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ますいいリビングカンパニーは埼玉県川口市にある注文住宅を作るデザイン設計事務所です。
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田村和也雑想

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2018/12/10

横浜市東戸塚で進めていたリフォーム工事の引き渡しを行いました。

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先日、外壁を大工さんと一緒に貼った旦那さんのセルフビルドを紹介しましたが、この家のセルフビルド工事は
奥さんの話抜きでは語れません。

というのも、こちらの奥さん、40坪近くあるこの家の壁の漆喰塗りを、ほぼ一人で行いました。
リフォーム工事ということもあり、工事の前半から毎日のように現場に入り、大工さんの作り上げていったところから
パテをして、ペーパーをかけ、養生をしてシーラーを塗り、仕上の漆喰を塗っていきます。
初めのころは、やり方の説明を兼ねて私たちも手伝っていたのですが、いつの間にか、その仕上がりは私が仕上げるよりもきれいにになっており
手を出すもためらう状態に。

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また、工事の状況に合わせ、建具や枠、家具の塗装までこなします。

工事終盤、現場に行くと、建具屋さんが
「あの奥さんは何者ですか?
 あれはただのDIYではないですよね??」
と。

話を聞くと、建具屋さんが取り付けていった扉を傍から水拭きし、ささっと金物を養生し、ぱっぱ、ぱっぱと塗装していったと。
その手際の良さと仕上がりのきれいさにびっくりし
「その辺の塗装屋にこの仕事をみせてやりたい」
と一言。

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おそらく、通常の現場では、職人さんとお施主さんが一緒に作業をすることはあり得ないと思います。
職人さんには職人さんのペースがあるし、近くにお施主さんがいると気を使ってしまいます。
ところが、この奥さん、
それぞれの職人さんの名前をいつの間にか覚え、休憩になると世間話をし、現場を盛り上げています。

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ますいいの現場では、日ごろからセルフビルドで、職人さんとお施主さんが一緒になることはしばしばです。
他のお施主さんも皆さん仲良くやっていただいていますが、こんなにお施主さんが一人の職人のように、そして現場の雰囲気を良くしている光景は初めてです。

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「室内と木製ガラス戸でつながるガレージの天井はイメージを変えて、色を付けてもいいかもしれませんね。」
僕が放った無責任な一言から、調色をして作った色で素敵に天井を仕上げ、
担当したスタッフの水原さんと一緒に、キッチンのバックカウンターの扉を古材や鏡、フローリングの余りを使いパッチワーク状のデザインにしたり、

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半端ない施主力の高さです。
そしてこの家のおしゃれでありながら、落ち着く感じや、楽し気な様子は、きっとこうしたご家族から生まれてきているだと、考えずにはいられません。

2018/11/29

世田谷区喜多見の家に続き、三間茶屋の家も上棟しました。

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週末、お施主さんも現場に来られ、簡単な上棟式を行いました。
上棟は、これから始まる長い大工工事のはじまりでもあります。
今回は木造3階建ての住宅ですが、大工さんはこれから3か月かけ、ほぼ一人で躯体の骨組みを作っていくことから、テーブルやキッチンをつくる家具工事まで行います。
上棟式は、上棟をお祝いすること、工事の安全、皆のご健勝などをお祈りします。

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しかし、私が一番大切に思うことは、お施主さんと大工さんが顔合わせをして、お話をする機会ができることです。
お施主さんにとって自分たちの大切な家を、どんな大工さんが作ってくれるかは重要なことですし、
大工さんにとっても、これから3か月腕を振るう家のお施主さんがどんな方かわかることは励みになります。
もちろん、職人さんはプロです。
ほっておいても、クオリティーの高い仕事はします。
しかし、やはり人だと思うのです。
仲の良い家族の様子や、かわいい子供たちの笑顔を見れば
「この家族のために、仕事をするんだな。イッチョ、やってやるか!」
と気持ちも上がると思います。

