増井真也 日記 blog

そもそも山は動物たちの住む世界なのである

2022/07/31

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
今日は仲間と一緒に福島県の吾妻山系にある一切経山へ。この山はまさに活火山で福島県西部から一部は山形県南部にかけて、東西およそ20キロメートル、南北およそ10キロメートルにわたって標高2,000メートル級の火山が連なる山脈の一部となる。一切経山は今でも火山ガスが噴出しており、つい最近までは立ち入りを禁止されている登山道もあった。今でも硫黄の匂いが漂っていて、浄土平からの風景はなんだか黄泉の国のような独特な雰囲気がある。山系にはコバルトブルーに輝く小さな沼が点在してい流。登山道には新しい熊のふんもあって、流石に東北の山という奥深さを感じた。
山を歩いていると、頭の中が山のことしか考えられなくなる。それなりに危険も伴うわけだから、天候のことや道を間違えていないかどうか、熊などの野生動物との遭遇、そして自分自身の体調等を考えながら、一歩一歩高みを目指す行為は僕の性格にとても合っている。イライラしている熊さんには会いたくないけれど、僕が中学生の時に北海度の大雪山で出会ったヒグマは僕たちのことなど気にするでもなくひたすら何かを食べているだけ、50mくらいの距離でクマを見ることができた僕たちはとても幸運な出来事としてそれを捉えていた。他にも猿やカモシカなどに出会うことも多い。そもそも山は動物たちの住む世界なのである。山には多くの植物もあって、それらをみているだけでも楽しいものだ。夏山では雷が最も気になるリスクである。上空の気温と800mエリアの気温の差が27度を超える時には、雷雨に巻き込まれる危険が高いから、12時以降の行動は避けたほうが良い。今日も昼までには浄土平に戻ってきた。

 

我が家は予約制のモデルハウス

2022/07/30

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
今日は東京都杉並区にて新築住宅を検討中のFさんが、埼玉県川口市にある我が家と埼玉県上尾市にに造ったHさんの家の2軒を見学するということでご案内をさせていただいた。

我が家は予約制のモデルハウスとして利用している。床の仕上げは群馬県中之条市の唐松である。この床板はとても気に入っている。僕がこの床に出会ったのは今から10年ほど前、栗材を探してあちらこちらの森林組合に電話をしていたときに、たまたま気のあった製材所に出向いてみて、栗はないけれど唐松のフロアリングならあるぞということで市場や材木屋さんを通さずに直接買い付けをすることになった次第である。(栗材については北海道の栗を丸太で買い付け、製材、乾燥して大工さんが加工して使用するという流れをこの後に作り上げた)唐松フロアリングは、杉よりも少々硬い。硬い分傷はつきにくく、でも針葉樹ならではのソフトな感触もあってちょうど良い。障子は東側の光を和らげてくれる。この窓の向こう側はファミリーマートの屋根だから滅多に開けることはないのだけれど、でもここはやっぱり窓で良かったと思っている。キッチンは壁向き、その向こうにある緑地帯を眺めることができる。タイルはセルフビルドでスタッフと貼った。興味のある方はぜひご覧いただきたい。

 

社員がこの会社で働けて幸せだと本気で心の底から感じてくれるからこそ、皆が本気でお客様のために働くことができる

2022/07/29

僕はますいいリビングカンパニーという会社を大きな家族のような会社にしたいと思っている。設計業界は昔から徒弟制度のような業態で、いわゆるブラック企業というか、つまりは低賃金や長時間労働が当たり前の世界であったけれど、僕はそういう会社は作りたくない。僕にとって理想の会社とは、働いていて幸せに感じる会社である。会社にいて楽しいと感じる雰囲気があり(ニコニコ仕事をしようと呼びかけているし、ニコニコしている社員は給料を通常よりUPしている)、暖かい人間関係があり(助けを求めたり、新しいことに挑戦して失敗しても責められることがなかったりの社風は壁に貼り出している)、仕事にとてもやりがいを感じ(思わず子供や友達に自慢したくなるような仕事がいい)、健康であり続けられ(35歳以上の社員やその奥様には人間ドックを受けてもらっている)、休みをきちんと取れて(有給休暇の取得率70%を目指している)、余裕のある暮らしができる(給料は同業種・同一地域平均を超えるように)そんな会社である。自分自身が会社に大切にされていると感じずして、お客様のために本気で家を作ることなどできるはずは無い。社員がこの会社で働けて幸せだと本気で心の底から感じてくれるからこそ、皆が本気でお客様のために働くことができるのである。

