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田村和也雑想

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2018/07/16

最近、事務所のお昼ご飯をみんなで作っています。
はじめは、先日のBBQの食材が余ってしまい、もったいないからと言って始めたのですが。

そうこうしていると、いつも現場で余った材木をもらっているからと、
ご近所のおじいさんが畑でとれたというジャガイモを段ボールで持ってきてくれ、

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そのうち、紙の器じゃ味気ないからと言って、食器を買い、

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なんだ、かんだと続いています。

これまでは、近所のマルエツ(スーパー)でお弁当を買っていたのですが、
一旦作り出すと、毎日同じようなものが並ぶお弁当を買う気にもなれず。
決して、マルエツが悪いわけではないのですが・・・

そして、狭いところで、しかもカセットコンロで料理をしていると、
あーー、もう、でっかいキッチン作っちゃおうかなー。
となるのです。

食事は大事やもんな―。
ましてや僕らは、そうした「くらし」をつくる仕事をしているのだから。
なんて、言い訳をしながら。

2018/07/03

今から考えると、あの日に今年の梅雨が明けたんだ。
そう思える一日。
約6年間、町田分室で一緒に働いてきたスタッフの堤君の送別会を行いました。
前日から降り続いていた雨も午前中で上がり、皆が集まってくる頃には夏空が広がっていました。

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発端は一緒に現場に向かうこんな会話から。
「ますいいを辞めること、なかなかお世話になったお施主さんたちに言い出せなくて・・・」
いかにも、周りにいろいろと気を遣う堤君らしい一言。
「でも、きちんと挨拶して帰らなきゃだめだよ。みんなよくしてくれたんだから。
 何件の物件を担当したんだっけ?」
「○○邸でしょ、○○邸でしょ・・・・」
その数は10件を優に超えていました。
「じゃ、いっそのことみんなに声をかけて、町田事務所でお別れBBQでもやってみるか。」

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そんな軽い気持ちで、お客さんに集まっていただき、スタッフの送別会をやるという前代未聞の計画は始まりました。
堤君の担当したお施主さんに声をかけ、半分くらいは集まるかなー。
と思っていると、予定があるから会には参加できないけれど、顔だけ出していただいた方も含めると、ほぼすべての方、
総勢50名を超える人たちが入れ替わり立ち替わり集まっていただきました。

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ご無沙汰してしまっている懐かしいお施主さんから、つい最近完成したお家のお施主さんまで。
もちろん一緒に家づくりした職人さんも。

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懐かしい思い出話から、家づくりのこと、セルフビルドのこと、子育ての事いろいろな話で盛り上がっています。
元来、私たちと一緒に家づくりをしようと集まってくれた人たち。
初めて会うお施主さん同士でも、通じるところはいっぱいあると思います。

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そして今回何より印象に残ったことは、この会のお誘い(堤君が辞める旨)のメールを送った際の皆さんの反応です。
「ショックです。」
「堤さんは今でも私たちにとって家族のような人です」
等々。
中にはメールを見た瞬間に、私の携帯に電話してきていただいた方も。

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6年間という時間は、長い人生、またこれから建築を続けていく中では、決して長い時間ではないと思います。
しかし、こうして集まっていただいた人たちを見ていると、とても濃密で大切な時間を過ごせたんじゃないかと勝手ながら思い、
うらやましくもあります。
家づくりを通して、多くの人たちと喜びや楽しさ、おそらく大変なことやつらい思いもたくさん経験できたのだろうと思いますし、
その財産をもって、地元に帰っても頑張ってほしいなと思います。

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2018/05/25

この仕事をやっていて本当に良かったなーと思うときがいくつかあります。
そのひとつは、家を建てたお施主さんから、友人など、新しいお施主さんを紹介いただいたとき。

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昨年夏に完成した横浜市港北区綱島の家に、先日、写真撮影に伺いました。
めでたいことに、お引越し日と初めてのお子さんが生まれた日が同じ日という偶然もあり、引き渡し間際はバタバタ。
落ち着かれてから撮影させてくださいと言いつつ、こちらの事情もあり、一年近く経ってしまいました。
まあ、ゆっくりなのはいつものことですが。

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「先日友達が遊びに来て、
 素敵な家だねー。今、我が家も家づくりを計画中だから、良かったら紹介してくれない」
と言われたんですが、田村さん大丈夫ですか?
と。

「そりゃー、もちろん。」
素敵な家なのは、ご夫婦が楽しそうに、そして本当に素敵に住んでいただいている部分が大きいからなんだけどな。
と本当は思いながらも、自信ありげにひとこと。

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しばらくすると、本当にそのご友人から連絡があり、あれよあれよという間に計画がスタートしました。
住宅はおそらく多くの人にとって、人生で一番大きな買い物。
何件も設計事務所や建設会社を回り、プランや概算見積もりをもらって、しっかり比較検討し、決められるのが一般的です。

もちろん、比べられる立場の私からしても、それが一番だと思います。
良い家づくりは、良いプランだけでもないですし、もちろん価格だけの問題でもない。
お互いの相性やコミュニケーションの取りやすさなどが、もしかしたら一番重要なことかもしれません。

