増井真也 日記 blog

築地塀についての調査・作図を行なった。

2021/08/10

今日は京都にて、埼玉県さいたま市にて設計中のお寺の塀に使用する築地塀についての調査・作図を行なった。やはり伝統建築の意匠は京都が良い。この地にはいわゆる和風の意匠が多く残っているし、新しいアイデアも散りばめられているのだ。築地塀というと本当は土を突き固めて作る、いわゆる版築のような作り方が基本となる。(土を突き固めて作った版築で最も有名な建築が万里の長城だ。)ますいいでも実際に世田谷の常光寺さんでこの版築の塀を作ったが、今回は築地塀といっても本当に土で作るのではなく、土台の部分はコンクリートブロックを利用し、そこにモルタルで斜めの断面を塗りつける予定だ。

コンクリートブロックで作った躯体の上には木製の土台、腕木があり、母屋と棟木にかかる垂木を組んだら、広小舞と胴縁を入れて化粧野地板を貼る。その上にもう一度野地板を張って、最後に瓦を葺いたら出来上がりである。このように書けば簡単なことなのだけれど、ここまで細かい作業をしての塀作りはなかなかあることではない。お寺の場合、大きな山門がある周りに作る塀なので、やはりそれなりに風格が必要となるし、耐久性だって数百年以上のものが期待されるからこそ、塀に屋根がつくのである。お寺や神社の仕事をさせていただくことは建築家にとってとても誇らしいことだ。自分の人生よりずーっと長いスパンで利用される建築を造るときの緊張感を楽しみながら設計をしていきたいと思う。

増井真也 日記アーカイブ