今僕は障がい者の雇用を考えている。
だって「障がい者を生みたくて産んだ親はいないし、障がい者に生まれたくて生まれた人もいない」のである。会社は社会の公器である。だからこそ障がいのある人にも働く機会を提供し働く喜びを共に味わいたいと思っている。もしもこの文章を読んでくれた障がいのある方の中に興味がある人がいたら声をかけてほしい。ものづくりが好きな人なら大歓迎である。

お嬢さんのアトピーが改善されたという話を聞いて本当に作ってよかったと思った

2022/07/27

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
昨年埼玉県川口市にて造った戸建て住宅の現場では、ベニヤを一枚も使用しなかった。ベニヤを使わない理由は化学物質を最小限に抑えるため、だからもちろんビニルクロスもメラミンなどの化粧材も使わずに、内装漆喰はシーラーなしのプラスターの下塗りに漆喰仕上げの徹底ぶりである。キッチンだって、わざわざ家具屋さんにヒノキを使って接着剤最小限の注文で依頼した。断熱材も羊毛断熱材、ちょっと高いけど新築現場が臭くない、なんだかとても居心地が良い。

ベニヤを使わない、昔の大工さんならそれがどうしたの?という感じだろうが、ベニヤ板があることが当たり前の僕たち世代にとっては、なかなか大変な作業である。野地板、外壁モルタル下地合板、床下地合板といった部位に杉板を使用するのだが、非乾燥材ならまだしも床下地に使用する乾燥材の荒板など持っている材木屋さんはなかなかないのが実情だ。しばらく前に、米松などの輸入材をやめて構造材を国産材に切り替えたことでできた山とのつながり、もしもこれがなければ買うことすらできなかったかもしれない。ちなみに床板は杉の30mmを貼っている。軒天なども然り、当たり前のものを当たり前に使っているだけだけれど、なんだかとても懐かしい良さを感じる。

ある時、ふと栗を使いたくなった。栗の丸太はどこにあるのか?東北の岩手県にはまだたくさんの栗材があるらしい。ではそれをどこで買えるの?そしてどこで製材するの?寝かせるのは何年?製材ってどうやって目利きするの?誰に聞いたら良いかの暗中模索、でも困っている時は指導者が現れる、僕に丸太の目利きを仕込んでくれたのは地元の木風堂の親父さんである。そんなわけで最近は栗や桜、鬼胡桃の丸太を購入して製材所で製材し、1年間以上寝かせて造作材として使用するようにしている。うちの倉庫にはいつも100枚くらいの板がある、国産広葉樹の板を常にストック、これはとても大切にしていることだ。うちの大工さんはこの栗を使って建具の枠を作ったり、家具を作ったりの造作を楽しんでくれる。もっと難しい図面を描いてこい・・・、腕の良い大工はセリフまでかっこいい。

気をつけないと無くなってしまいそうな大切なものを、決して忘れないように大切にしたいと思う。僕たちはこの世代の責任世代である。もしも僕たちが亡くしてしまえば、子供たちの時代にそれは博物館の中のものになってしまう。

ベニヤのない家の建築後、52種類の空気環境測定の調査をしてみた。その結果検出されたのは、微量のアセトンとαピネン。微量のアセトンは配管工事の接着剤、ピネンは杉から放出する天然物質であった。引っ越しをしたらお嬢さんのアトピーが改善されたという話を聞いて本当に作ってよかったと思った。

人間は本能的に火に集まる生き物なのだ

2022/07/25

今日はダッチウェストジャパンの猿渡さんと初めてお会いした。現在作っているパッシブLCCMの「ますいいハウス」に設置する機種を選定するという目的と、代理店として薪ストーブの販売を行うという二つの目的のためである。

なぜ住宅にストーブを置くか?
住宅には重心があると良い。重心というのは何かというと、どこにいても家族みんなの意識が向かう場所とでも表現するのが良いだろうか。多くの家ではこの重心にテレビがあるのだけれど、それだとやっぱりなんか物足りないわけだ。僕はそこにストーブがあると良いと考えている。人間は本能的に火に集まる生き物なのだ。炎を見ていると、何となく心や安らぐ。語らいの口調も和らいでくる。時がたつのも忘れて生まれるひと時、それこそ本当の家族の団欒と呼ぶべきものだと思うのだ。

ストーブを入れるかどうかは初めに決めた方が良い。ストーブにふさわしい場所を設計するにはやはり初めから決まっていた方がやりやすい。ストーブには薪ストーブとペレットストーブの2種類がある。薪が手に入るのであればもちろん薪ストーブの方が良いのだが、その入手が難しいなどの理由があればペレットでも同じような雰囲気は味わえる。僕はなるべく図面にストーブを描くようにしている。もちろん採用するかどうかはお客様次第、一人でも多くの方がこの楽しさを味わってくれればと思う。

