

昨日の山で見た、倒れそうな蔵である。竹木舞を編んで土壁を作っている様子がよくわかるけれど、構造は今にも倒れそうに傾いている。吾野駅の周辺にある沢沿いの道をしばらく登っていくとこんなふうに空き家になってしまっている家がたくさんある。その坂を一番上まで登っていくと浅見茶屋さんが美味しいうどんを振る舞っていて、そこには多くの観光客が来ているのだけれど、そこに至る途中の住宅のほとんどはこんなふうに空き家になっているのだ。限界集落、そんな言葉が頭に浮かぶ。ここのインフラを整備するために一体どれだけの税金が必要なのか、ほんの一部の人のためにインフラを整備し続けることも難しさ、でもそこに昔から暮らす人の生活を守ることの公共性と大切さ、途中にあった看板には江戸時代初期からこの地に暮らすと言う文章が書かれていたがその宿屋も今は休業中だという実態・・・これは山登りの最後になんとも色々なことを考えさせられる光景と出会ってしまった。道を下っていると、そこには浅見茶園に浅見鉄工・・・、そういえばうちのスタッフの浅見くんの出身地は秩父だったな。もしかしてこの辺り集落かと聞いてみるとやっぱりそうらしい。浅見君、いつか秩父で分室やるといいと思うよの言葉に、なんとも前向きな反応が返ってきた。僕たちの仕事は街を作るきっかけになる可能性があると思う。企画、設計、積算、施工、素材、職人・・・、色々な経験を積んでこれらをまとめることができるようになれば、浅見くんが秩父を盛り上げる原動力になれると思う。浅見くんにはぜひ頑張って欲しいと思う。

今日は天気が良かったので埼玉県の秩父にある伊豆ヶ岳に登ってきた

2023/02/05

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)

今日は天気が良かったので埼玉県の秩父にある伊豆ヶ岳に登ってきた。このコースは正丸駅をスタートとする合計12.8キロ、登り1030m 、下1142mのコースである。正丸駅の前にある駐車場に車をとめ歩き出すと、20分ほどで登山口にたどり着く。伊豆ヶ岳までは約1時間ほどの登りだ。写真は伊豆ヶ岳山頂直下の男道にある岩場である。合計100mほどの岩場で、なかなか迫力がある。途中で引き返すわけにもいかず、下を見ないでぐんぐん上がると頂上に着く。山頂を過ぎると、古御岳、高畑山、イモグナの頭、天目指峠、愛宕山を過ぎ、子の権現をへて吾野駅にたどり着く。ここからは電車で正丸駅に戻って終了。なかなか楽しいコースであった。

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