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ますいいリビングカンパニーは埼玉県川口市にある注文住宅を作るデザイン設計事務所です。
ローコスト・セルフビルドでよい素材を上手に使い家族が幸せになる、そんな建築を目指しています。

ますいいリビングカンパニー|埼玉県川口市

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増井真也日記

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2017/02/26

今日は朝から妻と息子が高校の部活動の関係で出かけている。上の娘は昼過ぎから友達と出かけるという。午前中は二人の娘が勉強をしていたので、僕はといえば一人手持無沙汰。というわけで今少々はまっているデッサンをすることにした。今日のモチーフはスタンドライトである。形が比較的単純なので、すらすらと描くことができる。デッサンなど大学の授業で習ったくらいで、本格的にやったことはない。でも、光と影を見つめながら、物の形を紙の上に描き出す作業は時のたつのを忘れるほどに楽しい作業である。まあ大してうまくはないのだけれどね。

昼過ぎ、一番下の娘と川口駅前の図書館に向かった。図書館は娘にとって一番の楽しみである。相対性理論の数式が列挙されている「タイムマシンの作り方」?、東大受験のために書かれた「世界の歴史」?・・・小学4年生がなぜ興味を持つのかがわからないような本を手にうれしそうにしている姿を見ていると、こういう姿が本当の学びなのかもしれないと思ったりもする。2時間ほどであろうか、図書館の中をうろうろうろうろ。少々疲れたので家路についた。

2017/02/25

今日は埼玉県富士見市にて進行中のTさんの家の引き渡し。これまでも何度も紹介してきたのだけれど、崖の上に建つ見晴らしの良い木造の2階建て住宅である。この住宅を作るにあたっては、まず古い住宅を解体し、そしてがけを支える擁壁の作り替えから始めた。日本の住宅地にはこういう古い擁壁がたくさんあって、家を作り替えるときには古くなった擁壁も作り替えなければならないことが多い。土木工事の類になるので当然コストはかかるわけだけれど、それでも土地の価値を高める、つまり安心して暮らすことができるようにするためのこの工事はとても大切なものであるのだ。

この住宅は二つのボリュームから構成されている。背の高さの違う二つのキューブが組み合わさるように存在し、それぞれのボリュームにそれぞれの機能を与えた。小さいボリュームと大きなボリュームの段差を利用して、スキップフロアにすることで、2階のプランに広がりを加え、1階部分の接合ラインにはそれを示すかのような垂れ壁があり、その垂れ壁の内側にはダイニングルームが配され、外側にリビングが設けられている。リビングからは掃き出しの窓でウッドデッキに出ることができ、そのデッキはがけに面する見晴らしの良い居場所となっている。

こうして完成してみると基本設計の時に、何度も何度もプランを作り替える中で考えていたプロポーションのことが思い出される。街を歩いているとなんとなく魅力的な建築に出会うことがあるのだけれど、この住宅にもそういう建築になってもらいたいと思い、形を探し出す作業を続けた。先日足場が取れたときに現場を訪れてみたときに、この住宅が出来上がることで、なんとなくこの街並みに一つの魅力を生み出すことができたような気がしたのだけれど、これから実際に使われていく中で街に愛される建築になってくれたらと思うのである。僕たちの仕事は小さなものばかりだけれど、こういう魅力的な小さな建築の積み重ねで魅力的と思う街ができあがるのだ。そして魅力的と思う形を生み出すのはとても難しい作業であるのだ。

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2017/02/22

朝礼終了後、各プロジェクト打ち合わせ。途中、柳澤君と千葉県流山市にて進行中のSさんの家の現場打ち合わせ。現在のところは地盤改良の工事などが始まったばかりであるが、この後は基礎工事から大工工事へと進んでいく。まずは工程表と工事の発注関係についての詳細な打ち合わせを行った。

先日、リビングデザインセンターオゾンで行われたシンポジウムについて、会員向け雑誌に掲載する感想文の寄稿を求められたので、下のような文章を書かせていただいた。
来週の月曜日には、文章の最下部にある勉強会を開催しようと思って準備を進めている。断熱性能の数値を体感するという目的を達成できれば良いなと思う次第である。

