増井真也 日記 blog

午前中、千葉県匝瑳市にて設計中のFさんの家の打ち合わせ。

2025/07/28

午前中、千葉県匝瑳市にて設計中のFさんの家の打ち合わせ。この住宅は設計のみの請負なのだけれど、今日は実際に施工を行う予定の若手大工さん達がますいいまで来てくれて、見積もり出しのための打ち合わせを行なった。普段はこういう仕事の請負方は行わないのだけれど、今回のお仕事は裏千家の友人を通してのご依頼である。しかも、茶道と書道の教室を営むというとても志高いFさんの教室兼住居を設計するということで、引き受けさせていただいた。今日は1/50の模型も作成した。やはり模型があるとないとでは、理解のしやすさがまるで理違う。見積もりに必要な情報にしていただければということで、今回は模型もお持ち帰りいただくことにした。さてさて、金額が出てくるのが楽しみである。

午後、ものつくり大学にて課題発表。学生と一緒に課題発表など、何年ぶりだろうか。なんだか心地よい汗をかきながらもなんとか終了。17時まで。

埼玉県川口市にて設計中のSさんの家打ち合わせ。

2025/07/24

埼玉県川口市にて設計中のSさんの家打ち合わせ。この家は、お母さんとお嬢さん、そしてお嬢さんのお子様が将来結婚をした時に一緒に暮らす時のためを想定して設計を行なっている。最近はこのように集まって暮らす家庭が増えている。核家族化でバラバラになった人たちが、再び集まることで、子育てや介護や防犯や・・・、とにかく良いことばかりなのである。兎角物騒な世の中になってきたからこそ、皆で集まって暮らすことは至極当然の結論だと思う。でもそれを実現するには、たとえ親子とはいうものの、少しの気遣い、思いやり、そんなものが大切なのだろう。そしてそれがある人だけに許されるとても多くの問題を解決してくれる手法が、「集まって暮らす」ことなのだろう。

この家では中庭のあるプランを考えている。この写真は僕の家である。大きな窓の向こうは中庭、そしてその向こう側には母の暮らすスペースがある。親世帯と子世帯は、完全分離の2世帯住宅だけれど、この中庭を通して柔らかく繋がっている。実際にリビングで本を読んでいたりすると、中庭の向こう側の母の家の障子窓に電気がパッとついたりするのを見て、あっ帰ってきたんだなあなどと思う。こういうことで、互いの安全やらを認識することは当たり前に大切なことである。今では不自由な親をネットを通してカメラ機能で監視できる仕組みなどもあるようだし、他にもたとえば2日間くらい水道が使われなかったりの異常を子供に知らせたりの機能もあるようだけれど、やはりそういうものよりも互いの気配がわかる程度の距離感で暮らす方が良いと思うのである。

ますいいでは、原村にあるとても古い丸太小屋を八ヶ岳の拠点として購入する予定だ

2025/07/20

ますいいでは、原村にあるとても古い丸太小屋を八ヶ岳の拠点として購入する予定だ。この丸太小屋が建つ土地は、原村でも標高が高い1500m地点にある。夏でも気温は標高差の関係で平地よりもマイナス8度、今日も26度程度の過ごしやすい気温だった。今日はその丸太小屋の持ち主さんと初めての顔合わせであった。この小屋はすでに70歳を超えるご主人が34年ほど前に建てたという。以来音楽会を開くなどの際に使用してきたとても小さな小屋である。玄関を開けるとリビングと小さなキッチンがある。寝室は3畳ほどのスペースにセルフビルドの2段ベットが作られている。入りきらない人はロフトに雑魚寝だ。

八ヶ岳は昔からとても好きな山域である。そしてその周りの村の中で、原村は特別に好きだ。この小さな村にはゴルフ助湯もないし、スキー場もない。村野藤吾が設計をした小さな美術館があるのみである。昔はペンションがとても流行ったそうでだけれど、今では数軒しか営業していない。朝市が開かれる時は、観光客と地元の人、そして移住者が朝の6時から交流をする。そこには小さなマーケットが生まれていて、お隣さんの茅野市からも作家さんが品物を売りにきている。ここにはなんとなく忘れ去られた人間の知性があるように感じる。商業と貨幣が人間を支配しているような都会にはない、もう少し古臭い知性、でもきっととても大切なものがあるように感じるのである。偶然ではあるが、僕たちがなまこ壁の保存活動をしている伊豆の松崎町と同じように、この村も日本で一番美しい村に登録されているようだ。偶然だけれど必然のような気もする。だってどちらも大好きな場所なのだ。