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それなのに、そのご友人は、会っていきなり私たちを家づくりのパートナーとして決めていただきました。
相当、綱島の家を気に入っていただけたのかな、同じようなテイストを求められるのかなと思って打ち合わせを進めていると、どうもそうではありません。

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綱島の家の壁や天井に貼っている木の板はラワン合板という材料です。
お施主さんの趣味や趣向を考慮し、一緒になって選び、仕上には柿渋をセルフ塗装しています。
塗装屋さんをやられている、奥さんのお父さんも参加し、こだわりの色合いの仕上げになっていて、
置かれている家具や飾られている絵ともとても良い感じに溶け合っています。

しかし、一般的にはべニアと呼ばれる安価な材料です。
結果的にこの雰囲気を作り上げることができたのは、それまでの長い打ち合わせによるお互いの意思疎通、それを使いこなす、お施主さんのセンスのたまものです。
そして写真に写る細かいところすべてが、そうした過程の結果だと改めて感じます。

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打ち合わせを進めていると、ご友人がこの家を見て感じていただいたことは、ただこの家の表面的な部分ではなく、そうした私たちの家づくりの総体ではないかと思え、とてもうれしく思うのです。
そして、また一つ楽しみな家づくりができることを、綱島のお施主さんに感謝してもしきれません。


2018/05/18

ゴールデンウィークに休みをくっつけて、連休をいただき、アメリカへ行ってきました。
アルバカーキというニューメキシコ州の都市に入り、そこから北へ、サンタフェ、タオスと周り、一気にメキシコとの国境付近まで南下しました。
サンタフェで、シアトルに転勤中の友人と合流し、レンタカーを借りて、アメリカの映画やドラマに出てきそうな何もない広大な大地を何時間も走ります。

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基本的に本当に見たいものはひとつか、ふたつ、わりと行き当たりばったりな旅行をするのが好きです。
見たものをすべて紹介することは、日記におさまらないので、写真のみ羅列させてもらいます。

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学生のころから、旅行に行くことが好きで、国内ももちろん、海外の一人旅にもよく出かけました。
社会人になってからは、あまり時間が取れないのですが、ここ数年は、ゴールデンウィークに重ねて休みをいただき、海外へ。
時間が限られていることもあって、何年かアジアを回っていたのですが、昨年は北欧、今年はアメリカへと足を延ばしました。

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旅行の目的と楽しさの一つは、何と言っても、日本ではなかなか味合うことのできない文化に触れられること。
そこには様々な人々、食事、建物、都市があり、そして生活があります。
もちろん、こんな短期間の旅行では、ほんの一部を垣間見る程度しかできませんが、何かを考えるきっかけにはなり、
そうした体験の積み重なりから、生まれてくるものもあるかもしれません。

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そして、もう一つの目的は、ひとりのまとまった時間を作ること。
今回も友人とはアルバカーキで別れ(最も友人は仕事で帰ったのですが)、そこから一人ロサンゼルスへ。

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私は、全く自慢にはなりませんが、ほとんど英語がわかりません。
それなりに勉強してきたはずなのに、一体、学校で何年間も何をやっていたのだろう、とあきれるほどです。
しかし逆に、土地勘もない、言葉もわからない異文化に一人で身を置くことは意外と良いものです。

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日本では、ありがたいことに、本当に多くの人たちに囲まれて生活をしています。
友人や同僚、職人さんにお客さん、家族もそうです。
これらの人に合わない日はありません。

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学生時代、恩師から、
「孤独は大切にした方がいいよ。だって、いくら祝福されても、いくら悲しんで見送られても、ひとは一人で生まれてきて、結局一人で死んでいくんだから」
こんなニュアンスのことを言われたことがあります。

もちろんそんなに高貴なものではありませんが、
一年に一回くらい、そんなリッチな時間があってもいいなじゃないか、と思うのです。


2018/04/25

年末から年度末にかけて続いた竣工ラッシュもようやく終わり、ほっと一息。
しかし、4月になると、
さあ、家づくりを真剣にスタートさせるかっ!
と考えられる方も多いのか、僕たちにとっても新しい出会いの多い季節です。
紹介したい完成物件や進行中の物件もあるのですが、たまには建築以外のお話も。

映画「港町」を見てきました。

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なんだか、新作が出るたびに映画館に足をはこんでしまう、想田和弘監督のドキュメンタリー映画です。
想田監督自ら、カメラを持って音声を拾い、基本一人で、とある人々の日常の風景を淡々と撮影した映画です。
そこにはテロップも音楽も一切流れません。
「観察映画」と監督は言い、あるがままを映像におさめることをモットーにしているといいます。
実際映画は、事前情報がなければ、ここがどこで、映っている人たちが誰かも全くわからない状態から始まりますが、終わってみるといつも消化しきれない何か重たいものが残ります。