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2月6日、日本エコハウス大賞のシンポジウムに参加しました。僕は設計事務所が工務店機能を兼ね備えるという立場で設計施工の家づくりを行っています。クライアントは普通の方々で、富裕層の方々は僕の会社にはあんまり来てくれません。クライアントのこだわりを丁寧に設計し、セルフビルドをふんだんに取り入れながら、なるべくローコストで住宅を作ることを得意としています。
僕たちの活動領域はそれほど気候条件の厳しいエリアではないので、普段の家づくりでは、今回のシンポジウムのテーマである断熱性能に関して、パネラーの皆様が示しているような高い性能を採用しないことも多いのですが、それでも設計者として環境への関心や、それに対する配慮の責務はあるわけで、今回はスタッフ全員で聴講することとしました。

登壇した先生方は、堀部氏と伊礼氏を除いては、西方氏や前氏など断熱設計や分析を専門とする方々でした。その先生たちが紹介された事例は、東北地方、つまり寒さが厳しく、断熱性能を上げることが強く求められている地域の事例が中心でした。ゆえに壁の厚さが30センチ、屋根の厚さが40センチといった、とても厚い断熱層を設計している様子などを紹介されていました。
設計者として、それらの先進的な取り組みを拝見して非常に勉強になりました。しかしすべての手法を標準仕様のような形で、義務的に僕たちの家づくりに取り入れることが、適正な対応であるとは思いません。住宅を作る地域の差による費用対効果、予算と仕様のバランス、適正なコスト配分などを吟味し、クライアントとの綿密な打ち合わせの上で判断するべきだと思います。
シンポジウムの中で、堀部氏が「断熱を意識して設計していると、Q値やUA値の数値と身体の感覚が近くなる」とおっしゃっておりました。この言葉はとても心に残るものでした。  
僕たちは普段から「今日の最高気温は5度」と聞けば、寒そうだから厚着をしていこうと思うことができる感覚を自然と身に着けています。同じように、こういう設計をすればQ値がいくつだから、この程度の寒さや暑さになるんだよという感覚は、設計者としてとても大切なものです。そして僕たちの口から発せられる感覚を表現する言葉が適切であればあるほどに、クライアントとの打ち合わせの精度も向上します。
シンポジウムから1か月後、これまで作った6件の住宅のQ値を計算し、実際に訪問し体感した感覚とすり合わせるという勉強会を社内で開催することにしました。シンポジウムを機に、設計者として断熱性能に対する身体感覚を研ぎ澄ますことができるよう、研鑽を続けていきたいと考えております。

2017/02/21

朝礼終了後、各プロジェクト打ち合わせ。

13時、茶道稽古。最近は現場に行ったりで忙しい日々を送っているのだけれど、今月は2回、お稽古に来ることができた。本当は月に3回のお稽古なのだけれど、まあ2回参加できれば良いほうである。今日は四ヵ伝・唐物のお点前をさせていただいた。このお点前は唐物茶入を用いて、行の茶杓(止節)を使用し、楽茶碗、曲水指、唐銅建水、竹蓋置の道具組である。こういうお点前はめったにやらないのだけれど、でもたまに稽古をするととても気持ちが入るものである。先生もいつもと違って厳しい指導となる。柄杓を構える指先まで指導され、少々疲れつつも心地よい稽古となった。終了後、薄茶の運びのお点前をして、和やかに一服をいただく。僕にとってはこのお稽古の時間が唯一の茶人らしい時間である。月に2回のにわか茶人だけれど、43歳の今年もしっかりと継続していきたいと思う。

夜、東京都北区にて新築住宅を検討中のTさん打ち合わせ。なんでも1年以上前に建築条件付きの土地を購入し、設計等々の作業を進めてきたということなのだけれど、どうもうまくいかずに建築条件を外してますいいに相談に来られたという次第である。自分の家をこだわって作りたいという人には建築条件付きのスタイルは少々厳しい。しかしながら世の中の土地のほとんどにこの建築条件という縛りがついてしまっているのも事実である。もしもますいいで家づくりを行う場合のご説明をさせていただき、いったん持ち帰っての検討をすることに。できれば満足できる住宅を作ってあげたいと思うばかりである。
 

2017/02/18

朝礼終了後、事務所にて各プロジェクト打ち合わせ。

10時より埼玉県富士見市にて土地の購入を検討中のMさんご家族打ち合わせ。この土地は先日下見に行った土地、お巡りさんに場所を聞きながら探し出すのに1時間ほどの時間をかけた、あの土地である。土地の隣には公園がある。公園はとても広くて、その方向は見渡す限り緑が続いている。ほかの方向は住宅密集地だけれど、建築家が設計したと思われる雰囲気の良い住宅が近所にあったりの好条件である。

