今日は、川口市の依頼で、オートレース場で開催される成人式で成人諸君に対しての呈茶を行なった。会場はオートレース場の小さな建物で、その中での立礼席でのおもてなし、多流派が揃う川口茶道会の運営ということで、それぞれの所属する流派に基づく思い思いの点前作法での進行であった。僕は一人目のお手前ということで、裏千家御園棚の点前にならって茶を点てた。棚の形状が少々異なることから、少しばかり道具を置く位置を調整したりの工夫が必要だったけれど、まあまあ、お若い皆様に茶道とはの入り口くらいは見ていただけたと思う。
それにしても世代の違いというのは、同じ人間とは思えないほどに、まるで宇宙人のように感じさせる力を持っている。着物の帯を結ぶ位置も千差万別、まるでアニメの中から出てきたようなお嬢様たちがいると思えば、そのまま茶会に来てもおかしくなさそうなお嬢様もいる。背の高い筋骨隆々とした青年に、「お若いの、柔道か何かやっているの」と尋ねてみるとなんと答えばボクシング、それもライトヘビー級でやっていたという。ちょっと怖いなあなどと思いながら「ではお茶の飲み方をお教えしよう。まず感謝、左手のひらに乗せて、2回回して正面を避け、・・・」と説明すると、なんとも素直に聞いてくれた。ある場面では、僕の先生が、お饅頭をパクッと食べるまるで異星人かと思われるような3人組のお嬢様達に「せっかく綺麗なお着物着てるんだから、綺麗な食べ方をしましょうね。」とお饅頭を二つに割って食べる方法を教えてあげていた。一見異星人の若者達は、意外にも楽しそうに先生に指導された食べ方を実践している。なんとなんと、まるで異星人は、実は僕たちと何も変わらない地球人だった。成人式のように沢山の若者が集まると、それをみるおじさんは圧倒されて一人一人の顔が見えなくなってしまう。5人くらいの集団には、なんとなく話しかけるのも難しい印象になる。でも、茶道という土俵の中で、相手の目を見て落ち着いて会話してみればやっぱりみんな同じであった。もしも茶道がなくって、いきなり話しかけたらああは行かなかったと思う。茶道にはそんな風に、改めて話を聞こうかなの気持ちにさせる力があるのかなと思った。
ロシア、アメリカ、中国、・・・それぞれの国が覇権争いをし始める様相の2026年、ともすると集団の利益のみに目が行きがちな世の中であるが、そこに暮らす一人一人の人間に目を向けてみれば争いは少しは無くなるかもしれない。一腕からピースフルネスを、そんなことを感じた1日であった。