今日は金沢に来ている。僕にとっては初めての金沢旅行で、これまで見たいと思っていたけれど見たことがない建物、見ておいた方が恥ずかしくない建物、そしてお会いしたいとても大切な人に会う機会、しかも長女と二人での旅行ということでなんとも貴重な機会である。お昼頃新幹線で到着すると、荷物をホテルに預けて早速建築ツアーに出かけた。まず訪れたのは鈴木大拙館である。あいにく休館ということで中には入れない。建築を取り囲む水盤の辺りにあるベンチに座っていると、なんとも博識そうな老人が話しかけてきた。「あぶくが出るのを知っているか」というようなことを聞かれたのだが、なんのことだかわからない。しばらく水盤を見ていると、中央からあぶくがブクット吹き出した。すると水盤に波紋が現れる。ああこれのことかと老人を見ると、なんだか嬉しそうにその様子を眺めていた。昨年亡くなった設計者の谷口吉郎氏からのメッセージのようなその波紋を眺めながらしばらく思索の時間であった。
しばらくするとその老人が、兼六園まで案内をしてくれるという。斜面を登っていくとすぐに兼六園が見えてきた。とても楽しそうに案内をしてくれていたので、いったいどこまできてくれるのかと思っていると入り口のところで別れを告げられた。それにしても親切な人がいるものである。兼六園の入り口を入るとすぐ脇にあるのが成巽閣だ。この建物は武家書院造と数寄屋風書院造を一つの棟の中に組み入れた建築である。前田家の奥方のための建築だがら、とても女性的な設となっている。特に2階にある群青の間が格別だ。この色使いはなかなかできないなと思いながらも、江戸時代の鮮やかな群青色に見惚れてしまった。園内を一通り見て回ってから、見ておいた方が良いであろう21世紀美術館などを見て周り、次は大樋美術館に移動した。大樋焼は茶道の世界の定番である。金沢の楽焼ということで、飴釉の独特な味わいのある不動のポジションを持つが僕はまだ所有していない。美術館には初代から当代までの作品が展示されていた。良いものを見なければ目を養うことはできない。受付では9代の茶碗で抹茶を出してくれたが、実際にこうして茶をいただくことができるのもとても良いサービスである。夜は、季節ものの加能蟹をいただいた。これまた美味であった。


