今日は東京大学の権藤研究室にて左官研究に関するご指導をいただいた。左官技能者に限らず、建設業会は全体的な人手不足に陥っている。なんで職人になりたい人がいないのか、それはきつい、汚い、危険、さらに給料が安くて、世間からも尊敬されない・・・とにかくなりたい理由がないからであろうというのが一般的な理由である。でも本当に全ての職人がそんなふうに苦労して、やりがいもないのに働いているのだろうかと考えてみれば、まあそんなはずはないと思う。しっかりと誇りを持って仕事をしていて、ますいいリビングカンパニーと同じように年間100日ほどの休日をとって、きちんと整理整頓された現場で、安全管理も行なって、給料だって満足できるレベルでもらっている職人さんだっている。それは少ないけれど、確実に存在する。
どんな職業だって同じような優劣はある。職人になる動機を考えると、昔は貧しくて学校に行けなくて、職人としてお金を稼ぐことを強いられて働き出したという人が多かっただろう。でも今はそういう人が少なくなって、自分の意思で職についている人が大半である。だからかもしれないけれど、その業界で一流と言われる存在を目指して腕を磨き、とても高い評価を得て仕事をしている職人さんもいるのだ。特にさいきん職人とデザインの領域を行ったり来たりのマルチな才能の持ち主も出てきているようで、左官職人さんで建築家とか、大学教授で石積み職人集団の長とか、面白い人が出始めているように思う。こういう人たちは、職人になりたくてなったというより、今の時代に失われてしまいそうなものを無くさないように二つの職能を両方やっているように思う。いつの頃からかそういう働き方やあり方が普通でないことのようになってしまったけれど、でも実はこれが、つまりは理想的な世界を作るためにできることをやるスタイルこそが職業というもののあり方の始まりのようにも思えるのである。