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増井真也日記

現代社会というのは情報過多の中の情報不足

2023/03/13

浅草演芸ホールに行ってみた。ここは昭和39年に浅草フランス座に増築されて作られた落語のためのホールである。当時は古今亭志ん朝、立川談志といった若手がここで活躍したそうだ。午前午後の2部制でどちらか決めればいつ入っても良い。とても自由な雰囲気であるけれど、舞台の上の落語家さんたちは真剣そのもの、特に新人さんたちの落語を聞いているとその緊張感が伝わってきてこちらまで緊張してしまいそうになる。

なんで、今更落語なのと思われる方もいるだろう。僕も自分が落語を楽しいと思って聞くようになるとは全く予想していなかった。落語というのは江戸時代から始まったそうだが、生の人間が目の前にいる数十人に対して話をするというおよそ現代的ではない手法で、しかも昔から伝わる同じ話を自分流にアレンジして話をするという、情報過多の現代社会には全く反対をいく芸能である。しかし現代社会というのは情報過多の中の情報不足ということもできる。何が必要な情報なのかの区別もつきにくいくらいに振り回されているのが実情だ。そんな中で、古典落語をひたすらアレンジする姿勢はなんとなく心地よい。どこか親しみやすい伝統といっても良いようなものだからこそ惹かれるのかもしれない。

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