危ない新耐震基準建物
今日は川口市で大工さんをしている金井さんと一緒に建築士事務所協会の耐震診断に関する講習会を開催した。前にもご紹介したことはあるけれど、金井さんは浦和高校卒、大卒の一級建築士の大工さんで僕の耐震診断の師匠でもある。すでに70歳を超えているけれど、その見識はとても素晴らしく多くの経験に支えられた真実の見識だ。今回の研修は主に、「新耐震基準」の建築の一部に危険な建物があるということについて行われた。
この基準は昭和53年の宮城県沖地震を検証してできたもので、平成7年の阪神・淡路大震災で被害を受けるまでは完璧な基準ということになっていた。被害を受けた原因は、耐震壁のバランスとか,地耐力に応じた基礎構造かどうかの検討がされていないこと、結合部の構造などである。そこで,平成12年(2000年)に建築基準がさらに改正された。それを「2000年基準」とよんでいるが、この基準によって
①地盤調査の規定
②地耐力に応じた基礎構造
③耐震壁の配置バランスを考慮
④筋かい金物使用や柱頭柱脚接合金物使用の規定
が定められたのである。
平成28年4月14日の9時26分に熊本地震が発生した。この地震で「新耐震基準」で建築された住宅に大きな被害が発生したのは、まさに金物固定がされていない建物であったのである。
築年数が22年以上の建物は耐震診断を行い、金物補強をした方が良い。これはまだあんまり知られていないことである。だからこそ認識を広く共有し、少しでも被害をなくすための講習会を開催したのであるがさてさて効果は如何程であろうか。今後川口市の補助金制度などを構築して周知できればと考えている。