土佐漆喰という不思議な漆喰がある。どんなふうにできたかよくわからないばかりか、土佐地方に限っている点も不思議である。土佐では江戸享保年間から石灰が焼かれている。その石灰に発酵させた藁を混ぜ、3ヶ月から半年寝かせて作るのが土佐漆喰である。ちなみに普通の漆喰というのは、消石灰に角またを煮て作った糊を混ぜ、そこに麻のスサを入れて作る。麻のスサは大抵漂白されているから、色は純白である。麻を漂白しないでスサとして使用することもできるがそれには麻農家との交渉が必要だ。麻農家は600キロくらいはいるプールの中でまとめて漂白をするから、それをしない麻を購入するなら600キロ単位で買わなければならない。
袋に入った土佐漆喰はほのかに藁色に染まっているがこれは藁のアクの色だ。藁色とは薄い黄色である。とても優しい色合いで、水回りの壁などにとてもよくあう。壁に塗ると紫外線を浴びてその藁色が薄れていくのも特徴である。しかし、藁を発酵させて混ぜ込むという技術はどこから来たのだろうか。泥壁の綿と土を混ぜたものを発酵させる技術や、酒造りや、麹の仕込みの際の技術などを転用したのかもしれない。酒のことを古語でササという。ササとか、サカと言ったそうだ。朝鮮語では酒をトソと呼ぶ。ササ、サカ、トソ、トサ、そしてサカン、これらの言葉には何か繋がりがあるのかもしれない。