午後、埼玉県川越市よりお越しいただいたKさん、モデルハウス見学

2025/07/18

午後、埼玉県川越市よりお越しいただいたKさん、モデルハウス見学。ますいいのモデルハウスは全て国産木材で作られている。土台と柱は檜、梁は杉を使用している。日本の山にはたくさんの木が生えていて、それが樹齢60年を過ぎ、そろそろ建材などに使用した方が良い状態になっている。でも、多くの工務店は外国産の安価な材木を使うため、国産木材の需要はなかなか伸びない。日本の山を守るには、みんなで国産の木を使う方が良い。そして、林業家がしっかりと次の世代へと繋ぐための植樹をしてくれることで、豊かな自然が守られるのである。ちなみに下の写真は、栃木県鹿沼市にある高見林業さんに伺った時の様子である。斉藤社長とその息子さん、そして私の3人で打ち合わせをしている様子だ。ますいいで家を建てる時には、ご希望があれば木の伐採ツアーも行うことができる。自分の家の木を自分で伐るのだ。これはなかなか珍しいこと、他ではまずできない。

こちらは、ますいいで家を建てたOさんご自身が梁に使用するための杉の木を伐っている様子である。もちろん隣にはプロの木こりさんがいて、危なくないように丁寧に指導してくれル。それに、最後のダダーンと倒れる場面は、みんなで避難して危なくないようにしてから、木こりさんがやってくれるからご安心を。でもこの場面、とにかく感動する。僕は初めて見た時、自然と涙が溢れてきた。樹齢100年くらいの杉が倒れる瞬間は、そんなふうに荘厳な何かを感じてしまうのだ。

そして、こちらが製材所の田村さんである。田村さんは、伐った木を家づくりに使える様に製材してくれる。どこからどう切れば綺麗な面が出てくるか、化粧の柱や梁を造る時、この柱はどんな表情のものがいい?と一つひとつ丁寧に聞いてくれて、それにあった材料を揃えようとしてくれる、そんな時が最も一番気合が入っている、そんな人だ。市場で外国産の安い木を買って家を建てること確かにできる。でも、こういう人たちと一緒に自分で切った木で造る家は一味違うのである。

せっかく3棟同時設計を行うのである。全部がバランバランでは勿体無い。その道を通りかかった人が、ふと立ち止まって見てくれるような佇まいを作りたいものである。

2025/07/16

午後、新宿区にて設計中のKさんの家の社内打ち合わせ。母屋と貸家2棟の合計3棟の設計を行なっている。今日は、それぞれの建物のプランと全体的な立面のデザインについて社内ミーティングを行った。せっかく3棟同時設計を行うのである。全部がバランバランでは勿体無い。その道を通りかかった人が、ふと立ち止まって見てくれるような佇まいを作りたいものである。

夜、スタッフみんなでお寿司屋さんへ。年に数回の社内交流会である。カウンターでお寿司の贅沢などなかなか家族で行けるものでもない。だからこそ会社のみんなでいきましょうの会、ワイワイガヤガヤ、日本酒を楽しみながら盛り上がることができました。

僕は現在修士論文に向けて研究活動を行っている。テーマは左官である。

2025/07/14

今日の午後は、ものつくり大学の大学院授業に参加した。僕は現在修士論文に向けて研究活動を行っている。テーマは左官である。内容としては、左官屋さんが楽しく仕事ができて、収入がもう少し上がって、そういう左官屋さんになりたいと思う若者が今よりも少し増えるためにはどうしたら良いかということだ。前にもこの日記に書いたけれど、2020年の国勢調査で左官屋さんの総人数は58000人くらいになってしまったことがわかった。そして65歳以上は28000人くらいいることもである。今はそれから5年が経っている。このままの状況が進めば、日本から左官屋さんがいなくなる?と思うとそんなことはないと思う。きっと人数が減って、希少価値も上がって、一部の伝統系の楽しい仕事をやりながら高収入、という人達は残るだろうけれど、でもその人数が足りない状況になってしまうことは間違いない。

