午前中、埼玉県さいたま市にて茶室を造りたいというご相談。今回のご相談は茶道を楽しむためだけの建物として専用の茶室を造る計画である。茶室は通常8畳の広間と4畳半の小間の二つを造ることが多い。もちろんそれよりもさらに小さい2畳や3畳といった部屋もあるのだが、これらはどうしてもこういう小間をほしいという場合か、通常の広さだけでなくさらに多くの茶室を造るような場合に造ることの方が多い。8畳と4畳半の二つはいわゆる基本形なのだ。さてさて、どういう茶室がいいだろうか。
裏千家は京都市上京区小川通寺の内上る本法寺前町の表千家の北側にある。僕は表さんには入ったことはないけれど、裏千家の方には何度か足を踏み入れたことがある。最近数年間の全面改修工事を行ってきれいにお色直しをしたのだが、このコロナ騒ぎで工事の後は見たことがない。良く記念撮影の場として利用される正門は寄棟造り檜皮葺の端正ある様相をしており、いかにも茶道の宗家といった佇まいである。この門をくぐって一番奥の方まで進んでいくと、又隠という茶室がある。この部屋は四畳半本勝手で床の間は南面している。この茶室は宗旦の好みといわれているが、もともとはその宗旦が利休の4畳半を好んで造ったと言われているので、この部屋を見れば利休の4畳半を想像することが出来ると言われている。
この部屋の隣には水屋がある。この水屋の向こう側にあるのが寒雲亭という8畳だ。この部屋も宗旦が隠居するために造った部屋である。ふすまは「探幽の手違いの襖」と言われている。探幽がまだ若いころ、宗旦の不在中にこの部屋を訪問し白紙の襖に無断で絵をかいてしまったそうだ。まさに書き終わろうと言いう時に宗旦の気配に慌て、仙人の手を左右取り違えて書いてしまったそうだ。僕はこのエピソードを確か関根専務理事に伺ったと記憶しているのだけれど、薄くなって見えるか見えないかの江戸時代に書かれた絵がこんな風に残っていることに感動したことを覚えている。
4畳半と8畳の組み合わせを考えるスタートにまずはこの二つの茶室を思い出してみた。