理想の家作りをしているとどうしても予算がオーバーしてしまうことが多い。
理想の家作りをしているとどうしても予算がオーバーしてしまうことが多い。でも自然素材の壁仕上げや無垢材の床板などどれも諦めたくはないところである。一生に一度の家作りだからこそ、多少の無理はしても何とか理想を実現したいと誰もが思うはずだ。そこで、私は体を動かす元気と時間がある方にはセルフビルドをお勧めすることにしている。
ここで、石灰クリームをセルフビルドで施工した場合どれくらいコストを抑えることが出来るかを考えよう。例えば300㎡の壁を職人に依頼して仕上げたとする。職人の㎡あたりの単価が3000円程度なので90万円の工事だ。石灰クリームの材料代が一缶8000円程度。一缶で約10㎡塗ることができるので30缶必要になる。30缶の材料代が24万円で、さらに雑資材費で3万円必要だとすると材料費は27万円になる。この場合の㎡あたりの単価は900円。これはビニルクロスの量産品と同等だ。ビニルクロスの値段で石灰クリーム仕上げができる、これがセルフビルドの良いところである。
ほかにも天井板の塗装、簡単な造作家具工事、ウッドデッキの塗装や製作、タイル貼りなど、やる気になれば何でもできるものだ。
しかし、現場にセルフビルドを取り入れるには多少のコツが必要である。素人でも出来る作業にするためには、「収まりを簡単にする」「作業手順を区分けする」などの設計上の工夫が重要だ。たとえば漆喰を塗る場合に、窓枠を壁巻き込みのデザインにすると、その角の部分の仕上げに非常に苦労する。
現場管理においても同じようなことが言える。例えば天井板を塗装する場合、板を貼る前に塗装するほうが貼った後に塗るよりも圧倒的に楽である。
また、作業方法を自ら調査し実践できるクライアントはなかなかいない。基本的な作業方法を説明し、時には指導のための職人さんを手配するようにしてあげることも重要である。
写真のガーデンハウスでは床のタイル貼り、外壁のキシラデコール塗り、造作キッチンの作成などをセルフビルドで行っている。今後は内壁の漆喰仕上げを行う予定だ。お金をかけない家作りを実践している好例である。