増井真也 日記 blog

ますいいで働いてくれる予定のダウン症のSちゃん、先日は一生懸命尺トンボづくりを練習してくれた

2024/01/29

ますいいで働いてくれる予定のダウン症のSちゃん、先日は一生懸命尺トンボづくりを練習してくれた。そのSちゃんから動画が届き、とても上手に紐を釘に結びつけることができた様子が伝わってきた。なんとも嬉しいお知らせである。小さな手で何度も何度も練習したのだろう。こんなふうに作ってくれたものが左官の土壁に埋め込まれ、その壁の補強をすることができたら、これほど心が温まることはないだろう。とても嬉しい写真なのでここに紹介したい。

日本美を大切にした設計の素晴らしさにしばし目を奪われた

2024/01/28

今日は埼玉県川口市で僕が所属している裏千家茶道の新年会、ホテルオークラの「さざんか」という鉄板焼きレストランでの会食に参加した。なんとも豪勢な響きだが、僕の先生はこのホテルにある茶室で催される茶会の責任者をされている関係で、毎年恒例の行事となっているのである。

今から4年ほど前に谷口吉生先生の設計によりオープンしたこのホテルに初めて足を踏み入れたが、いわゆる日本美を大切にした設計の素晴らしさにしばし目を奪われた。写真に映るのは梅をモチーフにしたテーブルと椅子、左の窓上部にあるのは二等辺三角形の組み合わせによって作られた四方連続紋様で、釘を一本も使わずに組まれた麻の葉紋の格子である。42階のレストランからはアメリカ大使公邸が見下ろせる絶景である。なんとも贅沢なひとときであった。

ダウン症のSちゃんが幸福感を感じることができるような状態、つまり誰かのために働くことができる状態を作りたいと願い、今日の作業練習会を開催した

2024/01/27

午前中埼玉県川口市の鳩ヶ谷里にあるモデルハウスにSちゃんが来てくれた。Sちゃんはダウン症の女の子で、僕の長女の親友の妹さんである。今はまだ高校2年生だけれどもうすぐ就職の時期となる。色々と話を聞きだしているけれど就職をしても貰える給料は月に6500円程度、あまりに低すぎる現実になんとかならないものかの相談を受けた。B型就労支援施設というのは最低賃金を下回るお給料で、つまりは時給数百円での労働となってしまうことから、どうしても低賃金化してしまう。A型就労支援施設は最低賃金を払ってくれるけれど、なかなか入ることはできない。

日本には約950万人の障がいを持った人々が暮らしている。そしてそのうちわずか50万人程度しか就職できていないのが現実だ。人が幸せと感じる条件というのは、誰かに必要とされたり喜んでもらったりという自己肯定感が最も重要だというが、働くことができないということはその喜びを感じることができないということである。障がいを持ちたくて生まれてきた人はいないし、障がいのある子どもを産みたくて産む親もいない。でも誰にでもその可能性はあって、僕の長女の親友の家庭にはたまたま一つの個性として障がいのある子が生まれてきたのだ。

ある日、長女を通してSちゃんの雇用について相談をされた(というより僕が社員を大切にする経営をしていることを知った長女が相談してみればと言ったらしい)。僕にとってこれはとても大切な出会いだと思う。ダウン症のSちゃんが幸福感を感じることができるような状態、つまり誰かのために働くことができる状態を作りたいと願い、今日の作業練習会を開催した。今日は尺トンボという左官材料を作る練習をした。ステンレスの細い釘に麻の紐を巻いて作る、土壁などに利用する材料である。今では作る人も減り、なかなか手に入らない、でもこだわりの左官屋さんにとっては必要なアイテムだ。さてさて、うまく作ることができるようになってくれるか。一歩ずつ進んでいければ良いと思う。