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お施主さんが帰った後、やんちゃ盛りで現場のはしごに登り、土台の上を楽しそうに歩いている子供たちを見ていた
大工さんが
「ああいった、些細なことが家族の思い出になるんだ。
 自分が家を建てたときも、上棟後子供がちょろちょろ後をついてきて、ちょっとした穴から落ちそうになったと。
 今でも家族で話す、笑い話だよ。」
と。

現場のお近くに住まわれており、今回もお施主さんが工事に参加する、多くのセルフビルド工事もあります。
現場に顔を出してもらう機会が多いのもますいいの家づくりの特徴です。
そんな思い出作りも含めて、楽しい家づくりになればいいなと思います。


2018/11/13

東京都世田谷区喜多見の家の上棟を行いました。

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天気も良く、作業もはかどり、15時前にはほぼ終了しました。
昔は刻みと言って、すべて大工さんが手作業で柱や梁の加工をしていたのですが、今ではほぼすべてプレカットと言って、工場で機械が加工します。
大工さん曰く
「昔は2週間くらいかけて、下小屋で加工し、上棟の前日は間違ったところがないか心配で、なかなか寝付けなかったもんだよ。」
と。
今では、プレカットの精度も上がり、ほぼ組み立てる際の間違いはありません。

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さて、そのプレカット、お施主さんがぜひ見てみたいと、一週間前、いつもお願いしている材木屋さんの本社およびプレカット工場のある長野県に行ってきました。
実は、私もその工場を訪れるのは初めてで、せっかくの機会なので町田分室のみんなで出かけてきました。
朝早く町田を出発して、お昼前につき、まずはおいしいお蕎麦のコースをごちそうに。

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工場につくと、先についていたお施主さんと一緒に工場見学です。
材木屋さんの計らいで、見学時に喜多見の家の加工を合わせてもらい、自分たちの家の構造材料が加工されている様子を見させていただきました。

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工場は私が想像していた以上に大きく、とてもきれいに管理されていています。
図面を書くCADソフトから加工機械に、直接伝達して、オートで加工できるシステムでは、30坪くらいの住宅だと4時間くらいで一棟の加工は終わるそうです。
しかし最後は、加工が間違ってないか、本数がきちんとそろっているかなど人の目できちんとチェックをしているということです。

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工場を管理することも、最終チェックをすることも、きちんとした製品を作るうえで、結局最後は人なんだと改めて感じさせられます。


夕方、せっかく長野まで来たので、少し足を延ばし、江戸時代の宿場町である奈良井宿へ。

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時代が変わっても、誰が見ても心の落ち着ける、良いものだなと感じることのできる、そんな建物や街並みを僕たちも作っていけたらなと。
そんなことを考えさせられる良い機会になりました。

2018/11/06

横浜市東戸塚のリフォーム工事では、玄関横外壁を板張りにしました。

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残念ながら決定的瞬間の写真を撮り損ねたのですが、実はこの壁、大工さんとお施主さんの旦那さんの共同作業で貼られました。
大工さんが寸法を取り、カットして、旦那さんが貼っていく。
約二日間の共同作業です。
しかし、ますいいの歴史の中でも、大工さんとお施主さんがこのような共同作業をするようなことがあっただろうか。

それはさかのぼること、三か月前。
外壁に古材が貼りたいと希望していたお施主さんと一緒に新木場にある古材屋さんに行った時のこと。

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数多く並ぶ古材のサンプルの中でも目を引いたのは、ヘリンボーンと呼ばれる、魚(ニシン)の骨のような複雑な貼り方をする素材。
7センチ×40センチくらいの小さな材料を斜めに貼り合わせていく、とても手間のかかる素材です。
新しいものでは以前にも床材として貼ったことのある素材ですが、古材というのは珍しく、しかも今回は玄関横の壁です。

「これ、面白いんじゃない。」
「良い雰囲気になりそうですねー。」

と盛り上がっている傍らで、これ貼るの大変だろうな...
いきなりこんなの選んできましたって大工さんに言ったら、びっくりする(当然、困惑した顔をされる)だろうなーとぼそぼそとつぶやく私。