「港町」は牛窓という岡山県の小さな漁村で撮影された映画です。
登場人物は腰が90度くらいに曲がった90歳近い現役漁師のおじいちゃんと、なんだかいつも港近くで暇をつぶしているおばあちゃんを中心に撮影されています。
漁師のおじいちゃんが置き場で網を直している日常風景から映画は始まり、漁の様子、そして市場でセリに落とされ、小さな魚屋さんで下処理をされ、ご近所の人たちが購入する。
そんな小さな小さな田舎ならではの流通形態が驚くほどゆっくりと、丁寧に撮影されています。
そこには、アマゾンでポチッと購入ボタンを押す私の日常とは違い、微笑ましいほどの人と人とのつながりや、やさしさが映し出されます。
その風景は、私にとって、まさに郷愁です。
というのも、私も牛窓のような島根県の小さな漁村で育ち、父親は魚の卸問屋をやっていました。
同じ中国地方ということもあり、そこで語られる方言もどことなく懐かしく、映画を見ながら、昔のいろいろな思い出が一緒になって思い出され、その様子は僕の子供のころの風景のよう。

話は途中からおばあちゃん中心に変わっていき、違った方向に展開してゆきます。
長くなってきたので、詳細は省きますが、そこには単なる郷愁だけではなく、田舎ならではの閉塞感や孤独感が圧倒的な他者の視点から映し出されています。

終盤
「今では、この家は空き家だよ。あれも。それも。」
とカメラに向かって語りかけるおばあちゃんの言葉に
父親が亡くなり、空き家になってしまっている私の生まれ育った家を思い出し、遠くなってしまったその場所と、いつの間にか重なり合っている、私の視点と想田監督のカメラの視点に気づかされ、今回も重たいボディーブローを受けたような映画体験となりました。

2018/04/09

昨年末にお引き渡しした、町田市大蔵町の家(リフォーム工事)の完成写真を撮影させていただきました。

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これまで竣工写真というと、完成し、お引越し前に何もない状態で、建築そのままの姿というか、大仰な言い方をすると、考えた空間そのままの写真を撮影させていただいていました。
お引越しの後に、つかつかと行って写真撮影させてくださいってのも、なんだか申し訳ない気もしたりして。

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しかし、最近なんだかそれも違うのかなーと思っています。
確かに何もない状態では、それなりにきれいなすっきりとした写真が撮れるのですが、見ていてものさみしい気がしてきます。
一体何のための家なのか。

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設計者はよく住宅を作品という言い方をします。
私たちもホームページで作品集としていますが・・・
もちろん、自分の作品を作るような気持ちで様々な条件に真剣に取り組み、誇れるものを作ろうと、職人さんやお施主さんまで含めみんなで頑張って出来上がったものです。

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作品とは一体だれのもので、何のためのものなのか。
もちろん家は、住むための人のものであり、その町、地域のもの、もっと多くの周りの人々のものであって欲しい。
僕たちがいくら愛情をこめて作っても、いずれ僕たちの手を離れ、独り立ちしていく家たち。
もちろんずっと見守っていきますが。

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何が言いたいか、よくわからなくなってきたので、この辺にして・・・
要するに、お引越し後のしばらく生活していただた後の、家具やおもちゃ、人の入った写真はいいよね、ということ。
そのための器を僕たちは、作っているのですから。

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お施主さんとこれからの生活についてずっと話し合いながら作ってきたものだから。

2018/03/30

年明けに竣工した世田谷区桜丘の家に、ダイニングテーブルとベンチを届けに伺いました。

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「このお家に合うダイニングテーブルがなかなか見つからなくて・・・
 おそろいのベンチも一緒に、ますいいさんで作ってもらえませんか?」
 と依頼を受けたのは、お引き渡しの半月前くらい。

「今から設計すると、お引越しにはおそらく間に合いませんよ。」
「大丈夫です。それまでは今持っている小さなテーブルを使って楽しみに待ってますんで。」

そんな、ありがたいお話をうけてから、3か月が経ってしまいました。
いやー、ほんと月日が過ぎるのはアッというまですね。(言い訳です。)

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デザインは、現場を担当したスタッフの水原さんが行いました。
昨年の4月に入社し、本格的に担当した初めての現場です。
現場の後半は、毎週末、休日返上でお施主さんと一緒にセルフビルドに取り組み、愛情と思い出もひとしおのお宅です。

「デザインは水原さんがやってもいいですか?」
「えーー、水原さんにやってもらえるんですか?」

その時のお施主さんの期待のこもったうれしそうな顔がとても印象的でした。
そこには、一年にわたる設計から現場での打ち合わせや、一緒に体を動かしたセルフビルド工事によって築き上げた信頼関係があるのでしょう。
たいしたものだと思います。

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テーブルとベンチの設計といっても、その流れは住宅を作ることと変わりません。
お施主さんの要望を聞き、素材や構造、使いやすさ、作りやすさ、予算、デザイン性、そのすべてがそろって、初めてみんなが納得いくものが出来上がります。

まずは模型を作って設計し、素材を選びに出かけます。
今回はいつもお付き合いのある材木屋さんと、ご近所の有名な銘木屋さんに伺いました。
材木屋さんには、店長が趣味で集めたような材料が置き場に転がっています。
銘木屋さんはさすがの品揃えです。しかし少し予算オーバー気味。