青は空気、緑は水、黄色は電気、そして赤は人

2022/07/23

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
午前中、埼玉県伊奈町にて進行中のTさんの家のリフォーム打ち合わせ。現場で急遽変更した小屋裏の表わし仕上げをどのように納めるかについて再度現場にて打ち合わせを行った。天井を剥がしてみると、塩ビのパイプが出てきた。排水か何かだろうと思い辿ってみると、どうやらバルコニーの雨水排水のようである。屋根がついているバルコニーなのでそれほどの水がここを流れることはないだろうが、でもとても重要な排水パイプなので無くすこともできそうにない。すでに梁の下端をかき込んで配管されているけれど、これを天井で隠れる隣のスパンに移動しようとすれば3640mm飛んでいる大きな梁のど真ん中に穴を開けなければならないこととなりそれはあり得ないなあと頭を悩ます。さてさてどうしたものか、こうなったらペンキで塗装してちょっとかわいい金物で固定し直し、衣装として表現してしまおうという結論に至った。

下はパリのポンピドゥーセンターの写真である。設備はカラーコードで示され、青は空気、緑は、黄色は電気、そして赤はを表わしている。設計者のレンゾ・ピアノは建築に必要な血流を全て表現することで、全てを覆い隠された美ではなく、機能自体そのものを表現したわけだ。天井裏の雨水配管・・・だいぶスケールは違うけれど隠すだけが答えではないのである。

職人さんにも喜ばれるような良い仕事はお客様にとっても必ず良い仕事

2022/07/19

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
先日、埼玉県さいたま市にて進行中のAさんの茶室にてなんとも奇跡的な出来事があった。Aさんの茶室は、ますいいの本間大工が造っている。本間大工は昔、自然素材を使用することで有名な某工務店で大工さんをしていたのだが、数年前よりますいいに参加してくれているとても腕の良い大工さんだ。
そのAさんの茶室の壁は、小沼さんという左官職人に塗ってもらう予定だ。小沼さんは名古屋の勇建工業の加村さんという左官屋さん出身の工務店の社長に紹介していただいた練馬の職人さんで、本当の漆喰を塗ることができる数少ない人物である。本当の漆喰・・・これにいついて話し始めるとまたすごく時間がかかってしまうのであるが、要するにメーカー品の商品ではなく、消石灰とわらスサ、そしてつのまた、貝灰といった昔ながらの原材料を混ぜ合わせ、漆喰として壁に塗ることができる状態に材料を作り上げることから始める本格的な職人さんと言うことである。
ある日、本間大工に「この茶室の漆喰は腕の良い大工さんに塗ってもらうんだよ」と言ったら、『そんなの俺の知り合いにいるのに」と言われたので「どこの人」と尋ねてみると、「練馬だ」と。もしかしてと思って「小沼さんってしってる?」と聞いてみたら「「え、小沼さんが塗るの?昔の馴染みでよく一緒に仕事したんだよ」の答えであった。聞くと約15年ぶりの再会であるそうだ。良い仕事には良い職人が集まってくる。そしてその人たちの世界はそれほど広くは無いと言うことが改めて感じられたのである。
ちょうど同じ時、今後ますいいで大工をやりたいという松本大工さんが現場見学に来た。松本大工さんはやはり若い頃、本間大工さんと同じ工務店で働いていたらしい。本間さん、小沼さん、松本さん、ますいいの現場での再会に笑顔で楽しそうな昔話をしている様子を見ていると、やっぱりこの仕事をしていてよかったなあの感であった。職人さんにも喜ばれるような良い仕事はお客様にとっても必ず良い仕事である。皆が笑顔で働ける、そんな良い家を造っているんだなあと心の中で涙を流したひとときであった。

人は火の周りに自然と集まるものだ

2022/07/18

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
オーレン小屋はとても居心地の良い小屋である。この日の気温は17度ほど、朝は肌寒い。標高が2000mほどだから平地よりも12度ほど低いのだ。薪ストーブが真ん中にあり、そこを囲むように座ることができるようになっている。この間取りは普通の住宅ではないなあと思うけれど、山小屋ならではの配置と言えるだろう。人は火の周りに自然と集まるものだ。この日の朝も、自然と数人の人がストーブの周りに座っていた。

