一生に一度の家族のための一大事である住宅。
しっかりとした構造のもと、安心して風雪、地震から守られて暮らしたいと誰もが思うはずである。
時とともに味わいが生まれ、柱に付いた古い傷を見るたびに家族の成長を思い出せる、そんな質感は大変魅力的だ。光や風の流れを感じて、ゆったりと暮らすことが出来るおおらかさは誰でも求めるものだろう。ささやかな自然を取り込み、家での暮らしにひろがりを与えてくれる庭との関係があればなお良い。暮らしの中の豊かな出来事を、しっかりとした構造の建築のなかで安心して体感できる、そんな住宅に住みたいと思う。
材料はローコストの要素に当てはまるものの中から、先のテーマに会うものを選び出して使用しよう。セルフビルドを取り入れ、コストのコントロールを行いながら、自然素材をふんだんに取り入れ、心地よい空間としよう。
これは、ある家作りを行うときにクライアントと一緒に作り上げたテーマである。
家作りのはじめには、まず「どのような家に住みたいかを自分の頭でイメージする」ことが大切だ。
世の中には様々な商品化されたパーケージ住宅が散在している。ヒノキ、防犯、収納量、構造、わかりやすいキーワードで飾られたそれらの住宅は一見住み心地の良い優れた商品に思えるが、敷地形状、法律、家族構成、予算、道路の状態など様々な条件に左右される建築というものは、展示場で見たものと同じ魅力を持つものがそう簡単に出来るわけがないのは明白だ。
大切なことは、そこで暮らすことになる自分自身がどのような環境の中で暮らしたいか、どのような風合いの中で暮らしたいか、そういうイメージを持つことだと思う。そして、そのイメージを建築として構成していくこと、これが建築家の役割である。建築家に提示するイメージは断片的なものでよい。暮らしの中の理想的なシーンを写真などで伝えることも有効だろう。それらの断片を、ひとつの立体に組み上げる作業こそ私たちのもっとも得意とするところであるからだ。