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今回は材木屋さんの店長おすすめのナラの一枚板と倉庫の隅っこに眠っていた、アフリカ産のブビンガという色の濃い木を組み合わせて作ることにしました。
制作は、現場でも腕を振るってもらった山中大工さんです。
制作初日にはお施主さんも材木屋さんに駆けつけてもらい、材料とデザインをみんなで最終チェック。
ナラの一枚板の耳の部分を切り落としてしまうのは勿体ないとの皆の意見を受け、ベンチの一部に残すという臨機応変な設計変更も。

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ナラの木とブビンガの色の違いを生かし、ベンチと互い違いにはぎ合せたデザインで、制作3日の予定が結局5日もかかってしまいましたが細工も細かく素晴らしい精度です。

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ますいいの職人さんは皆そうですが、設計者の妥協のない細かな収まりにもいつも全力で答えてくれ、本当に頭が上がりません。
僕たちが思い切って設計できるのも、それを支えてくれる職人さんのおかげだと、こんな時にもしみじみと感じます。

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仕上は設計者自ら。
永遠とサンダーがけ。

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お施主さんにも喜んでもらい、水原さんにとってもとても良い経験になったのではないかと思います。

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そして僕たちの提案を快く受け止めてくれるすべてのお施主さんにも本当に感謝です。

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2018/03/05

私はセルフビルドが好きです。
と言っても、自分の家を作っているわけではないので、正確にはセルフビルドを取り入れて
お施主さんと一緒に家づくりを進めていくことが好き、ということになるのでしょうか。

セルフビルドと一言で言ってもお施主さんによっていろいろな作業を行います。
無垢フローリングやデッキ材の塗装、漆喰の壁塗り、時にはタイルを貼ったり、フローリングや家具を作る方もいます。
やり方さえ間違わなければ、素人にもできる作業は結構あります。

そして私たちは、工程を組み、道具をお貸しし、やり方を説明し、時には一緒に作業をします。
一緒に作業をし汗を流していると、これまで机に向かい合って設計や見積もりについて話していた時には出てこなかったプライベートな
お話や、くだらない世間話など、お互いの新たな一面を垣間見れる瞬間であったりします。

設計者も現場監督も、クライアントも、そんな垣根をいつの間にか越えて、みんなで一緒になって、ひとつの目標に向かって作業したり、
一緒にお昼ご飯を食べたり、お茶を飲んだり、楽しい時間です。

セルフビルドってどんな感じで、どんなことをするんですか?
打ち合わせに初めて来られたクライアント候補の方々によく聞かれます。

昨年末に完成した、町田市大蔵町のリフォームのお宅では、キッチン壁タイルをセルフで貼った様子を撮影させていただきました。

みんなでタイル貼り

初めての試みなのでうまくいっているかはわかりませんが、セルフの楽し気な雰囲気が伝わるといいなー。

2018/02/27

町田事務所よりほど近く、町田市三輪町の家が現場進行中です。

南に大きな庭の広がる敷地に木造二階建ての住宅を計画しています。
都内の密集地に限られた敷地での設計が多いこともあり、ここまで広々とした、条件の良い敷地に設計を依頼されることは、なかなかありません。
しかし逆にこういった敷地の方が、考え方によっては、設計が難しいのです。

というのも、南側に窓を取れば光は入ってきますし、隣地とある程度距離を取れば、風も十分に抜けてくれます。
そう、誰が設計しても、それなりに良い家になりますし、オーソドックスな家で十分となるからです。

それなのに・・・
出来上がったプランは南側の一番良い場所に、ドーンと階段の居座る変わった間取りになってしまいました。

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もちろん、初めからそんな間取りを提案したわけではありません。
当初はセオリー通り、南にリビングダイニングを提案し、そこに面した掃き出し窓からウッドデッキに出られるような、
階段はひっそりと北側に設置し、二階らの個室もすべてが南面を向いた、
そんなオーソドックスな家を提案したんです。

方向性が変わったのは、奥さんの
「二階とつながるような、開放的な吹き抜けが欲しいな」
という一言から。

それならばと、吹き抜けを作った間取りを考えていくと、どんどん面積の大きな家になっていきます。
このまま進めていくと、きっと大幅な予算オーバーになるなと。
そこで思いついたのが、南側の吹き抜け部分に階段を設置することでした。
家のどこに設置しても階段の上部は必然的に吹き抜けになります。
その吹き抜けと、南側にあるリビング・ダイニングの吹き抜けを一緒にすると、面積的に効率よく吹き抜けを作れるのではないかと。

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そして階段は景色や採光の邪魔にならないようなすっきりとしたものでありながら、玄関からリビングに入った時のアクセントになるようなデザインを目指しました。
また、ダイニングスペースとリビングスペースを平面的に雁行させ、ウッドデッキを通って階段の周りを回遊できるようなのびやかな間取りになったのではないかと思います。

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ウッドデッキの塗装はご家族総出で、セルフ塗装を行いました。
敷地が広いと作業効率も上がります。

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お子さんたちの小学校入学に向け、内装の漆喰セルフビルドも急ピッチに進んでいます。
仕上がりまでもう少し、きっと楽しく素敵な家が出来上がることでしょう。