そこで立ち上がってくれたのは旦那さん。
遅めの夏休みを取り、大工さんの手元となって一緒に作業を完成させてくれました。

とは言っても、いきなりお施主さんが工事を手伝うと言い出しても通常は、大工さんも困ってしまいます。
しかしそれまでも、休みの度に外壁や外構の柵の塗装など、セルフビルド作業を行う中ですっかり大工さんと意気投合していた旦那さん。
そして、僕たちの知らない間に作業は始まり、たまたま現場に顔を出した時には作業終了間際という、コンビネーションの良さ。
お見事としか言いようがありません。

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日の落ちた帰り際、照明に照らされ、とても美しく独特の雰囲気をまとった外壁。
これだから、セルフビルドはやめられないなーと、何をしたわけでもないのに、こちらまで良い気分になって帰路につきました。


2018/10/15

4月に完成した、東京都町田市三輪町の家の写真撮影とメンテナンスに伺いました。
お住まいになられて半年が過ぎ、生活も落ち着き、家具や家電、照明器具などもだんだんお気に入りものが揃ってきた様子です。

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本当は、もう半年後くらいがちょうどいいんですけどね。
ソファーなどもこれから揃える予定ですし。
と、お施主さん。

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それなら、また半年後、撮影にきますよー。
なんて言いながら、ありがたいことにすべての部屋をオープンに撮影させていただきました。

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撮影が終わったころ、
「田村さんお昼どうしますか?」
とお施主さん。
「・・・」
「何か取りますか?それとも作りますか?」

そんなお話になり、お昼からたこ焼きパーティーが始まりました。

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「もう今日は休日だね」
と担当した上原君と話ながら、お酒もいただき、大変楽しい時間を過ごさせていただきました。

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当たり前ですが、設計をしているとき、私たちは想像することしかできません。
お施主さんの希望や、生活スタイル、趣味などなど、様々な情報と打ち合わせ時のコミュニケーションをもとに、
新しい家での生活を、使いやすさを、快適性を想像し、設計を進めていきます。

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ご主人も良く料理をされるという三輪町のお施主さんにとって、キッチンとダイニングテーブルがI型に並んだダイニングキッチンは使いやすそうです。
「キッチンとダイニングテーブル・カウンターの間に立ち上がり壁をなくしましたが、水はねなどはどうですか?」
このようなオープンキッチンの場合、キッチンの手元を隠すためや水はね防止のために、キッチンとテーブル間に若干壁を立ち上げることも多いです。

「水はねはしますけどねー。でも開放感があって、LDとよりつながっている感じは良いですよ。
 他のお客さんで提案する場合も、水はねはしますって初めからわかっていれば、おすすめですよ。」

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一方、全く想像しなかった使い方も。
子供たちは、オープンな鉄骨階段の手すりをまるで登り棒?滑り台?のように二階からすーーと滑って降りてくるのです。
意匠上、極限まですっきりと見えるように作った鉄骨階段です。
おい、おい、壊れるからやめてくれよーと内心ハラハラしながらも、その楽しそうな様子を眺めていると、使い方は人それぞれ、
むしろ、様々な使い方を許容できるような、誘発できるようなデザインが本当にいいものかもしれないと教えられた気がします。

こうして、一緒に作り上げた家での実際の生活の様子が、垣間見える、一緒に時間を過ごせることは、
私たちにとって、とても幸せな時間であり、これからの家づくりにも大きな励みになります。
結局宴は、夜まで続き、お昼をごちそうになるつもりが、晩ご飯まで一緒にいただいてしまいました。

2018/10/12

事務所の庭に冬野菜の苗を植えました。
キャベツにレタス、ネギ、ブロッコリーに水菜などなど。
ほっとくと雑草だらけになってしまう庭も、これで丁寧に草抜きを行うようになるはず。

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以前も夏野菜を植えたことがあったですが、野菜の成長に、僕たちの消費がついていけず、どんどんだめにしてしまい、悲しい思い出に。
それもそのはず、当時は誰も自炊などしていません。

しかし、今回は堤君の退社間際に始まった、お昼ご飯をみんなで作ることが習慣化してきました。
最近では、11時くらいになると今日は何を作ろっかなーとそわそわ、わくわくしてきます。
せっかくなら、健康的でおいしいものを食べたいなーと。

