朝6時過ぎ、東京都新宿区にて今日から現場を始めるHさんの家の現場立会のためにスタッフの堀部君と一緒に出掛ける。今日は基礎屋さんが遣り方と根切りを行う予定。現場に着くと2トンダンプにショベルカーを積んだ基礎屋さんがちょうどやってきた。この現場は前面道路が川に面しているとても狭い道で、軽トラックがギリギリはいることが出来るくらいの幅しかない。だから現場から56m離れた橋の上でショベルカーを下して、プラスチックの養生板を敷きずらししながら現場まで自走させたりの工夫をしなければ工事を行うことが出来ない。近所の会社の駐車場をお借りしてそこで2トン車から軽トラックへの積み替えをしたりもする。中井の駅にほど近い区画整理のされていない混沌とした街並み、都内にはこういうところがまだまだたくさんあるのだ。
現場の前を流れる妙正寺川は染物で有名である。現場から歩いて15分ほどのところには林芙美子記念館という建物がある。林芙美子は新居の建設のため、建築について勉強をし、設計者や大工を連れて京都の民家を見学に行ったり、材木を見に行くなどしたらしい。設計者の山口文象は、今のRIAという設計事務所の創立者として有名だが、数寄屋造りのこまやかさが感じられる京風の落ち着きのある住まいを苦労して設計したのであろう。新宿と言うと繁華街の姿しか思い出せないのだけれど、実はなかなか味わい深い街もあるのだなあという事がわかる。建築の現場をやっているとこういうことに出会うのもまた楽しみの一つなのだ。
帰りがけに戸塚警察署に行き道路使用許可などについてのご相談。戸塚警察署は僕の母校の早稲田大学理工学部のすぐ近くである。この警察署に道路のご相談に来るのは10数年ぶりだ。前に石山修武研究室にいたスタッフのNさんの自宅を建てさせていた時に、道路を占用した時以来である。その時は確か鉄骨の建て方工事だった。何とも懐かしい思い出の警察署なのである。