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川口の避難観測所 建築家佐藤研吾氏と共に

2022/05/20

耐震診断の調査

今日は、埼玉県川口市のIさんの家にて、耐震診断の調査を行なった。Iさんの家はもともと平屋だったところに、2階が乗せられて、そして最後に2階建ての9尺かける3間が付け加えられるというなんとも複雑な状況となっている。今回は本格的な耐震改修工事を行うにあたり調査を始めた次第である。

まずは2階の小屋裏を確認する。小さな点検口から頭を入れると小屋裏には、2回の工事の接合部が見える。無理矢理の接合の様子や、時代によって入れられている筋交の存在、金物の有無などの情報から当時の大工さんの心情を読み、耐力を推察する作業はなかなか楽しい。次は1階の天井裏であるが、ここは意外と空間が広かったので天井を踏み抜かないように注意しながら梁の上を歩き回っての調査であった。ネズミの糞やら、木舞壁の竹を編んだ様子やらを確認しながら、やはりここでも筋交や金物、そして梁が途中で途切れてしまう上部構造なしがないかなどを確認した。最後に入るのが床下である。床下は匍匐前進で進むのだけれど、基礎のひび割れや有無、土台の腐食など多くの情報が手に入る。そしてここが一番いろいろなものが出てくる場所でもあった。なぜか古い瓶、レンガ、などなど・・・、邪魔なものは掃除してあげての調査であった。

 

川口の避難観測所

建築家佐藤研吾氏とともに制作している「川口避難観測所」
外部では鉄骨の避難観測所の骨組みが組み上がっている。水害への備え、そして地震への備え、この両輪を満たせば古い家でも十分使うことができる。古いものを大切にする行為はとても尊いものだと思う。そして僕にとってもとても正しいことに協力しているような気持ちになれるとても大切なことであるのだ。こちらの写真は見事なので掲載しておこう。

 

川口の避難観測所は、417号「住宅特集」にて紹介いただいています