今回の計画では、ここにセルフビルドをふんだんに取り入れたローコスト住宅を作る予定である。クライアントは完成した住宅よりも、暮らしながら作り続けていけるような住宅を作りたいという、まさにますいい的家づくりの種族である。今日の打ち合わせでは、住宅ローン用に作成する図面や見積書についてのお話をさせていただいた。早速、役所の調査と銀行さん提出用のプランを作成することとしよう。

終了後、東京都の石神井公園駅へ移動。この駅の近くにて新築住宅の建築を検討しているSさん打ち合わせ。今日は初回の顔合わせということで、駅の近くの喫茶店にて待ち合せをして1時間ほどのお話をした。18時ごろ事務所に戻る。

2017/02/17

朝礼終了後、東京都豊島区にある本納寺さんへ。今日は屋根の調査のために、寺社仏閣の瓦屋根を専門にしている飛鳥さんと板金屋根を専門にしている小野工業さんの2社と一緒に現場確認を行った。ちなみに現状の屋根は瓦屋根である。すでに少々の傾きが起きており、一部瓦がずれてしまっているところもある。屋根の頂点部分に乗っている宝珠という丸い飾りも、板金でおおわれている中の木の部分はすでに腐ってしまっているようだ。作られたのが昭和9年、すでに長い年月が経っているということで痛みも多い。どうしたらなるべくお金をかけずに治すことができるか。国がお金を出してくれるような仕事ではないので、なるべくローコストでの補修方法を考えなければならない。

続いて、川口市の鋳物やさんにて打ち合わせ。1時間ほどの打ち合わせを経て事務所に戻る。

夜、神田、鳥好き「ぼたん」さんにて会食。

2017/02/16

今日から新宿パークタワー6階のオゾンにて、ますいい建築圏の展示が始まった。この展示は昨年5月に、川口市にある市民ギャラリーアトリアにて展示したもので、今回は2回目の巡回展となる。展示期間は2月28日まで、会場には無料のパンフレットも配布しているのでお時間のある方はぜひ足を運んでいただきたい。

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午前中は、埼玉県川越市にて設計中のSさんの家の打ち合わせ。今日はプランの打ち合わせを中心に、業者さんたちによる改修工事の下見作業を行った。

16時過ぎ、10月よりますいいにて仕事をしたいと言っていただいている早稲田大学の先輩との面談。住宅業界における長年の経験を、60歳からますいいに参加して生かしたいというアグレッシブな思いに感謝である。

18時、住宅構造研究所、遠藤氏打ち合わせ。免振ダンパーの性能についてのレクチャー。免振の考え方はまだまだ確立したものはなく、特に最近の大きな地震があるたびに評価が変わる面もあるので、何が良いのかという単純な判断ができないところがとても難しい。建築ごとに何が適しているかの判断を行い、適材適所の設置をすることが今の時点でできる最善策。ゆえに慎重なヒアリングを重ねていきたいと思う。

2017/02/12

今日は僕が部長をさせていただいている、茶道 裏千家淡交会 埼玉県青年部の総会に参加した。場所は埼玉県さいたま市の大宮駅近くにあるジャック大宮なるビルの14階、東天紅という中華料理屋さんである。とても良い天気だったので、群馬県の浅間山まで目視できるくらいのとても良い長めの中、盛大な会を開催することができた。

こうした会合が茶道の神髄であるとは思わないのだけれど、でもこうした会合で得ることができる人との大切な出会いの中からしか、その神髄に触れさせてくれる機会を得ることができないことも事実である。先日は狩野探幽の絵画をまじかで見る機会を得たけれど、これだってこうした会合での出会いがきっかけなのだ。一度しかない人生、大切なのはやはり一期一会の出会いを大切にすることなのであろう。

2017/02/11

今日は先日参加した川口まちづくりセミナーの二日目。それぞれが持ち帰った宿題を持ち寄り、シャトー赤柴という公共施設をどのように利用するかのアイデアをまとめ上げるワークショップを行い、午後は行政の職員さんたちの前でそれを発表するという、なかなかにハードな一日であった。僕たちのグループはそれぞれが勝手に発表するのではなく、皆でまとまって一つのアイデアをまとめ上げるという手法を取った。ゆえに少々内容には無理もあった。でも様々な考え方が一つにまとまる過程での学びも多かったように思える。