今日は天狗岳を目指す。天狗岳は西と東の二つのピークがあるが、どちらも危険箇所はなくとても登りやすい山である。蓑冠山を越えると突然森林限界となり強い風に晒される。このエリアに来ると駒草を見ることができる。ロープで囲われた中にちょこんと植えられた駒草、そういえば早稲田中高時代の池田先生を思い出す。山岳部の顧問でもあった池田先生は、木曽駒ヶ岳の駒草を復活させるために毎年苗を育てては植えに登っていた。山の花の写真集まで発行するほどの花付きの先生だった。担当は数学、厳しいけれど筋の通った先生らしい先生だったことを記憶している。天狗岳の往復は約3時間ほどのコースである。風に吹かれながらも、たまに晴れるガスの隙間から見える景色を楽しみつつ山行を終えることができた。

まるでジブリの世界のような景色

2022/07/17

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
今日から二日間の連休である。世間では線状降水帯でひどい被害が出ているが、僕が登ろうとしている八ヶ岳は比較的穏やかな気候のようだから、出かけてみることにした。朝3時家を出発し中央自動車道を経て6時ごろ桜平駐車場に到着した。ここからオーレン小屋までは1時間30分ほどの距離である。さて、早速歩き始めようと靴を履いていると隣で妻がなんだか様子がおかしい。「私の靴は?」の質問にまさかと思い「まさか忘れたの』と聞くと「だって、玄関を見たらそこに靴がなかったから積んでくれたと思ってた」の返事。でも僕は妻の靴は触ってもいないのだ。玄関に無かったのではなく、見なかっただけなのである。仕方がないので、以前泊まったことがある原村にあるペンション、ジョバンニの小屋のご主人に電話をして聞いてみるとアルペンがすぐ近くにあるという。でも開店は10時、それまで待つのはいかにも勿体無い。もしかしてホームセンターがあるかもしれないと思い検索すると、すぐ近くにドンキホーテがあるではないか。行ってみるとそのまた隣になんと出来立てのホームセンター、そしてそこには2700円のトレっキングシューズが売られていたのであった。時間はまだ8時である。まだまだ挽回できそうな時間だ。早速桜平まで戻り車を止め、11時ごろにはオーレン小屋に着くことができた。流石にこの時間からの天狗岳往復は雷のリスクもありそうなので、より近くにある硫黄岳にアタックすることに。稜線まで出るもガスで視界無し。妻の疲労もだいぶ溜まっているようなので今日はここで諦めることにした。
北八ヶ岳は苔で有名である。ここは沢沿いの道なので、湿気も多く綺麗な苔の森が広がっている。まるでジブリの世界のような景色を楽しむことができるのでおすすめである。

経年美化したものの魅力はなるべく生かす

2022/07/16

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
今日は埼玉県伊奈町にて進行中のTさんの家のリフォーム現場管理。現場ではすでに解体工事が終了し、天井裏の小屋組がむき出しになっている。築年数が40年ほどの古い建物、どんな小屋組が出てくるのかと思ったら、とても大きな梁が組まれており、なかなかの魅力であった。こう言う小屋組が出てきたら隠してしまうのはもったいない。経年美化したものの魅力はなるべく生かすのがリフォームの良いところである。そして計画変更もリフォームの常、その時の状態に合わせて最適な解を求めていくことで、コストを抑え魅力的なデザインの住宅空間を生み出すことができる、だからこそ現場での判断が重要なのである。脚立に登り、小屋裏を覗きながらどうするかの算段をTさんと一緒に行うこと約1時間、方針を決めたところで事務所に戻った。

公共事業 グリンセンター大集会堂実施設計スタート

2022/07/15

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
午前中、埼玉県川口市にて進行中の公共事業、グリンセンター大集会堂打ち合わせ。川口市の入札で正式に契約させていただくことができたので、基本設計に引き続いてのお仕事をさせていただくことになった。この仕事は、築50年の古い建物のリノベーションだ。50年前に川口市で開催された国体を観戦された当時皇太子であった上皇陛下がお泊まりになるために作られたという建築であり、これまでは結婚式場などに利用されてきた。それ以来、廃墟とまではいかないけれどほとんど利用されていなかった建築を取り壊すのではなく再生させ、公園利用者にとって魅力的な施設にするというのが目的である。
この設計は後輩の建築家佐藤研吾さん、構造家の名和研二さんと一緒にコラボで取り組んでおり、出来上がるのがとても楽しみなところである。今日は役所の方々とのキックオフミーティング、いよいよ本格的にスタートである。

