9坪ハウスという最小限住宅がある。
2021/10/15
9坪ハウスという最小限住宅がある。この住宅は増沢洵という建築家によるもので、建坪は、三間×三間=九坪、1階九坪+2階六坪=一五坪という総床面積である。きれいに六分割された立面。南側の大きな開口とスノコのテラスが特徴的だ。吹抜けが居間になっており、その奥が寝室、二階が書斎と家事室となる。細かいディテールは設けず、構造がそのまま表現になっているシンプルな家だ。規模は小さいが、とるべきところは思い切って空間を確保し、小ささを感じさせない。この住宅は戦後日本において物資が不足している時代に作られた実験住宅である。
9坪ハウスプラン
下の写真はますいいで10年ほど前に造った9坪ハウスである。クライアントはとある大手ハウスメーカーの方だ。玄関もないこの住宅は家に入るとすでにリビングにいるという状態である。正方形平面の中に家具作りのように寸法を無駄にせずに収められているプランニングは、まさに増沢洵氏の最上現住宅と同じである。原油高、資源の高騰、環境負荷を考えるとこうした小さな家はとても理想的な答えのように思える。もちろん全ての人に当てはまる答えではないけれど、こういう最小限の空間で好きなことを仕事にしながら自然と共に暮らす、そんなライフスタイルがあっても良いのではないだろうかと思うのだ。