公共建築というのはすでに誰か一人のエゴで作る時代ではない。これは間違いの無い事実だ。こういうことを間違えると、豊洲のような喜劇も生じる。建築がこれからの時代に数少ないながらも作られる意味があるとしたら、ただ単に箱モノが作られるのではくそれを利用する町の住民の意見やアイデアのもとに、必要最低限のインフラとして整備されるというような形が望ましいのであろうし、そうでなければ資源を持たない小さな国の財政などあっという間に破たんしてしまうはずである。今回のワークショップでは初めて町の設計者たちとの合同での活動というものを体験した。そしてそれに対する意味も感じることができた。僕にとってはそれが一番の収穫であったように思える。

2017/02/09

朝礼終了後、埼玉県東松山市にて計画中のKさんの家の打ち合わせ。今日は第2回目の実施設計打ち合わせである。リビング・水回りを中心としてあらかじめデザインしてきた図面や模型をご覧いただくと、特にリビングのデザインについてとても喜んでいただけたようである。

担当の渡辺も心から喜んでいる。それもそのはず、僕たち設計者にとってはこうしてクライアントに喜んでいただけることが何よりもやりがいとなるし、まさに住宅を手掛ける意味であるように感じる。そもそも工事費が安く、設計料も安く、でもやることがとても多くて仕事としては決して割に合わない住宅に身を置く設計者というのは、このクライアントとの直接の関係が好きでやっているのだ。目の前の誰かに喜んでもらうことができる仕事を一生やっていきたいというのが僕たちのモチベーションなのである。

先日石山修武先生に分けていただいた広島ハウス・イン・カンボジアのイメージスケッチが送られてきた。この絵は2000年に描かれたもの。石山修武氏の代表作である建築のイメージとあって、僕にとってもすごく意味のあるものとなる予感がする。このますいいリビングカンパニーという会社は、僕が戸田建設に在職中の西暦2000年に、約2年にわたり早稲田大学の石山修武研究室に足を運び、今の世の中に「こんな形の家づくりが行える組織があったほうが良いな」と思えるような体制を探し出し、先生の力をお借りして考え出したものである。以来石山先生には顧問として関わっていただいている。顧問といってもどこかの天下りの人たちみたいにお金をせびることなど全くない、純粋な理念としての顧問である。だからこそこの絵が僕にとっての大切なものになるような気がするのである。

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夜、地元の経営者の団体会合に参加。久しぶりの仲間と酒を飲む。何年たっても変わらぬ仲間というのは良いものだ。

2017/02/08

朝礼終了後、埼玉県の寄居町にて進行中のMさんの家の現場管理。すでに大方の工事を終え、引っ越しも済んでいる状況の中、今日の作業はウッドデッキのセルフビルド塗装工事を行った。土田君と二人で行うこと約2時間、久しぶりのセルフビルド作業になかなかすがすがしいひと時であった。

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終了後、埼玉県富士見市の土地調査。購入を検討している土地を探すこと約30分、正確な住所がわからない中での土地探しはなんだかゲームをしているみたいで楽しいものだ。通りすがりのおばさん、たまたま見つけたお巡りさんに助けられ、目的の場所にたどり着いた時には何とも言えない喜びの状態であった。土地は小さな公園に面する土地で、とても眺めの良い場所であった。南西の借景を眺めながら豊かな暮らしができそうな、そんな土地であった。

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続いてすぐ近くにて工事を進めているTさんの家の現場管理へ。今日は足場の解体ということで、現場に着くとすでに作業を終えている状況であった。足場の解体の瞬間というのは家づくりをしている中で本当に楽しみな時である。模型で検討してきた建築の姿が初めて露になる、そんな瞬間なのだ。黄昏時、土田君と二人でしばしの鑑賞。続いて現場の掃除をして帰事務所。

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2017/02/06

朝礼終了後、各プロジェクト打ち合わせ。

10時より東京都世田谷区にて設計中のKさんの家の打ち合わせ。実施設計中盤の打ち合わせということで、仕上げの素材や各所のおさまりなどについてのお話を進めさせていただいた。