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サンマごはんにサバの味噌煮、鮭のムニエル、栗ご飯にマイタケ、秋の味覚を満喫しています。
そして折角なら、野菜も自分たちでつくちゃおうかなーと。

以前は、スーパーで買った弁当をそれぞれが食べ、昼休みの残りを惜しむかのように机の上で昼寝をしていたことを考えると
みんなで料理を作り、くだらない話をしながらおいしくいただき、後片付けをする。
料理や食事も家づくりと一緒、コミュニケーションをうむ大切な場であり、時間なんだと改めて感じる今日この頃です。


2018/10/03

東京都世田谷区三間茶屋の家と喜多見の家の地鎮祭を行いました。
三間茶屋の家は、また夏が戻ってきたかのような暑いくらいの天気の良い日に、
喜多見の家は、先日の台風の前日、生憎の雨模様でした。

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前にもどこかで書いた気がしますが、地鎮祭は、天気が良いと今日は晴れて地鎮祭日和で良かったですねー
と言い、
雨が降ったら降ったで、雨降って地固まる、地鎮祭は雨がいいんですよー
なんていいます。

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要はどちらでもいいということなんです。
皆で集まって、これからの工事の安全と、今後の家族の幸せをお祈りすることができれば。
どちらの家も、半年以上かけてお施主さんと一緒に設計してきました。
現場が始まる、設計図が実際に形になることはご家族にとっても、私たちにとってもとても楽しみです。


2018/09/26

最近スタッフのみんなと話す言葉の中に、いつも心にとめておかなければいけないと思えるものがあります。
それは
「僕たちの仕事が評価されるのはずっと先かもしれない」
ということ。
もちろん、評価とは褒めたたえられることだけではなく、その逆だって十分にあり得るということ。

横浜市戸塚区でリフォーム工事が進行中です。
一階はほぼ柱と梁のスケルトンに解体し、キッチンの位置を変更したり、個室とリビングダイニングの間取りを大きく変更する工事をしています。

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解体工時が始まって間もなく、現場に顔を出すと、職人さんが
「不法侵入者が入っているよ」
と一言。
何のことだろうと、指さす先を覗いてみると
土台と柱にシロアリに侵食された跡が...

築30年を超える今回の建物。
今までもその年代の建物のリフォームでは、ことあるごとに、解体後にシロアリ被害や雨漏りの発見がありました。
今回も解体を進めていくとその状況がはっきりしてきます。
被害は土台から柱にわたり、その上部の梁にまで達しています。

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しかし、不幸中の幸い、建物全体を見ま
わしてみても、被害にあっているのはその場所だけです。
どうしてここだけ?と大工さんと一緒に原因を突き止めていると、シロアリ被害にあっている梁の上部から雨漏りを発見しました。
シロアリは湿気の多いところ、水分と木の養分を好みます。
ちょうどその場所は、増築工事が行われていた場所で、二階の壁と増築した下屋の部分が取り合っています。

要はそこの作り方が悪かったのです。
まず、新築ではありえない工事方法、増築だから難しいかもしれないけれど、もうちょっと工夫があっても良かったんじゃないかと思えます。
基本的にこういった雨漏りに遭遇する場合は、経年変化というよりは、ほとんど作り方の問題が多いです。
しかも、水は壁の内側でとどまり、室内には表れてこないようなじわじわとした雨漏りが誰も知らいないところで躯体を侵食させていると考えると怖くなります。
今回は被害にあった柱、梁を取り換え、屋根を葺き替え、取り合いの悪かった収まりも変更しました。

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こういった事例を目撃する度に、とても他人ごととは思えません。
自分たちの作った建物でも、30年、40年と経ち、リフォームされた時などに、雨漏りひとつない良い建物だったと思ってもらえるか、そうでないかは、日ごろの収まりの検討と、丁寧な現場管理にかかってきます。

もしかしたら、雨漏りだけではない、何十年かに一度の地震が起きたとき、万が一火災が起こった時、そいった非常時の時にはじめて、僕たちの仕事は評価されるのかもしれない。
もちろんそうした、性能や耐力だででなく、日々の使いやすさ、意匠も含め、長く愛される建物をつくることも大切です。
いくら頑丈でも、愛されず、解体される建物もいっぱい見てきました。