午後、東京都豊島区にて新築住宅を検討中のWさんご夫妻打ち合わせ。なんでもお知り合いから土地を購入できるということで、その土地に新築住宅を作ろうという計画である。まずは土地の調査、そして良い家のご提案を進めていきたいと思う。

子どもたちが安心して暮らせる未来を今からでも作れるかもしれない

2022/07/14

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
午前中は年に一回発行している「ますいい通信」の取材で、埼玉県上尾市にあるHさんの家に出かけた。チルチンびとにも紹介されているHさんの家はとても健康に配慮した住宅だ。その取り組みの一つを紹介すると、例えばベニヤ板を一枚も使わないで作っている。構造材は全て国産の檜と杉である。その他の下地材も全て国産の材料だ。建具枠などには国産広葉樹を使用した。国産広葉樹というととても高級な素材のように聞こえるが、ますいいでは毎年二十本ほどの、栗、山桜、鬼胡桃といった丸太を購入し、製材して1年ほど乾燥させた材料を常に400枚ほど確保しているので、中国産の安い造作材と同じくらいの値段で手に入れることができるのだ。つまり国産広葉樹の高いイメージは、ブランド化された新木場などでの値段の高さであり、山での価格はそうでもないと言うことなのである。

そもそもこう言う家づくりをしようと考えたきっかけは、子どもたちが安心して暮らせる未来を今からでも作れるかもしれない、そんな思いであった。親から子へ受けつぐことのできる大切なものとして家を造るからこそ、愛着がわき体にやさしく、そしていつの時代にも変わらぬメンテナンスのできる健康・自然素材を利用していきたいと考えているのだ。

■ 地産地消の考えで地域の自然素材を活用
奈良県の吉野で採れる檜や杉材などの国産材を使用
■ 人に優しい住宅を作る
気密層の内側には合板、ビニルクロス、新建材などは極力使わない。
■建築を省エネ化し環境に配慮する
建築の構造や素材を上手く組み合わせることで温熱環境性能の向上を行う、パッシブ LCCM の住宅を目指す。
こうした家づくりを今後も続けていきたいと考えている。

午後、東京都中野区にてリフォームを検討中のIさんご家族打ち合わせ。一つの家に八人が集まって暮らすことになったと言うことでのリフォームである。集まって住む、それはとても良いことだ。でもやわらかく区切られた程よい距離感がないと、どうしてもうまくいかないことも出てきてしまう。そこをどううまく解くか、よく考えて提案していきたいと思う。

何十年の月日を経て得た経年美化

2022/07/06

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
今日は埼玉県川口市にて秋からの着工を予定している古民家再生工事についての打ち合わせを行った。古民家の再生というのは、築年数が100年近い民家に関して、構造や設備などの状態を調査し、これから先もしっかりと住み続けることができるように補強・改修工事を行うことを言う。表面的なお色直しではなく、基礎・土台・柱・梁の骨組みから、設備器具や配線配管の一新までを行うため、出来上がりはほぼ新築と変わらない。しかしながら、何十年の月日を経て得た経年美化は新築住宅にまでのできるものではなく、古民家だからこその魅力と言えるだろう。古いものが価値を持つ、そんな時代がこの国にも来れば良いと思う。

8畳広間の竿縁天井

2022/07/05

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
朝一番より埼玉県さいたま市にて進行中のAさんの茶室現場管理。茶室の大工工事も段々と進んできた。写真は8畳広間の竿縁天井の様子である。この天井に使われているのは八溝杉の無垢材だ。決して高級な材料ではなく、製材所が丁寧に轢いてくれた普通の造作材のうち節がない部分を大工さんがより分けて加工したものである。今時無垢材の無節の天井なんて高級すぎてできるはずがないと言われそうな仕事だけれど、山と直接お付き合いをして材料を仕入れ、大工さんが適材適所使い分けることでこういうことも可能になるということで皆様にもご紹介したい。

家族で助け合って幸せに暮らすことができる家と家の関係性

2022/07/02

埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
今日は東京都杉並区にて新築住宅を検討中のHさん打ち合わせ。ご実家の一部にある古い住宅を取り壊し、そこに一人で暮らすための小住宅を建設するという計画である。これまで暮らしてきた母屋にはご兄弟のご家族が住むという。このような「集まって暮らす」形態は震災以降とても増えたように思う。核家族化が進み一度バラバラになったこの国の家族の在り方が、少しずつ見直されていたということなのだろう。家族で助け合って幸せに暮らすことができる家と家の関係性をしっかりとでデザインすること、これはこれからの住宅の設計者にとって大きなテーマだと思う。じっくりと取り組んでいきたいと思っている。

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