14時、新宿パークタワーにて「美しい日本のエコ住宅」シンポジウムにスタッフ全員で参加。パネラーの先生方の様々なご意見を伺いとてもためになるひと時を過ごさせていただいた。伊礼智氏や堀部安嗣氏といった著名な建築家の話は僕たちの思考の方向性を調整するにもとても良い指標となるはずである。僕を含めて皆が設計者としての成長の機会を得ることができたであろう。

2017/02/05

午前中は家の掃除などを済ませる。受験の関係だろうか、珍しく息子も家にいて、子供たち3人はそれぞれの勉強をしている。

午後、茅場町にて「食べ神様の不思議なレストラン」を家族みんなで見に行く。このインスタレーションはモーメントファクトリーというデジタルアート集団によるもので、今回は和食をテーマにした内容となっている。古い空きビルなのだろうか、はたまた改修工事のはざまの建物であろうか、利用されていないビルの利活用のような形で行われているイベントだ。

映像によるインスタレーションがなんの装飾もないがらんどうの建築と結びついたときどのような空間が生まれるかを見ていると、映像による建築の新しい姿というものの可能性を感じたような気がした。つまりは内装の一部としての映像の利用とか、映像を利用した空間イメージのコントロールとかが、建築の世界に浸透してくる気配を感じたのである。一部の先進的な取り組みが、一般的な世界に入ってくるときには、そうでなければいけないとみんなが思うような利便性や仕組みがきっかけとなる。洗濯機やらテレビやら自動車やらが人々の暮らしに浸透した時にはきっとそういう何かがそれぞれに存在したのだと思う。映像が建築に浸透するとしたら・・・そのきっかけは何だろうか。それも大型商業施設のような特別な空間ではなく、人々の普通の生活の中に入るとしたら。そんなことを考えていたら、映画トータルリコールでアーノルド・シュワルツネガーが大きなテレビ画面に向かって話しかけると、今でいうAIで制御された住宅がいろいろな行動を起こす場面を思い出したりもした。

こうしたインスタレーションはまだまだ特別なものであるけれど、でも少しずつ現実と仮想現実の世界が近づいてきているような気がしてならないのである。使っていないビルを真っ黒な布で覆って、そこに映像を投影している様子を何百人もが見に来る様子。装飾を排除したモダニズムの時代から、さらなる暗黒の建築へと進化するのであろうか。暗黒の建築につくのは無数の映像となるのか。そこで人間はどのように過ごすのであろうか。

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なんだか意味なく沈んでいく思考にはまってしまった。現時点ではあっけらかんと新しい技術のイベントとして楽しめばよいのに。

終了後家族みんなで日本橋まで歩く。そのあとは日本橋の三越へお散歩である。先進的なものを見た後には食直しに歴史的なものを見たくなる。そして僕にはこっちのほうが向いていると改めて思うのである。

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2017/02/04

朝礼終了後、打ち合わせの準備。

10時、埼玉県久喜市にて設計中のIさんの家の打ち合わせ。周りを住宅に囲まれる土地に新築住宅を検討しているということで、今回はCGを用いての日照検討を主なテーマとする打ち合わせとなった。模型に光を当てての検討などに比べると日時を指定してのリアルな画像を見ることができるのでよい。周りを囲まれる土地に設計を行う時には、空に対して開くということが常套手段である。そこで今回の設計では大きな中庭のあるこの字型プランを作成することにした。さらに建物内部に光を取り込む工夫として、平屋部分のリビングの上に棟屋を設けることにした。この棟屋には東・南面に開口部が設けられ、より積極的に光を取り込むようにしている。中庭型のプランということで、プライバシーの確保にも配慮している。出来上がるのが楽しみな住宅である。

14時、東京都練馬区にて設計中のKさんの家の打ち合わせ。今回は2回目のプレゼンテーションということで、前回に引き続き江崎と土田の二人から1案ずつご提案させていただいた。つまりは小さな小さな社内コンペである。Kさんは建築系のお仕事をされている。つまりは自分で自分の家を考えることができる人である。だから今回はKさんご自身で作成されたプランを奥様に対してプレゼンするということも行うことにした。つまりは僕たちと一緒に提案する側に回ったのである。クライアントも含めた3人でのコンペ、何とも楽しい打ち合わせの時間であった。

