僕は壊さない建築家、つまりリフォームをとても大切にしている。
埼玉県川口市にて工務店機能を兼ね備える建築家として、自然素材を大切にしたデザインで注文住宅・古民家再生を行っています。(分室 東京都町田市・群馬県高崎市)
午前中は埼玉県さいたま市にて計画中のMさんの家のリフォーム打ち合わせ。最近は古い住宅をリノベーションして暮らすと言う事例がとても増えている。そして僕は壊さない建築家、つまりリフォームをとても大切にしている。建築費の高騰も原因の一つだと思うけれど、住宅寿命が伸びていること、古いものを大切にしようという思いを持つ人が増えたことも原因なのだろう。
そもそも、日本人は短期間に住宅を壊し過ぎてきた。これは多くの社会資本を自らの手で壊してきたとも言えるだろう。多くの国民が投資してきたものを、簡単に壊してまた投資させるというのは、多分に経済政策の影響とも言える。
しかし経済政策のために住宅投資を促す時代は終焉を遂げた。経済政策は社会福祉や子育て支援、そして望ましくはないけれど防衛費などに向けられつつある。個人が住宅ローンに縛られる時代は終わりつつあるのだ。これからの住宅は本当に必要なものを必要な時に作ると言う形に変わるだろう。一度作られた住宅は少なくとも2世代(40歳で作り、そこに10歳の子供がいる場合、その子が80歳になるまでの70年間程度だろうか)にわたって住み続けられるよう作るべきだし、今の木造住宅ならばそれは十分に可能だと言える。もちろんメンテナンスは必要である。適正なメンテナンスを行えば、今の建築は100年は持つ。つまり3世代にわたる利用に耐えるのだ。2世代目、3世代目は住宅ローンから解放される。その分は社会福祉に回せばよい。よい社会を作らなければこの国の未来はない。建築ばかり作ったって仕方がないのである。