建材をめぐる旅で淡路島の野水瓦産業株式会社を訪れた。一緒に行ったのは勇建工業の加村さんである。会社に着くと野水社長が出迎えてくれた。広い敷地に大きな工場が建っている。工場の中を案内していただいたが、中には数人の社員さんたちが作業をしていた。社員はベルトコンベアのような瓦を運ぶ機械で運ばれてきた瓦を焼成のためのラックに積み替えている様子である。一人の男性が黙々と作業をしているのだけれど、その様子が眺めていてとても懐かしく感じられた。
最近の工場というと自動化が進み、大きな機械がガシャンガシャンと動いている横で綺麗な作業着を着た女性の工員さんが微調整作業を行っている、というようなイメージだ。確かにそういう先進的な世界が正義とされる世界があって、ほとんどのものはそこを目指すことでしか存在できなくなっていることも理解できる。でもここには本当に昔ながらの作業をしている職人がいて、釜こそ土でできたものではなくなっているけれど結構アナログな手法で瓦を焼いている。僕も機械加工業者の息子として生まれ、小学生の頃からは一つ五十円とかで賃加工のアルバイトをしてお小遣いをもらった経験があるのだけれど、同じ動作を繰り返しているという状況は精神的にはとても良い状態であることが多い。つまりそれに関わる人は幸せになれると思うのである。何でもかんでも自動化をすれば良いというものでもない。そういえば以前、茶道の関係者から電動お茶点て機なんて話を半分冗談で聞いたことがあるけれど、自動化や機械化が進んでしまったものからは、歴史とか作者の気持ちといった何か大切なものを伝えることができなくなってしまうのだと思う。
