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増井真也日記

藤井厚二氏の自邸「聴竹居」の写真集を見た。

2022/01/15

久しぶりに藤井厚二氏の自邸「聴竹居」の写真集を見た。この住宅は1888年生まれの藤生厚二が作った実験住宅である。藤井は「1日も早く我が国固有の環境に調和し、吾人の生活に適応すべき真の文化住宅の創生せられんことを熱望してやみません」というように、10年にわたって五件もの実験中住宅を作っている。この住宅はその5作目、まさに集大成とも言える作品だ。写真はこの住宅のサンルームの様子である。現在でも竹中工務店によって保存され見学できるのだが、実際に建築を見てみるととても心地が良いことに驚かされる。

この建築はいわゆる数奇屋建築を西洋化し再構築したような木造住宅である。和洋折衷、しかし和の様式も伝統をそのまま置いたものではない。その意匠はとても挑戦的なのに、でもとても心地よい、この心地よさはいったいどこから来ているのだろう。聴竹居は自然素材で作られている。漆喰の左官壁を面として使い、線材としての木が縦横無尽に使われて、紙が貼られ、石が積まれているのである。そこにはいわゆる人工的な素材は一切なく、職人の手によって生み出された自然の暖かさがあるもののみで包み込まれているのだが、人は本来こうした空間を見慣れており、だからこそ落ち着く、いつもあでもそこで過ごしたいと思うような感覚になるのだろう。写真のサンルームは圧巻の造作である。視界を遮らないように工夫されたコーナー部のガラスの収まり、柱がなくとも持つように軒をはね木で持たせていたり、見せたい中央部のガラスのみを透明とし、上下のガラスは曇りガラスで調整すなど非常に細やかな気遣いがある。ここはこの建築の中で僕が最も好きなところだ。

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