竣工の時に喜ばれるのは当たり前(それも十分大変で、難しいことですが)、そんな気持ちで
もっと長いスパンで設計を、施工を考えられる集団にならなければならいない。
そんなことを改めて考えさせられる経験です。

2018/09/22

先日、東京都三鷹市中原でリフォーム工事を行ったお宅にお伺いしました。
既存の扉の足元が床にすってしまうということで、大工さんと一緒にメンテナンスに。
お引越し後は初めての訪問です。

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大工さんは一足先に到着し、僕たちがついたころには既に扉調整が終了し、リフォームの仕上がり感をまじまじと見ていました。
実は大工さん、大抵の現場がそうですが、完成を待たずして自分たちの仕事は終了します。
基本的な工事の順番としては、大工さんが作った下地の上に、漆喰を塗ったり、建具を取り付けたり、設備器具を設置したりします。

そうした諸々の仕上げ工事が終了し、お引き渡しをする頃には大体、次の現場の正念場を迎えており、結局完成を見れないことが大半です。
何か月も工事に携わっていたにも関わらず。

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そしてこういう機会に、成長した自分の息子を見るかのように、扉を空けては閉め、家具に触り、まじまじと仕上がり感をチェックしています。

「リビングに面する建具を交換し、天井までの高さの高いものに統一したので、なんだか天井の高さが以前より高くなった気がして開放感があるんです。」
と奥さんの一言。

今回の工事は、主に新規フローリングを増し貼り、一部の家具工事、キッチン、洗面の交換、クロス張替えです。
それに付け加えて、リビングの建具2枚を製作し、天井まである大きな扉としました。
建物の骨格には手を付けない内装と設備のリフォームですが、素材の統一感と建具のちょっとした工夫で、リビングの開放感が変わったと言ってもらえることは
設計者としては、とてもうれしいことです。

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そして今度は、ダイニングテーブルの制作を依頼していただきました。
最近は、家具制作もお手の物です。
おしゃれに住まわれているこのスペースに負けない、テーブルを作らねば。

2018/09/04

東京都渋谷区で大工工事が進んでします。

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都心の狭小地、木造三階建ての住宅です。
こういう場所で、木造の三階建てを建てるとなると、防火上の規制が厳しくなります。
外壁、天井、内壁等、万が一火事がおきてしまった時に、何分間燃え広がらず持ちこたえることのできる仕様にするか、
ひとつ、ひとつ決まっています。
一般的な考え方では、柱や梁、木の構造部分には、厚い石膏ボードを貼って、防火性能を上げていきます。
いつも二階建てでやっているような、柱や梁を表し(直接見せる)ような表現は、なかなか難しいんです。

しかし
計画当初、お施主さんの持ってくる、こんな家にしたいなーというイメージ写真は梁や柱が見えていて、
天井に木が貼られているような家ばかりです。

まーー、難しいだけでできなくはないんです・・・法的には。
お金は少しかかるだろうなあ。
一番の問題は、今まで僕も会社もやったことがありません・・・

「この家では、こんな挑戦をしました。」
それぞれの家にそれぞれ、そんな特徴のある家を設計したい。
せっかく注文住宅をやっているのだし、その方が絶対に楽しい。
しかしそれは、私の想像力の中からふつふつと湧き出るようなものではありません。
残念ながら。
それはいつも、お施主さんとの話し合いやご要望から生まれてくることがほとんどです。

要は木を見せても、燃えたときに人の逃げる、もしくは消防が助けに来てくれるだけ、持ちこらえればよいのです。
つまり、木のサイズを通常建物を支えるサイズよりも、燃えても大丈夫な分だけ大きくすればよい。
こう書くと、それだけなんだーと思いますが、そんな大きな木が見えていて果たして、かっこよいのだろうか?
となります。

