身の回りの様々なものを自分で造ろうという事は、知覚できるテリトリーを出来るだけ拡張していこうとすることだと思う。ハイテク社会において便利なものを受け入れれば受け入れるほどに、なんだかよくわからない物や事に支配される割合が少しずつ増えていくような気がする。意識するとしないとにかかわらず、何者かに自分自身の行動や嗜好を監視され分析され・・・、社会全体が表面からは理解できないほどに迷宮化している。でも、人が暮らすってそんなに複雑な事なのだろうか。住宅は僕たちの理解できる空間へと創り直すことが出来る唯一の居場所である。だからこそ出来ることは自分でやる、セルフビルドが価値があるのだと思う。
「自分の家は自分で造る」本当はこれが理想である。でも自分自身で全てのことをやるのは無理だから、できるところをやればいいというのがますいいの考えだ。設計を自分自身でやりたい人もいるだろう。普通はこんな人いるわけないと思う。でも実は建築の知識を持っていて、今は木造住宅を作る会社に勤めていない人、もしくは勤めているけれど自分のメーカーでは建てたくないと考えている人はたくさんいる。要するに建築学科を卒業している人の数を考えたら結構存在するのである。実際にますいいには自分自身で1/100模型まで作ってきて、これを建ててほしいというようなクライアントも結構いる。詳細設計は面倒だし、木造のことはよくわからない、でも建築のコンセプトや大まかなプランニング、断面計画などについては僕たちと同じように考えたいというようなパターンは結構あるのだ。埼玉県のさいたま市に作ったWさんの家では、大手の設計事務所に勤めるWさんのスケッチに基づいて設計を行なった。初めはますいいさんのプランも見てみたいと言われたので、僕たちが考えた設計をプレゼンしたのだけれど、出張で関西方面に行く新幹線の往復で描き上げたプラントパースのスケッチを渡されて、これで作って欲しいと言われたのである。このように「自分の家は自分で造る」の最初のパーツは設計である。