階段を掛け替える場合には、建物全体の敷地関係規定や構造規定などなど全てが審査対象となるのだから大変である

2024/01/26

2025年より確認申請に関する法律が改正される。これまでの2階建て以下かつ延べ床面積500平米以下の4号建築は建築確認・審査の際に審査省略制度があったのだけれど、それが2階建以上または延べ床面積200平米超の木造建築物は新2号建築物に該当しすべての地域で建築確認・検査が必要となる。これはリフォームについても適用されるので、これまでは確認申請を行わずにできたリフォームができなくなることが考えられるのである。

リフォーム工事については、新2号建築物における大規模の修繕と大規模の模様替の場合に確認申請が義務付けられる事になる。大規模というのは=主要構造部(柱・梁・床・壁・屋根・階段)の過半の部分に行う工事をいうのだが、つまりは階段の架け替えとか、壁の大部分をスケルトンにして作り直すなどの場合には、確認申請を行わなければならないということになったわけだ。もちろんすべてのリフォームが入るわけではない。例えば床の張り替えや重ね張りなどは入らないし、屋根の吹き替えも大丈夫である。でも階段の架け替えは入ってしまうので注意が必要だ。階段を掛け替える場合には、建物全体の敷地関係規定や構造規定などなど全てが審査対象となるのだから大変である。ということは今後のリフォームでは階段をいじることはほぼなくなるかもしれない。

現在のところここまでの情報しかない。これは確認申請審査機関に聞いても同じことである。実際には運用されてから、あまりにも運用が厳しすぎたり難しいということになれば、更なる改定が行われるのだろうがそれまでは規則通りに運用されるのであろう。古い建物が適正な形にリフォームされるようにという狙いはわかるが逆に簡単にまだ使える建築を壊す方向に行くような気もする。果たしてどうなることやらというところであろう。

「私たちのエコロジー・地球という惑星を生きるために」を鑑賞した

2024/01/15

今日は森美術館で開催されている「私たちのエコロジー・地球という惑星を生きるために」を鑑賞した。決してジャーナリズム的な視点ではなく、アートを通して環境破壊に対するメッセージを送り続けてきたアーティストの作品が展示されているものである。写真はニナ・カネルの作品で、5トンものホタテの貝殻を敷き詰めた上を鑑賞者が歩くというものだ。ちょうど左官の中でも貝灰の研究をしている僕にはとても親近感を覚える作品であった。人類は古来より貝殻を焼いて石灰を作ってきた。それは漆喰として利用されたり、農業の消毒に利用されたりもした。毎年大量に廃棄される帆立貝の貝殻はすでに様々なリサイクル利用をされているが、こんなところで大量の帆立貝に出会うとは思っていなかったのでご紹介したい。

今日は埼玉県越谷市にて中古住宅を購入し、リフォームを検討中のIさんご夫妻打ち合わせ

2024/01/09

今日は埼玉県越谷市にて中古住宅を購入し、リフォームを検討中のIさんご夫妻打ち合わせ。IさんはますいいリビングカンパニーのYouTubeを制作していただいているのだが、こうしてご自身の住宅までご依頼いただけるというのはなんとも嬉しい限りである。始めたばかりで手探り状態ではあるのだが、トークチャンネルでは一緒に登場していただいたりもした。こういうことは楽しみながら続けていくのが一番であるから、これから和気藹々と作り続けていきたいものである。

今回購入を検討している住宅は平成の半ばごろ、約30年ほどの築年数の木造2階建てだ。この時代の住宅は一様に断熱性能が低く、耐震性に関しては新耐震基準を満たしているのでそれなりに信用ができるという状況だ。基礎は布基礎とベタ基礎が混在している時代、今回は布基礎を採用していた。この時代の金物はついていたりついていなかったりのちょっと信用できない状況が多い。2000年基準などと言われたりもするけれど、90年代後半から2000年台初頭の住宅は金物を大工さんたちがあれこれ悩みながら取り付けていた時代なので、ついていなかったり、なんでこんな金物がついてるの?と思わせるような間違いがあったりもする。中古住宅の購入に当たっては、まずこの辺の状況を調べておいた方が良い。僕の場合は僕自身が天井裏を見て、床下にもぐる。天井裏からは筋交の頭が見えるし金物の状況も見える。床下には基礎の表面が見えるし、たまには土台が腐っていたりもするので、湿度が高くはないかとか周辺環境にも注意を払うようにしている。世の中ではいい加減な耐震診断が横行しているけれど、やっぱり体を使って調べないと何もわからないのである。