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今回は、二階リビングの天井の梁をいつもの半分の間隔で並べ、なるべく一本一本の梁を違和感のないサイズに抑えています。
たくさん並んだ梁は、リズミカルで小気味良いですが、天井が近いとうっとうしく見えそうなので、リビングは梁上で3M近くの
開放的な天井高さにしました。
その代わり、高さ制限もあるので、一階と三階の個室の天井高さはぐっと押さえ、メリハリのある家に。

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建物北側に設けた階段室は、三層の吹き抜けを持った開放的な空間にして、そこから光を取り入れ、風の抜け道となる計画としています。
暑い夏がようやく落ち着き、大工工事もいよいよ終盤です。


2018/07/16

最近、事務所のお昼ご飯をみんなで作っています。
はじめは、先日のBBQの食材が余ってしまい、もったいないからと言って始めたのですが。

そうこうしていると、いつも現場で余った材木をもらっているからと、
ご近所のおじいさんが畑でとれたというジャガイモを段ボールで持ってきてくれ、

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そのうち、紙の器じゃ味気ないからと言って、食器を買い、

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なんだ、かんだと続いています。

これまでは、近所のマルエツ(スーパー)でお弁当を買っていたのですが、
一旦作り出すと、毎日同じようなものが並ぶお弁当を買う気にもなれず。
決して、マルエツが悪いわけではないのですが・・・

そして、狭いところで、しかもカセットコンロで料理をしていると、
あーー、もう、でっかいキッチン作っちゃおうかなー。
となるのです。

食事は大事やもんな―。
ましてや僕らは、そうした「くらし」をつくる仕事をしているのだから。
なんて、言い訳をしながら。

2018/07/03

今から考えると、あの日に今年の梅雨が明けたんだ。
そう思える一日。
約6年間、町田分室で一緒に働いてきたスタッフの堤君の送別会を行いました。
前日から降り続いていた雨も午前中で上がり、皆が集まってくる頃には夏空が広がっていました。

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発端は一緒に現場に向かうこんな会話から。
「ますいいを辞めること、なかなかお世話になったお施主さんたちに言い出せなくて・・・」
いかにも、周りにいろいろと気を遣う堤君らしい一言。
「でも、きちんと挨拶して帰らなきゃだめだよ。みんなよくしてくれたんだから。
 何件の物件を担当したんだっけ?」
「○○邸でしょ、○○邸でしょ・・・・」
その数は10件を優に超えていました。
「じゃ、いっそのことみんなに声をかけて、町田事務所でお別れBBQでもやってみるか。」

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そんな軽い気持ちで、お客さんに集まっていただき、スタッフの送別会をやるという前代未聞の計画は始まりました。
堤君の担当したお施主さんに声をかけ、半分くらいは集まるかなー。
と思っていると、予定があるから会には参加できないけれど、顔だけ出していただいた方も含めると、ほぼすべての方、
総勢50名を超える人たちが入れ替わり立ち替わり集まっていただきました。

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ご無沙汰してしまっている懐かしいお施主さんから、つい最近完成したお家のお施主さんまで。
もちろん一緒に家づくりした職人さんも。

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懐かしい思い出話から、家づくりのこと、セルフビルドのこと、子育ての事いろいろな話で盛り上がっています。
元来、私たちと一緒に家づくりをしようと集まってくれた人たち。
初めて会うお施主さん同士でも、通じるところはいっぱいあると思います。

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そして今回何より印象に残ったことは、この会のお誘い(堤君が辞める旨)のメールを送った際の皆さんの反応です。
「ショックです。」
「堤さんは今でも私たちにとって家族のような人です」
等々。
中にはメールを見た瞬間に、私の携帯に電話してきていただいた方も。

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6年間という時間は、長い人生、またこれから建築を続けていく中では、決して長い時間ではないと思います。
しかし、こうして集まっていただいた人たちを見ていると、とても濃密で大切な時間を過ごせたんじゃないかと勝手ながら思い、
うらやましくもあります。
家づくりを通して、多くの人たちと喜びや楽しさ、おそらく大変なことやつらい思いもたくさん経験できたのだろうと思いますし、
その財産をもって、地元に帰っても頑張ってほしいなと思います。

