増井真也 日記 blog

埼玉県さいたま市の茶室では大工さんによる無垢材の洗面化粧台を作成した

2025/04/28

埼玉県さいたま市の茶室では大工さんによる無垢材の洗面化粧台を作成した。ますいいリビングカンパニーでは、山桜や栗、鬼ぐるみなどの国産紅葉樹の無垢材を丸太で購入して、製材・乾燥し、それを大工さんが加工して家づくりに利用している。こ子はお茶室の洗面なので、ボウルは小さめに、そして大きな鏡を取り付けた。壁との取り合いには、お水屋のような杉の腰板を貼っている。さりげないけど、大好きなデザインである。

僕としては前向きに鋳物のガラの上に暮らす川口っ子ならではの家づくりを考えいこうと思うところなのである。

2025/04/26

今日は埼玉県川口市にて新築住宅の検討をしているMさんご夫妻打ち合わせ。このMさんの新築計画は実はとても困った事情があル。初めは大手のハウスメーカで建築をしようと考えて、契約をして、既存の住宅を取り壊し、さて新築工事を始めようと思ったところ、実は土地の地下にたくさんの鉄分を含んだガラが入っている土地であることがわかり工事が中断してしまったのだ。多少のガラならそれを避けるように地盤の改良工事を行なって基礎を作ることができるけれど、今回の場合は地下1m付近から地下4m付近までびっしりとガラが埋め立てられているということである。撤去しようと試みたけれど、ガラを隠すようにコンクリートの打設が行われており、そのコンクリートの蓋状のものは隣地まで続いているから安易に取り壊すと振動で隣の家まで痛めてしまう可能性があるという。どうにもならないということでハウスメーカーさんとの契約は解除、土地に残る大量のガラと、すでに解体などの工事がスタートしているので返済が始まっている住宅ローンだけが残ったという場面でのご相談であった。

僕のところにはこういう困った場面の相談がたくさん来る。何せ僕は家づくりの町医者を語っているのだから当たり前だ。大手が嫌がる仕事、さてさてどうしたものかと頭を悩ませる仕事を解決してこその町医者なのである。それに埋まっているのは川口の伝統産業である鋳物産業の廃棄物なのだ。確かに嫌だけれど、そのおかげで今があるとも考えられる。僕も、そしてMさんご夫妻も関連業界の出身なのだ。(僕のお婆さんは鋳物屋さんの出身で、僕の父は機会加工をしていたし、僕の母型は木型関係な訳で・・・)昔の人がやってしまったことだけれど、僕としては前向きに鋳物のガラの上に暮らす川口っ子ならではの家づくりを考えいこうと思うところなのである。

午後、近所に住む先輩が暮らす、古い建売住宅の改修工事のご相談。

2025/04/23

午後、近所に住む先輩が暮らす、古い建売住宅の改修工事のご相談。この住宅は2000年よりも少し前に作られたもので、一度大型のリフォームをしている物件である。昭和56年以降で2000年までの住宅というのは、新耐震基準にはなっているものの、金物の仕様規定がなく大工さんたちが自由に工夫をしながら作っていた時期なので、耐震強度が不足している建物が多く存在する。僕はこのような建物に出会った場合は、まずどこか天井裏などが覗ける場所を探して、適正な筋交金物が取り付けられているかのチェックをすることにしているのだが、今回は2階の廊下にあった天井の点検口から覗いてみると、釘だけで固定されている筋交に気がついてしまった。

一つの固定方法が規定の金物でない場合は、それ以外の固定方法もやっぱりいい加減な方法である。これはまず間違いない。その時代の大工さんたちに悪気があるのではなく、あくまで規定がなかった時代に自分なりに作っていたのだからそうなるのは仕方がない。でも今回の計画では、外壁のサイディングの増し貼りがある。ということは、金物が取り付けられるように一部の外壁を剥がすことができるわけだ。こういう機会に取り付けてしまえば、この先一生安心して暮らすこことができるわけでやっぱりこの補強はやっておきたいところ、だから次回の見積もりに反映させておこうと思う。

僕たちのリフォームにおける役割は、町医者のようなものだ。古い住宅には、年をとった人間のようにさまざまなガタがきている場合もある。お客さんは患者さんのようなもので、頭が痛いから頭痛薬というような直接的な対処法を要求されることが多いわけだが、実はその原因がもっと別のことだったり、そもそもまだ気がついていない治すべきところがあったりするのである。今回のようなケールはまさにそれにあてはまる。もちろん予算をかける選択をするからには、しっかりとした調査と納得、そしてその先の耐用年数の長期化などの条件や、そもそもこの先も長く家を使い続けたいという計画があることが前提だが、僕たちの仕事はそういうことも含めてしっかりと対話しながら進めていくことが大切だと思うのである。