2018/01/25

受け継がれる家 -5-

その日は、朝から落ち着かない自分がいた。
男性が娘さんご夫婦と一緒に事務所を訪れる日だ。

先日、はじめてその家を見てから、私はリフォームの想像を勝手に膨らませていた。
あの縁側は良かったなー。
そこを間仕切る雪見障子など、古くて良いもの、どこか懐かしい雰囲気を生かしながら、水回りは一新し、使いやすい動線を作らないといけないなあ。
現在の北側にある暗くじめっとした部屋も何とかしないとな。

などなど。
私はその家や敷地の持っている雰囲気にすっかり魅せられていた。
しかしこちらの思いばかり先走ってしまうと、たいてい良いことない。
娘さん夫婦はどんな方達なのだろう。
そうわかりながらも、はやる気持ちを抑えられないでいた。

娘さんご夫婦は男性とその奥さんも一緒に来られた。
簡単な挨拶を早々に、どんな家を希望か、どんな生活をおくりたいか、
今、漠然と抱いている考えをざっくばらんに聞いた。
私は、初めて会うクライアント候補と話をするときは、まず相手の話を聞くようにしている。
なぜ、家を建てようと、リフォームしようと思っているのか。
趣味は?仕事は?出身は?どんな家で育ったのだろう?
なぜ、ますいいに相談に来ていただいたか。
家づくりに直接関係ありそうなことから、一見、そうでないことまで。
雑談程度にいろんなお話を聞きながら、僕たちに何を求められているか。
またクライアントの雰囲気を観察する。
そのうえで、私たちの家づくりや、これまで建ててきた住宅を紹介し、エピソードを交え、私達の人となりをわかっていただけるように努める。

娘さんご夫婦は、好きな家や家具、仕上げ等の写真をいっぱい持ってきて、どのようなテイストが好きかいろいろと話してくれた。
事前に親父さんにそういうものがあったら持ってきてもらいたいと伝えていたこともあってだろう。

「キッチンはこんな感じが好きで、玄関土間は広く自転車なんか置けるといいな」
「あらっ、そういうキッチンは見た目は素敵だけど使い勝手が悪いわよ。」
娘さんの意見に横からお母さんがコメントを加えた。
「いーの!お母さんの家じゃないんだから。」

「床は、・・・タイルは・・・」
「筋トレできるところがあるといいな」
などなど、いろいろな話が出てくるたびに、お母さんのコメントが入る。

「もー、お前は黙ってろよ。」
親父さんが口を開いた。
「そーだよ、しゃべらないって言うから連れてきてあげたんじゃん。」
娘さんからのきついツッコミに、みんながどっと笑った。

お母さんは明るく、話し出すと止まらないこの家族のムードメーカーだ。
旦那さんや子供から都度突っ込まれるその様子は、まるで友達のよう。
まだ、若いご夫婦だけれども、娘さんの旦那さんも遠慮のない様子だ。

あー、いい家庭だな。
これまでぶっきらぼうで、つかみどころがなく思えていた親父さんが急に身近な存在に思えた。
この明るく楽しい家族を見ていると、きっと親父さんは優しく、素敵なお父さんなのだろうと思えてくる。

家づくりをしていると、このクライアントの家は私たちがやるべき、私達しかできないと思える時がある。
おそらく、私の思い込みだろう。
しかし、そんな思いに至らない家は、なるべくならばやりたくない。
建築、特に住宅産業は、クレーム産業だという言葉をよく耳にする。
私たちの手掛けているような家づくりは、大体の部分が、いまだに現場で人の手によって作られている。
その点に関して大げさに言うと、法隆寺を作っていた頃からあまり変わってないのではないかと思えるほどだ。
工場でしかも機械が車を作っているのとはわけが違う。
つまり、クレームをつけようと思えば、いくらでもつけられるのだ。
しかし、それはできたものの出来栄えとは関係のないことが多いように思う。
つまりコミュニケーション不足による行き違いが大きな原因だ。
もちろんそれは家づくりに限らないが、いくら完璧なものができても、クライアントの意図しているものでなければ、それは必要のないものであるし、
多少の不便さや不都合があっても、その過程と必然性を理解いただけていれば、それはかけがえのないものにもなりうる。

クライアントと私たちはお互いを理解し、一緒な目標に向かって歩いて行く。
家ができるまでの道のりは長い。
そして、その後のお付き合いはもっともっと長くなるのだ。

つづく

2018/01/19

「この家の玄関はどこなんですか?」

先日お引き渡しをした横浜市金沢文庫の家の工事中、職人さんや運送業者さんによく質問されました。
それも、立派な玄関ドアから室内に入っているにも関わらず。
職人さんに関してはさらに図面も持っているにも関わらず。

この家の一階は、一部、畳の小上がり(4畳半)をのぞいてすべてコンクリートの土間仕上げとなっています。
玄関ドアから室内に入ると、何の間仕切りもなく大きな階段やキッチンが目に飛び込んできます。

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確かに一般的に玄関と呼ばれるような、リビングや居室に入る前の靴脱ぎスペース、いわゆる外部と室内の干渉スペースはありません。

お施主さんは、設計当初からこれから自分たちの暮らす家について、明確なイメージをもっていました。
金沢文庫駅から続く長いのぼり坂の中腹に位置するこの土地は、南東の二面が崖上となっていて、美しい景色が広がります。