今の学生達と話をしていると、左官の技能5輪に参加したような子でも左官屋さんにならないことがある。その理由は、低賃金だ。ではどれくらいの収入があれば良いのか。現在の左官屋さんの職人として一人前の人の収入は、450万円くらいが一般的だ。もちろんそこから経営者になっていく人は別だけれど、みんながみんな経営者になるわけでもない。僕は職人として勤めている人にとって、なんとなく理想として納得がいく目安は600万円くらいの達成であるような気がする。それでも足りない人は、経営者を目指せば良いと思う。3人くらい人を雇用して、営業をして、仕事をやって・・・これは大きな企業の係長くらいの仕事だから、つまりは管理職と言えるだろう。そこでの能力は、壁塗りのうまさだけではダメだ。当然、左官に関する歴史、知識、デザイン、コスト、素材を仕入れたり仕事を助け合ったりするためのネットワーク、経営に関する知識、資金、・・・すべてがなければ成立しない。だからここでの年収は600万円からだいぶあがる。1000万円の人もいればそれ以上の人もいるかもしれない。その上がる程度は、やる仕事の量と質によるだろう。

でも、こういう未来を見せて貰えば、もしかしたら左官になってみようと思う学生も出てくるだろう。そしてこれは住宅デザインも同じ、大工さんも同じ・・・そして全ての職業に当てはまる考えだと思うのである。

今の学生は真剣に将来を考えている。でも学校では真剣に考えていても、そういう未来を見せてくれることは無い。就職相談会でも無理だと思う。だって独立した後のことなど、ほぼ誰も説明してくれないのだ。人生は独立した後も続く。だからこそ、夢のある未来を擬似体験させてあげて、そんなふうに頑張って生きていこうと思って入職するきっかけを作ってあげることこそ、本当に必要な教育と思うのである。そしてそういう人が少しでも増えれば、これからの日本の建築業界も少しは豊かな作り手が持続すると思うのである。

東京都目黒区にて建て替えを検討しているKさん打ち合わせ。

2025/07/12

午前中は、埼玉県川口市にて設計中のOさんの家打ち合わせ。木造2階建ての狭小住宅と一部3階建てのどちらにすべきかのスタディーを繰り返してきたのだけれど、予算が厳しい状態の中で3階建てにすることで階段が2基に増えることは、あまり賢い選択ではないような気がするの結論に辿り着いて、結局2階建てのプランを説明することにした次第である。プランは、普通なら駐車場になるであろうスペースに畑を作り、土間、キッチン、リビングと連続させている。都会の狭小地で小さな農家暮らしの提案だ。

午後、東京都目黒区にて建て替えを検討しているKさん打ち合わせ。このプロジェクトでは、ご両親とお嬢様のご家族が暮らすための2世帯住宅、お母様のご兄弟が暮らすための単身社用の住宅、賃貸住宅の3棟を計画している。このような案件では、土地の分割や相続対策なども重要な要素となる。周辺要素を勘案しつつ、魅力的な1回目のプレゼンに向けてプランを考えていきたいと思う。

今日は息子が就職してお世話になっている泉幸甫先生が20年ほど前に作った住宅のメンテナンスのご相談で、泉幸甫先生と一緒に埼玉県蕨市の住宅を訪問した。

2025/07/05

今日は息子が就職してお世話になっている泉幸甫先生が20年ほど前に作った住宅のメンテナンスのご相談で、泉幸甫先生と一緒に埼玉県蕨市の住宅を訪問した。泉先生は住宅を得意とする建築家で、さまざまな住宅や集合住宅を作ってきた。僕がまだ30歳くらいの頃、泉先生が設計した目白のアパートメントジュンを見学に行ったことを覚えている。なんでわざわざ見に行ったのだろうかと思い出すと、泉先生は左官を得意とする建築家で、さまざまな実験的挑戦を実作に取り入れていた。そしてその作品には左官ならではの瑞々しい魅力が溢れているような気がしていた。そのみずみずしさを肌で感じたいと思って出向いたのだと思う。息子は早稲田大学大学院を卒業して、しばらくは外の飯を食ってこいの流れで、泉先生の事務所にお世話になることになったのだが、そんな先生の作品のメンテナンスを頼まれるとは、なんとも有難いご縁である。76歳になる先生に感謝して、しっかりとメンテナンスをさせていただこうと思う。

