午前中、川口グリーンセンターにて打ち合わせ。この施設とのかかわりはすでに5年ほど前である。現在の天皇陛下がお泊りになった部屋の改装工事の設計施工を担当する際に、その部屋があるシャトー赤柴という建築の利活用計画についての調査を行った。この建築は伊藤喜三郎という建築家が設計をした洋館風のRC2階建ての建築で、当時皇太子殿下が川口市にいらっしゃる際に宿泊するためだけに造られたのである。川口市には文化がないといわれるが、こういう建築はまさに文化となりうるものである。この先どうなるかはわからないけれど是非うまく保存活用をしていけたらと思っている。
文化財としての建築を保存した例として旧田中邸がある。これは川口のみそ問屋であった田中家の旧宅を、マンションディベロッパーから買い戻してまで作り上げた川口市が誇る近代建築であるのだが、残念なことに市民が誇るような使われ方もしていないし、経済効果につながる観光資源にもなっていないのが実情だ。建築文化はただそこにあるだけでも莫大な維持費がかかるから、経済効果がないものはどうしても行政のお荷物になってしまいがちだ。古きものを良いと思う感覚はほぼすべての国民に備わっているにもかかわらず、それらの建築遺産がうまく利用されないのはやはり利用できないようにしている行政側に問題があるのだろう。運営を民間に任せる事例が多いが、川口市のような東京近郊の住宅街の場合観光資源として十分は収益が見込めるわけでもないので、手を上げる民間企業がどこまであるかというと無いのが実情である。行政にいわゆる施設運営のプロがいるわけでもないのだが、これからの行政にはこういう施設の運営を専門にする人材が必要なのであろうと思う。
夕方、埼玉県上尾市にて設計中のHさんの家の打ち合わせ。開発申請に係る書類の説明など。