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その景色を最大限に取り込み、一階のLDKは室内にいながらキャンプを楽しんでいるような、半外部のような場所にしてほしい。
出会って最初の打ち合わせで、そんなイメージを伝えられました。

そして何度も打ち合わせを重ね、ようやくお施主さんも私たちも納得のいくプランができたとき、
「ところで、一階は土間ですが、靴脱ぎスペースはマットかなにか置く形で大丈夫ですか?」
と質問したところ
「えっっ!靴は脱ぎませんよ。強いて言えば、小上がりの畳スペースの前で脱いで、さっと靴を隠すことのできる場所があるといいかな。」
と言われました。

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このようなコンクリートの土間床の広がる家を設計したことは、今までに何度もありましたが、みなさん玄関スペースで靴を脱いで生活されています。
町田分室の事務所も土間床ですが、それでさえ私たちは靴を脱いで使っています。

その時、このお施主さんは本当にキャンプを楽むような生活を望んでいるんだと身に染みて気づかされました。
玄関で靴は脱ぐもの、という既成概念を持っていいたのは私の方で、通常は当たり前に行う行為の範囲を、場所を少し変えるだけで、確かにその場所はいつもと違ったものになるかもしれない。
そんなことを考えるきっかけともなりました。

階段は、幅が広く人が座っていても通行に邪魔にならないくらいにしたいな。
近くに本棚があるといいな。
二階の一番景色の良い南東はセカンドリビングとして使えたらなー。
寝室以外はすべて間仕切りなくつながった一室空間として、小さくても良いから寝室のみ個室とし、動線の一番奥、東側に立っている桜の木が視界いっぱい楽しめる大きな窓が欲しいなー。

などなど、お施主さんのイメージはつきることがありません。

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それなら、景色をきれいにとらえられるように、アルミサッシのフレームはなるべく消すようなデザインにしましょうか。
二階は屋根の形をそのまま表現し、寝室以外は開放的な空間にしましょう。
その分、温熱環境的には不利になるので、外断熱で断熱性能はあげましょう。
大きく庇をはねだすことで室内と外部空間を柔らかくつなぎ、夏の直射日光はカットしましょう。

などなど、意匠と性能のバランスを考えながら、お互いに話し合いながら設計と現場は進んでいきました。

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ますいいさんの家は、ほんと変わった家が多いよね。
職人さんや知人などに、よく言われます。

当たり前ですが、僕は奇抜な家を設計したいわけではありません。
なんなら、僕の設計は、モジュールにあったシンプルな計画が多いように思います。
無駄なことをするのは好きではありません。

しかし、お施主さんと話し、何を求められているのか真剣に考えていくと、出来上がるものは、確かに少し変わっている。
まあ、人の顔がそれぞれ違うように、家だっていろんな形があっていいんじゃないか、
その方が、楽しいし、きっと大切にしてもらえるものになるんじゃないかと。
ただそんな風に考えているだけなんですけどねー。

2018/01/17

受け継がれる家 -4-

その家は、町田分室の事務所から徒歩で10分もかからないところにあった。
現場に出ていない時、ほぼ毎日と言ってよいほどお昼の弁当を買いに出かけるスーパーから道を挟んだ向かい側の路地を入っていったところに、どっしりとした瓦屋根をのせた民家が建っていた。
しっかりと手の入れられた建物南側の庭、東側には一体何年たっているのだろうと思わせるほどの大きな欅の木が茂っていた。

町田分室のある鶴川という土地は、白須次郎・正子夫婦が戦時中に避難し、自給自足の農民生活をしていた武相荘と呼ばれる農家があることからも察するに、ずっと里山のような場所だったのだろう。
今では、駅前の街道にはチェーン店の飲食店が並び、宅地開発が所々で行われ、建売住宅が軒を並べている。
私が町田に来てからも、事務所の前の道を挟んで向かい側にあった畑は小さく分割された宅地に造成され、まるでマッチ箱のような建売住宅が建ってしまった。
それでも、車で近所を走っていると、ふっと時間をさかのぼったような場所が現れることがある。
そして、事務所近くの路地を一歩入ったこんなところにも。

待ち合わせ時間よりも早く来ていた男性は、窓を開け家に風を通していた。
どうやら今はだれも住んでいないらしい。
「はじめまして。」
面と向かって話すのは初めてである。
「まあ、適当に見てよ。どこに入ってもかまわないから。」
「わかりました。まずはざっと建物を見させていただきます。」

今日は本格的な調査で来たわけではない。
大体、どのような建物か確認し、どんな計画なのかを伺いにきた。
しかし、本格的な調査でないといっても、確認しておかなければならないことはある。
床下をのぞき、床下は乾燥しているかどうか、周辺の木材は傷んでいないかどうか、基礎の立ち上がりに蟻道と呼ばれるシロアリが家に入った跡はないか、雨漏りはないか。
あとは、室内の床が大きく傾いていないか、内部の造作の作り具合などをチェックする。
内部の造作が丁寧に作られているかで、その家にかけた大工さんの思いが伝わってくる。
良い仕事をしている人は、見えるところだけではなく、目に見えない重要な内部も手を抜くことなく丁寧に作っているものである。

