埼玉県さいたま市別所にて、庭の中の小屋を作っている。とても小さな車庫のような大きさの小屋だ。そんなものを作る仕事があるのかと思うだろうが、僕はこれまでも結構小さな小屋を作ってきた。今回の小屋はアーティストである施主さんが庭の自然と一体になるための居場所として作っている。外壁には大きなガラス面を作り、中から庭が見渡せるようになっている。しっかりと作りすぎないことを大切に、あくまで手作りの粗野な小屋の風情を失わない程度に仕上げている。外壁には焼杉の板を採用した。焼杉はいずれ真っ黒からシルバーに変わり、周囲の緑に溶け込むようになるだろう。屋根は半透明の波板である。空から降り注ぐ光はそれを透過して内部を柔らかく照らしてくれる。屋根の上に落ちた落ち葉はその姿をぼんやりと見せてくれる。こういう魅力を大切にしたいから天井は張っていない。年明けには、塗装、薪置き場、庭の飛び石の工事を行って完了する予定だ。完成を楽しみにして欲しい。
この設計には以前訪問した石見銀山にある群言堂さんのカフェをイメージしていた。(下の写真)古民家の縁側を利用して作られたカフェのガラス面はとても粗野な作りだけれど庭の緑を取り込み、とても居心地の良い場を作り出している。屋根の透明のポリかも光と緑を柔らかく取り込むとても効果的な装置だ。こういう仕事では、現場での即興的デザインとあり合わせ感のある素材選び、職人の手作業の跡がとても大切である。つまりはプリコラージュ(あり合わせの器用仕事)の手法が重宝される場面なのだ。