打ち合わせ終了後、近所の蕎麦屋まるすけさんで皆で食事を摂った。しばしの楽しい時間である。

3時、東京都某所に自宅と貸家の設計中のKさん打ち合わせ。今日はプラン修正についての打ち合わせである。終了後は10時過ぎまで会食。おいし野菜料理を堪能させていただいた。

Kさんはお医者様である。呼吸器系の専門ということで、ますいいの家づくりに取り入れている漆喰や土壁の効用についてご相談をさせていただいた。というのも、以前土壁の寝室を作ったIさんからは、とても眠りやすくなったのご意見をいただいたことがある。こういうことをヒアリング調査などから、その効果の事例を集めることで、ある一定の傾向を示すことができるのではないかの考えである。土壁は木摺の下地に土をめり込みまで入れると約30ミリ塗りつけるのだけれど、この土の効用はなかなか素晴らしい。土壁の土には枯草菌を含むバチルス属細菌というものが存在している。乾燥した土壁では増殖した枯草菌は一旦活動を停止し、胞子の状態となり、壁の表面から空気中に放出され漂っている。その菌が、野菜などにつくと水分で活動を再開する。そして野菜の腐敗を抑える効果がある可能性があるという。また、喘息などを引き起こすアレルゲン物質を吸着する効果があることで、呼吸が楽になったり睡眠に良い影響を与えることもあるという。こういうことをますいいのお客様と一緒に実証していけたら、とても良いことだと思う。

 

今日は金沢青年会議所の茶道同好会の周年茶会に参加するために金沢に出向いた

2025/07/02

今日は金沢青年会議所の茶道同好会の周年茶会に参加するために金沢に出向いた。会場は大樋美術館のすぐ横にある金城楼さんである。さすが金沢の老舗旅館である。大変素晴らしい会場で、金沢らしさを堪能しながら茶会に参加することができた。茶会では、普段お稽古でご指導している奈良先生が水屋にいるという、なんとも恵まれた環境である。これも金沢ならではの状況なのだろう。

途中で鈴木大拙館を見学した。ここは谷口吉生先生が設計をしたとても美しい建築である。僕はいつの頃からか谷口先生の作品がとても好きになった。水盤に向かう開口部に座ってしばらく眺めていると、心から「思索の空間」だなあの感である。水面に定期的に生まれる泡と波紋を心に浮かぶ雑念に重ね合わせながら、しばし自分と向き合う時間であった。

住宅地の相続の際には同居をしていると、330平米までは小規模宅地の特例という制度を利用することができて、相続対象面積を8割も減らすことができる

2025/07/01

夕方、埼玉県川口市にて設計中のMさんの家の打ち合わせ。今日の打ち合わせでプランが決定できたので、次は地盤改良のコロンブス構法が実際に可能かどうかの判断に入る。この敷地は地盤の中に鋳物の工場から排出された鉄屑が埋まっているため、通常の地盤改良工事ができない。そのため、地盤の置換構法であるコロンブス構法を採用した次第である。川口市というところにはこの鉄屑が埋まっている土地が結構ある。ここは昔埋め立てられる際に、土砂に混ぜて一緒に埋めたようだ。この土地だけではなく隣の土地まで続く鉱滓、そしてコンクリートのふた?のようなもの、・・・解体するにも隣家に影響が出るためできないのである。それにしても酷い話だと思う。

終了後、東京都練馬区にて設計中のSさんの家打ち合わせ。今日は税理士さんを交えて相続対策のご相談である。住宅地の相続の際には同居をしていると、330平米までは小規模宅地の特例という制度を利用することができて、相続対象面積を8割も減らすことができる。この制度をうまく使用することができるような土地の分割方法や、設計プランの作り方について打ち合わせを行なった。僕の周りには税理士さんや弁護士さん、そして司法書士さんや土地家屋調査士さんがいて、適材適所のアドバイスをいただきながら、お客様にとって最適な形を見出すことができる。家づくりは町医者の仕事ににていると思うのだが、家づくりにおける町医者とはこのような相続相談などにも適正に対応する必要があるのである。

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