「どう?」
「良い建物ですね。経年変化以上に傷んでいる感じも受けないですし、とても丁寧に作られている雰囲気が伝わってきます。まだ一見しただけですが、十分残す価値のある建物だと思います。」
「いくらくらいでリフォーム出来そう?
ますいいさんはローコストが得意だって、先日、女性の方が言ってたよ。
前に堤さんにも話したけど、Z工務店に予算を伝えて、それでできるくらいのリフォームプランを出してって言ったのに、出てきた見積もりは1.5倍くらいの金額だったんだよ。
俺は予算をきちんと伝えたのに・・・」
とても信じられないといった男性の口調であった。

その予算は、私たちが普段建てている30坪程度の新築住宅の半分くらいの金額であった。
もちろんリフォームとしては決して安い金額ではない。
しかし、リフォームの予算組ほど難しいものはない。
耐震改修をして、断熱補強をして、水回りを新しくして、使いやすいようにプランニングを変更して、などとやっていくとあっという間に新築住宅を建てられるのではないかというような金額になってしまう。
この家に関して言えば、リフォームをしなくても住むことはできる。
要するに、手を付ける度合いによって0円~新築を建てることのできるくらいの費用まで、その予算は設定次第である。
要はどこまで手を付けるかの線引きを、明確な基準をもって決めていかなければいけない。
もちろんそれは設計者だけで決められるものではない。
住み手の予算や、今後の生活、ライフスタイルを含め、お互いに納得の上で一つ一つの仕様やリフォーム箇所を決めてゆく作業になる。
Z工務店の出した見積もりは、Z工務店なりの性能や機能を踏まえたうえで、ここまでやれば納得していただけるリフォームになりますよという一つの目安だったはずである。
それが、予算をオーバーしてしまっただけで、おそらく、提案する側からすると、そこに打算や悪気はなかったと思う。
もしかすると同じ条件でやれば、私も同じような見積もりを作った可能性だって十分にあると思う。

「ところで、リフォームしてNさんが住むんですか?」
「いや、俺は家を持っている。」
「えっ、じゃ、誰が住むんですか?」
「この家は俺の実家なの。
 今は空き家になっているから、リフォームして娘夫婦に住んでもらおうかと。」

どんな人が住むか、何を望まれているのかわからないのに建物の提案は、私にはできない。
そもそも娘さんご夫婦は、このリフォームを望んでいるのだろうか。
私たちが提案しているような家づくりに一緒に参加していただけるような人たちなのだろうか。
不安が一気に募ってきた。

「それでは、ご提案の前に娘さんご夫婦に一度合わせてください。
 お話をして、ご要望を伺ったうえで、ご予算も含めて提案させていただきます。」
しばらく間があって
「それはそうだな。今度、娘夫婦を事務所に連れて行くよ。」
Nさんは言った。
「それと、うちのローコストは理由もなく安価なわけではありませんよ。
 現場で一緒にセルフビルドで体を動かしてもらわないと。」
笑いながら、冗談交じりに牽制を入れた。

僕はまだこの男性がどんな人なのかつかめないでいた。
初めて事務所を訪れた時の印象が強く残っているのかもしれない。

「それもいいんじゃないの。コストを抑えてやりたいんだから仕方ないよね。」
男性も笑いながら答えた。

つづく。

2018/01/15

2018年、新年あけましておめでとうございます。
という間もなく、早くも一月が半分終わってしまいました。
新年早々お引き渡しの現場が2件、三月竣工にむけて昨年末から始まっている現場が2件とバタバタと年越しと新年を迎えた感じです。

いろいろと紹介したい物件があるのですが、まずは昨年末に上棟した神奈川県横浜市片倉の家をご紹介します。
計画は旦那さんのご実家の横に建っていたおばあさんの家を解体し、新築を建てます。
横浜市ではありますが、道路を挟んだ敷地の斜め向こうには、キャベツ畑の広がるどこかのんびりした雰囲気の残る場所です。

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設計当時は、まだ存在していたおばあさんの家で打ち合わせを行いました。
そしてそのお宅の配置、見える景色などを参考に、どの位置に窓を取ればキャベツ畑の景色を気持ちよく取り込めるか、隣地の隙間をぬって光や風を取り込むことができるか、隣地であるご実家との関係などの検討を行いました。
おかげで、建物の位置関係、窓の配置などは建ってみても想像通り、とてもうまくいきました。

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また外壁は、現在お住まいの都内住宅地を
「このお宅の外壁はなんという素材ですか?」
「このお宅の雰囲気好きですねー」
などとお施主さんと話しながら、ぶらぶらと何度か散歩し決めました。

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ガルバリウム鋼板の小波板です。
一見、昔の倉庫や物置に使われていたトタンのようですが、建物の角がすっきり収まるようにコーナー材を入れずに折り曲げて納めていることや、
7Mもある長い一枚ものの材料を取り、一階と二階の間に継ぎ手を作らないように工夫することで、シャープな外観を作っています。
また、バルコニーの手摺を木製とすることでアクセントとし、シャープな中にも柔らかさのある外観を計画しています。