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2018/05/25

この仕事をやっていて本当に良かったなーと思うときがいくつかあります。
そのひとつは、家を建てたお施主さんから、友人など、新しいお施主さんを紹介いただいたとき。

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昨年夏に完成した横浜市港北区綱島の家に、先日、写真撮影に伺いました。
めでたいことに、お引越し日と初めてのお子さんが生まれた日が同じ日という偶然もあり、引き渡し間際はバタバタ。
落ち着かれてから撮影させてくださいと言いつつ、こちらの事情もあり、一年近く経ってしまいました。
まあ、ゆっくりなのはいつものことですが。

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「先日友達が遊びに来て、
 素敵な家だねー。今、我が家も家づくりを計画中だから、良かったら紹介してくれない」
と言われたんですが、田村さん大丈夫ですか?
と。

「そりゃー、もちろん。」
素敵な家なのは、ご夫婦が楽しそうに、そして本当に素敵に住んでいただいている部分が大きいからなんだけどな。
と本当は思いながらも、自信ありげにひとこと。

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しばらくすると、本当にそのご友人から連絡があり、あれよあれよという間に計画がスタートしました。
住宅はおそらく多くの人にとって、人生で一番大きな買い物。
何件も設計事務所や建設会社を回り、プランや概算見積もりをもらって、しっかり比較検討し、決められるのが一般的です。

もちろん、比べられる立場の私からしても、それが一番だと思います。
良い家づくりは、良いプランだけでもないですし、もちろん価格だけの問題でもない。
お互いの相性やコミュニケーションの取りやすさなどが、もしかしたら一番重要なことかもしれません。

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それなのに、そのご友人は、会っていきなり私たちを家づくりのパートナーとして決めていただきました。
相当、綱島の家を気に入っていただけたのかな、同じようなテイストを求められるのかなと思って打ち合わせを進めていると、どうもそうではありません。

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綱島の家の壁や天井に貼っている木の板はラワン合板という材料です。
お施主さんの趣味や趣向を考慮し、一緒になって選び、仕上には柿渋をセルフ塗装しています。
塗装屋さんをやられている、奥さんのお父さんも参加し、こだわりの色合いの仕上げになっていて、
置かれている家具や飾られている絵ともとても良い感じに溶け合っています。

しかし、一般的にはべニアと呼ばれる安価な材料です。
結果的にこの雰囲気を作り上げることができたのは、それまでの長い打ち合わせによるお互いの意思疎通、それを使いこなす、お施主さんのセンスのたまものです。
そして写真に写る細かいところすべてが、そうした過程の結果だと改めて感じます。

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打ち合わせを進めていると、ご友人がこの家を見て感じていただいたことは、ただこの家の表面的な部分ではなく、そうした私たちの家づくりの総体ではないかと思え、とてもうれしく思うのです。
そして、また一つ楽しみな家づくりができることを、綱島のお施主さんに感謝してもしきれません。


2018/05/18

ゴールデンウィークに休みをくっつけて、連休をいただき、アメリカへ行ってきました。
アルバカーキというニューメキシコ州の都市に入り、そこから北へ、サンタフェ、タオスと周り、一気にメキシコとの国境付近まで南下しました。
サンタフェで、シアトルに転勤中の友人と合流し、レンタカーを借りて、アメリカの映画やドラマに出てきそうな何もない広大な大地を何時間も走ります。

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基本的に本当に見たいものはひとつか、ふたつ、わりと行き当たりばったりな旅行をするのが好きです。
見たものをすべて紹介することは、日記におさまらないので、写真のみ羅列させてもらいます。

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学生のころから、旅行に行くことが好きで、国内ももちろん、海外の一人旅にもよく出かけました。
社会人になってからは、あまり時間が取れないのですが、ここ数年は、ゴールデンウィークに重ねて休みをいただき、海外へ。
時間が限られていることもあって、何年かアジアを回っていたのですが、昨年は北欧、今年はアメリカへと足を延ばしました。

