住まいへのこだわり 今回の家づくりでは、ビニルクロスなどの工業製品を仕上げに使用しないことを目指した。八溝杉の天井羽目板や家具の造作材、唐松のフロアリング、丸太で購入して製材した栗や桜の素材をふんだんに使用し、壁などの仕上げには左官屋さんの指導を受けながらセルフビルドで漆喰を塗り上げた。キッチンや洗面の前にはタイルをセルフビルドで施工している。照明カバーなどの部材も杉を使用して優しいデザインを考案している。
設計するうえでのポイント クライアント主体の自由な家づくりを実現するために、設計時点から積極的に家づくりに参加していただき、工事中も多くのセルフビルドを行う事で「自分の家は自分で造る」の実現を目指した。設計は基本設計から実施設計まで、多くの模型を作成して丁寧に行った。古い街並みに自然に溶け込む印象的な外観を造り上げた。
設計施工のコンセプト
傾斜地からの眺望を暮らしの中に取り込むことを意識して、舞台のような外観とした。南側に面する窓からは近隣住宅の屋根が見渡せる。そしてその向こう側には反対側に上っていく坂がある。この伸びやかな景色に向けて長い階段状のベンチが配置されている。南の開口部を強調するために南側の天井はあえて低く抑えている。リビングにはペレットストーブを配置し、火が家の重心にあるようにした。
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