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内装はまだまだこれからですが、すべての壁・天井が漆喰のセルフビルドです。
吹き抜けの勾配天井などもあり、本当にすべてできるのか不安もありますが、セルフの際は多くのお仲間が集まり、楽しそうな現場になりそうです。

2017/12/29

受け継がれる家 ‐3‐

「先日の男性、また来られましたよ。」
現場から帰ってくると、スタッフの堤君に声をかけられた。
先日の男性・・・
「ちょい、ちょい、手招きの男性です。」
「あー。
もしかしてまた手招き?」
冗談交じりに聞いてみた。
「そーなんです。また道路から呼ばれました。」
先日の一部始終を傍らで見ていた堤君は、苦笑いをしながら答えた。

話を聞くと男性は、町田分室事務所の近くに古家をもっているそうだ。
植木職人をしているという男性は、仕事で付き合いのあった工務店にリフォームの相談をしたが折り合いがつかず、いつも前の道を通っていて、気になっていた私たちに声をかけたという。

「ところで、折り合いのつかなかった工務店ってどこなの?」
「Z工務店らしいですよ」
Z工務店・・・
それは、近所の老舗工務店だ。
何代も続いているその工務店は、とても立派な構えの事務所、材木置場、モデルルームを持ち、茅葺屋根の古民家をリフォームしたギャラリーまで併設している。
大工などの職人も多数抱えた、見るからに伝統のある工務店にかかわらず、設計事務所でデザインの勉強した後、跡を継いだという社長は、現代的な視点も持ち合わせている。

何を隠そう私は、町田事務所を始める際、まずZ工務店にあいさつに行った。
川口本社で働いているころから、意識していたというか、あこがれていたと言った方が正しいその工務店の傍に、偶然にも事務所を構えることになったからだ。
気持ちは戦線布告、態度はお近づきになれたらという感じで、出来たばかりの町田分室事務所の写真の入ったパンフレットをもって。

「シンプルだけど、かっこいい事務所だね。」
パンフレットを見たZ工務店の社長は言った。
Z工務店の社屋に比べれば、町田分室事務所は掘立小屋のような建物だ。
町田分室を設立する際、その事務所の設計も私に任された。
何もないところから始めるので、事務所はなるべくローコストで建てよう、そうでありながら、これから一緒に家を建てようと思う人に参考になるように。
ご近所の人に、その楽し気な雰囲気が伝わり、ここに工務店ができたことに興味を持ってもらえるような、
そんな、私たちの家づくりを体現しているような事務所にしたいと思って設計した。
その意図が写真から、Z工務店の社長に伝わったかどうかはわからないが、
きっとダンディーとはこういう人のことをいうのだろうと思った。

「また何か一緒にできそうなことがあったらやろうよ」
一通り話をした最後にそんな声をかけられ、その場を後にしたことを覚えている。

その後、Z工務店の社長とは、工務店の集まる会合などで何度かお会いし、軽く話をしたが、仕事で一緒になることはなかった。
通常、注文住宅を検討しているクライアントは、興味のある設計事務所なり、工務店を探し出し、何社かの提案を受けて一緒に家づくりをする相手を決める。
ここで言う仕事で一緒になるということはそういう相手になるということである。
本来ローコストをうたう私たちと、Z工務店ではそもそも土俵が違うのだろう。

そういった意味で男性からZ工務店の名前が挙がったのは意外であった。
きっと前回訪問してから、私たちのことを少しは調べただろう。
そして、堤君が、現在責任者が留守であることを伝え、次回一緒にリフォーム物件の現場確認を行う旨を伝えると、男性は今度は連絡先を残して帰って行った。

つづく

2017/12/06

3年前に完成した、横浜市港北区にある大倉山の家のお施主さんから、
子供たちの勉強机を作ってくれないかと依頼がありました。

勉強机・・・
設計したことも、作ったこともないな・・・
しかも普通に僕が設計しても面白くないよなー。

ということで、社内でコンペ形式にすることにしました。
私、大倉山の家を担当した堤君、当時入社したばかりの水原さん、お施主さんの要望を聞きながら三者それぞれが設計し、
図面と模型を製作。

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そして、お施主さんのもとへ。
もちろん、名前は伏せて。

何も聞かされていなかったお施主さんはびっくり。
えっ・・・こんなにあるんですか?
悩むなーーと

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そして数日後一枚の写真と一緒に結果報告が。
結果は、大倉山の家を担当した堤君の設計が採用されました。
うーん、やはり長く現場でともに過ごして気持ちの通じる部分があったんだろうか。
私なんか、インチキして2案もつくったのに・・・

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これはその後、段ボールでモックアップを作り、サイズや高さなど詳細を詰めている様子です。
念入りです。

制作は、当時現場を担当してもらった小形大工さんにお願いしました。
結局完成には、お願いされてから、5か月の歳月が・・・
それでも、おとどけした際には笑顔で迎えていただき、大変喜んでもらえたとのこと。

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家が完成した後も、こうして何かを依頼されたり、一緒にご飯を食べたり、家づくりが逆に長いお付き合いのきっかけになるような
それが楽しくて僕たちはこの仕事をしているのかもしれません。

こーちゃん、ケイちゃん、しっかり勉強しろよ。

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