今日は概算のお見積もりと工事計画をご説明させていただいた。いよいよ正式購入に移るが、その前にローンの審査である。良い結果が出ることを祈る。

 

今日から仕事始め。本年もよろしくお願い申し上げます。

2024/01/08

今日から仕事始め。本年もよろしくお願い申し上げます。

夕方より川口茶道会新年会に参加。この会は川口市での茶道の普及のためにいろいろな流派の先生が集まって活動している会で、僕の先生が会長を勤めている。2023年もいろいろな行事を行ったのだが、子供たちを相手に初めての茶道体験をやった時など一席30名ほどでとても楽しいひと時を過ごさせていただいた。人に教えるということは自分もしっかりと習得しなければならないし、特に子供たちはじっと見つめてくるので緊張する。正しいことを教えるために自分も稽古を行う、つまり自分にとってもためになることなのである。
会の初めには多くの政治家さんが挨拶をされていた。これもまた彼らの仕事である。地域での諸活動に予算をつけてくれるなどの協力をしてくれる代わりに票を求めることが、政治家でい続けるためには必要なのだから仕方がない。分かっているけれど総勢6名の挨拶をただ聞いている時間はやはり退屈である。

仕事始めにあたって、今年は皆色々と考えさせられたことだろう。今年のスタートは地震と飛行機事故、こういう正月を迎えたのは生まれて初めてのことである。何かとんでもないことが起きるのではないかの悪い予感すらしてしまうスタートである。多くの方が亡くなった。無事でいることができるだけで、本当に感謝すべきことである。「無事是貴人」の禅語を茶席の中でよく目にするが、こういうことがあると改めてその意味を認識する。

僕たちの作る家は地震から身を守るシェルターにもなるし、人の命を奪う凶器にもなる。実際に北陸の被災地でも被害を受けていない建築もある。被害を受けていたのは主に古い瓦屋根の住宅であった。昨年行った古民家の工事では耐震性を高めるための補強を行ったが、こういうことをしておけば助かった命もあるのだろう。耐震診断や補強工事の重要性は知っていたつもりだが、やはり更なる普及を急ぐ必要があることを強く感じた。

(下の写真は構造補強の様子。基礎のないところには基礎を作り、耐力壁を筋交や合板で構成した。屋根が受ける地震力を地面まで伝えるために、天井レベルに24ミリ合板の水平剛性を構築し、筋交をへて伝達するようにした)

新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2024/01/01

新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

引き続き湯沢のスキー場である。16時ごろゲレンデを後にして指定のバスで宿に向かっていると、能登半島の地震のニュースに気がついた。震度5強、大きめの地震だなあくらいに思っていると宿に到着し、トランクからスキー板などをおろしていたら突然地面が揺れだした。長い横揺れである。傾斜地の温泉宿なので地面も斜面も建物もうねるように揺れている。先ほどの地震は余震だったのかの感が頭をよぎり、自然に東日本大震災を思い出した。これだけの揺れだと震源地は相当の被害だろうと思い、部屋に帰ってテレビをつけると津波警報まで出ている。テレビではNHK のアナウンサーが絶叫していた。予想高さは5m、やはり相当な規模である。

今夜はもう一泊するはずだったが、もしかして関東地方にも何かあるといけないので急遽帰り支度をして川口市に戻ることにした。新潟にいると知った人からは心配の連絡があったが、湯沢に関してはそれほどの揺れはなかった。能登半島の先端部分での大きな地震ということで、夜が開けてからの被害状況が心配である。それにしても今日は元旦、今年は波乱の幕開けとなった。平穏に人々が暮らせることが何よりの幸せであると改めて感じさせるスタートである。無事であることに感謝を寄せて、被災されお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りしたい。

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