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増井真也日記

左官の魅力とは仕上がった壁はもちろんのこと、何層にも重ねて塗っていく過程とそこに込められる工夫にある

2023/06/08

埼玉県川口市に造ったモデル住宅の茶室には木ずり下地の土壁仕上げを採用した。左官職人は榎本新吉名人のお弟子さんの小沼さんである。木ずりに半田という土佐漆喰に土を混ぜたものを塗り、さらに中塗りの土を塗ったところで行う作業がこの長ひげこ打ち(釘に麻紐が巻いてあるもの)である。木ずり下地の暴れによるひび割れを防ぎ、良質の土壁を仕上げるための下地処理であるけれど、何だかこのまま仕上げにしても良いと思えるような魅力を感じる。

左官の魅力とは仕上がった壁はもちろんのこと、何層にも重ねて塗っていく過程とそこに込められる工夫にある。出来上がったらただの土壁、誰もこんな作業をしていたとは想像もできないだろう。昔の建築現場には様々なこうした工夫があった。自然の果実が日の光と雨と土からの養分を得て育つ賜物であると同じように、職人の技術はものと人間と自然との長い時間をかけた対話から生まれた賜物であり、だからこそいつまでも見ていたくなる大切なものなのだと思う。

 

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