 

今年の家族会は僕が亭主になって社員とそのご家族をお客様にした茶会を開催した。

2025/04/20

今日はますいいリビングカンパニーの家族会を行った。例年いろいろな設で行っているが、今年の家族会は僕が亭主になって社員とそのご家族をお客様にした茶会を開催した。ご家族やお子様たちにとっても、普段触れることがない貴重な体験になったようで、喜んでいただけたようである。終了後は近所の川口ブリューワリーさんで懇親会を楽しんだ。いやー昼間のビールは酔いがまわる。とても楽しいひと時を過ごさせていただくことができた。

今日は新人の佐藤くんと太田くん、そしてリフォームの多能工である関口くんの3名でA3ワークショップを行なった

2025/04/15

今日は新人の佐藤くんと太田くん、そしてリフォームの多能工である関口くんの3名でA3ワークショップを行なった。今日のテーマは土塗り壁である。これは畳1畳ほどの壁を作り、あらかじめ練っておいた土を塗りつけるトレーニングである。日左連が作成した塗り壁トレーニングというビデオを見ることで学ぶことができ、ビデオを見た後に同じように実際に塗って見て技能を向上させることができるので面白い。実際の左官屋さんでは、この手法を新人の技能研修に取り入れているというから本格的だ。これまで全く塗ったことがなかった新人さんたちも、夕方には約10分ほどで一枚の壁を塗れるようになってきた。左官屋さんは3分で塗れて一人前、しかもそれを20回繰り返すというからかなりの体力だ。やっぱり職人さんには頭がさがるのである。

 

そういう繰り返しの中にしか、本当のメンテナンスはないと思うのである。

2025/04/10

今日は埼玉県川口市のIさんの家にて、雨漏りの点検を行なった。川口市が行っている建築相談からのご紹介なのだが、玄関の土間に水が染み出ているような部分があるのでみてほしいという依頼であった。30年ほど前に作った工務店はすでになくなってしまっているそうである。雨漏りの原因となっていそうな、シミの上部にあるバルコニーを構成している屋根に水をかけてみるが、10分かけて1滴の水、どうやらここが原因ではなさそうだ。

周辺の地盤を見ると、基礎の打ち継ぎよりもレベルが上がっているところが多いのが気になる。さらにその打ち継ぎは耐圧版が大きすぎてそれを隠すためにモルタルの補修がされているという、とても奇妙な納まりになっている。もしかしたらここから基礎の内部に水が染み込んでいるのかもしれないと思うが、それを確かめる術はない。花壇はそれほど使っていないというから、打ち継ぎより上部に被っている土は撤去したらどうかの提案をすることにした。僕はこういう仕事の時には、自分が町医者にでもなったつもりで診察を行うようにしている。古い建築には、問題を引き起こす要因が一つではない場合が多い。そしてそれを根本的に解決する方法がすぐに見つかる場合は少ない。でもその家とじっくり向き合って考えていると、なんとなく原因が見えてくることがある。そういう繰り返しの中にしか、本当のメンテナンスはないと思うのである。

夕方埼玉県知事公館に、窓計画で作成した屏風を設置した。この屏風は、和紙作家の岡崎さんに作っていただいたものに、川口市のキュープラの風景を描いたものだ。川口市出身の大野知事さんの公館に飾っていただけることになって何よりであった。

そして僕はきっと死ぬまでこういう仕事を忘れることはないと思う。

2025/04/05

今日は東京都世田谷区にて新築住宅の検討をしているMさんとその婚約者さんとの打ち合わせを行なった。Mさんは僕が10年以上も前にリフォームを行なったクライアントのお嬢様である。その時にはリビングのセルフビルドを取り入れた工事を行なった。今回はご両親が退職を機に地方に移住することになり、世田谷の土地の売却を検討していたところに、長年育った土地を売却してしまうのは忍びない、、、ということで、Mさんがご両親から購入して結婚後に暮らすための家を造ることになったのである。

いやはや、こういう嬉しい展開というのは、25年間にわたって取り組んでいる家づくりという仕事の大切さを改めて思い知らせてくれる。2世代にわたってその暮らしの場をつくらせていただくというのはとても誇らしいことだ。とても小さな土地に立つ、とても小さな建物だけれど、でもとても多くの想いの詰まった住宅になるだろう。そして僕はきっと死ぬまでこういう仕事を忘れることはないと思う。

