となり合う東西2つの築50年の木造住宅を、8人のシェアハウスに改修しました。
「醸す家」と名付けられたこの家は、醸造文化をテーマにつくり手が情報を発信するための拠点という顔も持っています。
住人や訪問者が味噌づくりや酒の試飲などを通して交流するためのラウンジを、仕切壁をすべてなくした東棟の2階部分に設けました。
IHテーブルを囲んで料理、食事、洗い物が有機的に行える「みんぐる」キッチンも住人を緩やかに結ぶ仕掛けとしてラウンジの中央に置かれています。
古い家を部分解体した際に痛みの激しかったたくさんの大きな出窓は、改めて考えるとこの時代の住宅の大きな特徴に思え、頑丈に補強して各個室の象徴となるように部屋を配置しました。
この家をとりまく川口本町の路地の持つ魅力を意識的にとどめたいというお考えにより、ラウンジの外にあるテラスから、屋根伝いのようなウッドデッキで西棟まで伸びてゆき、住まい手がお互いの気配を意識しながら、路地裏からひょっこり個室に潜り込むような、街をめぐるような雰囲気を大事にしました。