今日は埼玉県川口市にて進行中の古民家再生現場にてチルチンびとの撮影を行った。この現場では現在構造補強を行っている。この建物は100年前に作られ、50年前に曳家されている。その後も小さな増改築を繰り返し今に至る。築100年の古い構造体には傷んでいるところもあれば、度重なる改修工事などの結果ちょっとまずい状態になってしまっているところもある。特に接合部の金物が無かったり、そもそも筋交と呼ばれるものがなかったりの状態では来るべき大地震に耐えられるはずもないわけで、計算に基づいた補強をしなければ安心して暮らすことができないわけだ。
今回の古民家再生では「ヤマべの構造」という木造の構造書の中ではバイブルとなっている書を執筆した構造家の山辺先生の指導を受けながら、耐力壁を作ったり、梁や柱の接合を強化したりの補強を行った。使用している材木は全て岐阜県の木曽と奈良県の吉野から取り寄せたヒノキである。古民家は欅などの硬い木が使用されているので、杉ではそういう固い木に負けてしまって耐えることができないのである。今日はちょうどその工事がそろそろ終わりそうだということで、古民家再生における構造補強というテーマで取材をしていただいた。
古民家再生という仕事は、やっていてとても気持ちが良い。民家再生を手掛けてみると日本のような高温多湿の環境下でいかにして長寿命の家をつくろうと努力を重ねてきたかがわかるだろう。木材は地面に近いところから腐り始める。民家の外周部にある柱の根本にはそういう部分を直した根継ぎの跡がある。先に述べたように、家族構成の変化に応じリフォームもされているだろう。つまりはすでに何度も再生されてきて今に至るのである。写真に写っているような今では手に入らない太い良材が魅力である古民家再生だが、昨今の急激な気候変動を引き起こした大量生産大量消費社会に対するアンチテーゼであるという点こそがその本質的な意味であると思う。
取材には編集長の山下さんとカメラマンさん、そしてライターの鈴木さんがいらしていただいた。構造補強や力の流れ、工事をする上で大変だった点などなど説明させていただいて12時ごろ終了した。