でも実はこれが、つまりは理想的な世界を作るためにできることをやるスタイルこそが職業というもののあり方の始まりのようにも思えるのである。

2025/04/03

今日は東京大学の権藤研究室にて左官研究に関するご指導をいただいた。左官技能者に限らず、建設業会は全体的な人手不足に陥っている。なんで職人になりたい人がいないのか、それはきつい、汚い、危険、さらに給料が安くて、世間からも尊敬されない・・・とにかくなりたい理由がないからであろうというのが一般的な理由である。でも本当に全ての職人がそんなふうに苦労して、やりがいもないのに働いているのだろうかと考えてみれば、まあそんなはずはないと思う。しっかりと誇りを持って仕事をしていて、ますいいリビングカンパニーと同じように年間100日ほどの休日をとって、きちんと整理整頓された現場で、安全管理も行なって、給料だって満足できるレベルでもらっている職人さんだっている。それは少ないけれど、確実に存在する。

どんな職業だって同じような優劣はある。職人になる動機を考えると、昔は貧しくて学校に行けなくて、職人としてお金を稼ぐことを強いられて働き出したという人が多かっただろう。でも今はそういう人が少なくなって、自分の意思で職についている人が大半である。だからかもしれないけれど、その業界で一流と言われる存在を目指して腕を磨き、とても高い評価を得て仕事をしている職人さんもいるのだ。特にさいきん職人とデザインの領域を行ったり来たりのマルチな才能の持ち主も出てきているようで、左官職人さんで建築家とか、大学教授で石積み職人集団の長とか、面白い人が出始めているように思う。こういう人たちは、職人になりたくてなったというより、今の時代に失われてしまいそうなものを無くさないように二つの職能を両方やっているように思う。いつの頃からかそういう働き方やあり方が普通でないことのようになってしまったけれど、でも実はこれが、つまりは理想的な世界を作るためにできることをやるスタイルこそが職業というもののあり方の始まりのようにも思えるのである。

 

そんな業界に来てくれた社員たちの「夢」だからこそとても大切にしたいと思う。

2025/04/02

今日は社員との面接を行った。年に2回ほどの面接では、昇給の話や社員の夢の話をすることにしている。僕が若い頃、建築設計という業界はとても華やかで憧れのまと、早稲田大学の建築学科もとてもレベルが高くて入るのが大変だった。今では、建築という業界自体が人気がなくって、早稲田大学の建築学科も定員を減らして偏差値を保っている状況だそうだ。他の業界と比べて、生産効率をあげたり賃金を著しく上昇させたりすることが難しい業界だと思われているから、きっと学生も集まらないのだろう。

もしかして建築は必要ない?・・・そんなわけはない。
もしかして家のデザインなんてどうでもいい?・・・それも違う。
他の業界に比べて生産性は低いかもしれないけれど、人の豊かな暮らしにはとても大切な仕事なのである。そんな業界に来てくれた社員たちの「夢」だからこそとても大切にしたいと思う。会社は物心両面で夢の実現を助ける場所でありたいと思う。スタッフたちは夢があるからこそ、前を向いて良いモノづくりに励むことができる。それは最終的にはお客様の満足につながると思うのである。

今日は新入社員の出勤初日ということで、社員一同がモデルハウスに集まって新入社員の歓迎と、2025年度の会社の運営についての報告会を行なった。

2025/04/01

今日は新入社員の出勤初日ということで、社員一同がモデルハウスに集まって新入社員の歓迎と、2025年度の会社の運営についての報告会を行なった。ますいいは工務店機能を兼ね備える建築家集団としてこれまで25年にわたって活動を行ってきた。建築家の石山修武先生のご指導を受けて、家づくりの理想的な組織を作ろうということでスタートした会社である。今ではこんなにたくさんのメンバーと共に、「もっと自由に家を作ろう」のスローガンのもとで、良い家を作ることに夢中になって活動している。

ますいいでは、社員の夢を実現することもとても大切にしながら運営をしている。下の写真は社員の似顔絵と一人一人の夢で、僕の夢はそれを実現する事である。昨年は2級建築士に3人合格した。そのうちの一人は大工さんである。彼はいつか自分の家を自分で設計したいという夢を持っている。集合写真の中には社員大工さんも二人いる。専属大工さんと合わせると総勢7名の大工さんと共に家づくりをしているが、やっぱり職人さんが身内にいることはとても大切な事だと思う。年間に新築が10件くらいとリフォームが10件くらいしかできないとても小さな会社だけれど、これからも精一杯良い家を作るために活動していきたいと思う。

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