僕は建築家になって良かったと思っている。なぜかというとこの仕事はすごくわかりやすく人の役に立っているなあという実感が湧くからだ。どんなことでもそうだけれど、自分が儲かりたいとかの欲得だけでできる仕事は歳をとってくると疲れてしまう。多くの投資家さんのような仕事をしている人は、お金を稼ぐということに十分な満足を得ると、決まって世のため人のためになるような慈善事業をやるものだが、それもきっと私利私欲には限界があるとうことなのだと思う。
建築の仕事は何歳くらいまでできるか?ますいいには松永さんという監督がいる。松永さんは70歳を超えているけれどとても頼りになる存在で、いなくてはならない人だ。
設計者ではそこまで高齢者はいないけれど、僕自身48歳になって、これまで作ってきたものとこれから作っていくものはやっぱり変わっていくんだろうなあという実感はある。そして当然だけれどこれから作っていくものの方が良い建築になるという気もしている。それは建築というものが人間を入れる容器を作る仕事だからだ。人間を知るにはそれなりに時間がかかる。自分が生きた分だけ、なんとなく人間がわかってくる。そうすると段々と良い家というものがわかってくるものなのだ。