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旅行の目的と楽しさの一つは、何と言っても、日本ではなかなか味合うことのできない文化に触れられること。
そこには様々な人々、食事、建物、都市があり、そして生活があります。
もちろん、こんな短期間の旅行では、ほんの一部を垣間見る程度しかできませんが、何かを考えるきっかけにはなり、
そうした体験の積み重なりから、生まれてくるものもあるかもしれません。

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そして、もう一つの目的は、ひとりのまとまった時間を作ること。
今回も友人とはアルバカーキで別れ(最も友人は仕事で帰ったのですが)、そこから一人ロサンゼルスへ。

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私は、全く自慢にはなりませんが、ほとんど英語がわかりません。
それなりに勉強してきたはずなのに、一体、学校で何年間も何をやっていたのだろう、とあきれるほどです。
しかし逆に、土地勘もない、言葉もわからない異文化に一人で身を置くことは意外と良いものです。

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日本では、ありがたいことに、本当に多くの人たちに囲まれて生活をしています。
友人や同僚、職人さんにお客さん、家族もそうです。
これらの人に合わない日はありません。

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学生時代、恩師から、
「孤独は大切にした方がいいよ。だって、いくら祝福されても、いくら悲しんで見送られても、ひとは一人で生まれてきて、結局一人で死んでいくんだから」
こんなニュアンスのことを言われたことがあります。

もちろんそんなに高貴なものではありませんが、
一年に一回くらい、そんなリッチな時間があってもいいなじゃないか、と思うのです。


2018/04/25

年末から年度末にかけて続いた竣工ラッシュもようやく終わり、ほっと一息。
しかし、4月になると、
さあ、家づくりを真剣にスタートさせるかっ!
と考えられる方も多いのか、僕たちにとっても新しい出会いの多い季節です。
紹介したい完成物件や進行中の物件もあるのですが、たまには建築以外のお話も。

映画「港町」を見てきました。

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なんだか、新作が出るたびに映画館に足をはこんでしまう、想田和弘監督のドキュメンタリー映画です。
想田監督自ら、カメラを持って音声を拾い、基本一人で、とある人々の日常の風景を淡々と撮影した映画です。
そこにはテロップも音楽も一切流れません。
「観察映画」と監督は言い、あるがままを映像におさめることをモットーにしているといいます。
実際映画は、事前情報がなければ、ここがどこで、映っている人たちが誰かも全くわからない状態から始まりますが、終わってみるといつも消化しきれない何か重たいものが残ります。

「港町」は牛窓という岡山県の小さな漁村で撮影された映画です。
登場人物は腰が90度くらいに曲がった90歳近い現役漁師のおじいちゃんと、なんだかいつも港近くで暇をつぶしているおばあちゃんを中心に撮影されています。
漁師のおじいちゃんが置き場で網を直している日常風景から映画は始まり、漁の様子、そして市場でセリに落とされ、小さな魚屋さんで下処理をされ、ご近所の人たちが購入する。
そんな小さな小さな田舎ならではの流通形態が驚くほどゆっくりと、丁寧に撮影されています。
そこには、アマゾンでポチッと購入ボタンを押す私の日常とは違い、微笑ましいほどの人と人とのつながりや、やさしさが映し出されます。
その風景は、私にとって、まさに郷愁です。
というのも、私も牛窓のような島根県の小さな漁村で育ち、父親は魚の卸問屋をやっていました。
同じ中国地方ということもあり、そこで語られる方言もどことなく懐かしく、映画を見ながら、昔のいろいろな思い出が一緒になって思い出され、その様子は僕の子供のころの風景のよう。

話は途中からおばあちゃん中心に変わっていき、違った方向に展開してゆきます。
長くなってきたので、詳細は省きますが、そこには単なる郷愁だけではなく、田舎ならではの閉塞感や孤独感が圧倒的な他者の視点から映し出されています。

終盤
「今では、この家は空き家だよ。あれも。それも。」
とカメラに向かって語りかけるおばあちゃんの言葉に
父親が亡くなり、空き家になってしまっている私の生まれ育った家を思い出し、遠くなってしまったその場所と、いつの間にか重なり合っている、私の視点と想田監督のカメラの視点に気づかされ、今回も重たいボディーブローを受けたような映画体験となりました。

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