現代建築では省力化や均質化のために、古くから伝わるさまざまな技術がなくなっているが、左官もその一つである。ビニルクロスや塗装にその座を奪われることは避けられたとしても、石膏ボードに薄塗り仕上げのような漆喰が当たり前になってしまい、昔ながらの手法で施工できる職人はどんどん減少してしまっている。
私は住宅、茶室建築や古民家の再生、公共建築の新築やリノベーション等に設計者、そして住宅規模の木造建築においては現場施工管理者として携わっており、それらの現場では木ずり下地などの本格的な漆喰や土壁、そうでなくとも薄塗りの漆喰仕上げを取り入れるように心がけている。しかしそれらの設計施工を行うにあたり、建築が建つ場所性に基づき適正な色土、砂、色砂、石灰、荒壁土、中塗り土、スサ、糊、顔料を選定し、職人に対して適正な指示を出すことはとても難しい。昔は至る所で土が取れ、その土が持つ色がその場所の左官の色を決めていた。だから良い土が取れる場所の近くには左官屋さんが多くいたそうだ。今ではその土が取れる場所は一部の山を残すのみとなってしまったのである。
様々な地域に残る伝統的左官の技法を調査し、その特徴を比較調査してみたいと思う。そうすることで、その壁がこうであって欲しいと定義づける言語が手に入るような気がする。そしてその言葉はきっととても優しい言葉であるような予感がある。
下の写真はますいいリビングカンパニーモデルハウスの茶室の壁に用いた木ずり下地土壁仕上げの断面模型である。木ずり下地は檜厚み15mmを使用した。