ますいいリビングカンパニーは「自分の家は自分で作る」ということを大切にしている。僕が初めて建てさせていただいた家は水道屋さんの家だった。水道やさんなのに大手ハウスメーカーでは自分で水道工事をやらせてもらえない、でもますいいならできるということで僕に家づくりを依頼してくれた。以来、ゼネコン・組織設計事務所、ハウスメーカー、都市計画事務所、デザイナー、アーティスト・・・ますいいのクライアントの約半数は建築やデザインを仕事とする人々、つまりは自分の家を自分で作ることに挑戦したいという心と、すべては無理だけれど一部分を考えたり行動したりすることができる知識や技術を持ち合わせている人たちであるのだ。今の時代に家を作る意味があるならば、やはり個人の強い意志の表現、本当の意味での自分の家を作ること以外にないのではないだろうかと思うのである。

2017/02/03

朝礼終了後、埼玉県川越市にてリフォームの設計をしているSさんの家打ち合わせ。Sさんの家は築50年程度、先日一般的な耐震診断を行い耐震強度が0.19程度の結果が出た住宅である。2000万円ほどの予算をかけて構造補強も含めた全面的な改修工事を検討しているのだけれど、この耐震診断の結果では既存の住宅があまりに弱すぎる。ということで今日はプランの打ち合わせに加えて、詳細な建物調査を行うことにした次第である。

Sさんのお宅にお邪魔すると、設計担当の江崎がプラン打ち合わせを開始。その一方で僕と鈴木、そして橋本の3人で詳細の調査を開始した。

まずは2階の床の畳を上げてみた。畳を上げると古い住宅の場合はその下に写真のような板が現れる。この板は根太に釘で固定されているので、根太の上で切ると簡単に外すことができる。まずは一か所を外してみて中をのぞくと・・、1箇所目は何も探すことはできなかった。続いて隣の畳へ移動。すると外壁側に1階の筋交いを発見である。さらに移動するともう1本発見。2本の筋交いを目視できたことで思わず歓声を上げる。

耐震診断では見えないものはないことにする。でも本当はそこに筋交いがあったのである。これらの筋交いは建築当時の図面に点線で表記されているのだけれど、それがあったということはほかの数本もある可能性が高いと予想される。見えないものはない、という安全側の診断を行うことは当然正しい手順なのだけれど、その方針のおかげで実際よりも弱い数値を見せられて驚くクライアントが多いのも事実である。新築のごときのリフォームを行うことを売りにする会社など、サービスのような耐震診断を行い何も見ないで耐震壁がないことにして、結果とても弱い住宅であるという過剰な不安をあおるという営業手法が横行しているようでもある。

しかしこれではクライアントは何を信じてよいのかわからない。だからこそ、このように詳細な調査を行い、図面に記載されている筋交いの一部が目視できたことでほかの筋交いの存在を強く予想できるときは、筋交いが存在する場合の強度を解析して、リフォーム全体の設計や見積もりを進めるほうが、耐震工事に関するコストを大幅に抑えることができるわけなので、やはり見ることができる部分は多少の解体工事を行ってもしっかりと設計者自身の目で確認するべきなのである。

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畳を上げると外壁際にネズミの糞がある。なぜこんなところにあるのかと思ったら、その外壁部分の裏側は雨戸の戸袋になっていた。古い住宅の場合、雨戸の戸袋の中は仕上がっていないことが多い。クライアントに話を聞くと毎年この部分にはヒヨドリが巣を作るとのこと、そしてネズミさんもたまに来るというわけである。戸袋の中を覗き込んでみると・・・またもや筋交いを発見した。戸袋の筋交いは目視できるということだから、さっそく2階の戸袋をすべて点検すると、合計4本の筋交いを見ることができた。まずまずの成果である。耐震診断の数値もこれで倍増することであろう。

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続いて床下へ。床下に潜るとこれはこれでいろいろなことが見えてくる。土台の腐り具合を見るとそんなにひどくない。一部にカビなどが見えるけれどスカスカに腐っているところは無いようだ。数回のリフォームを経ているので、新しい部分の床はとてもしっかりしている。古い部分の床は根太から交換したほうがよさそうである。外壁周りの足元について基礎と土台、そして柱をつなぐ補強を行うこと、外壁側の足元を構造用合板で固めることが有効なように思えた。

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耐震補強を伴う設計に先立つ調査とは、まるで人間の健康診断のごときである。目視、予想、を繰り返し当時の大工と対話しながら建物を読み解く。調査の途中、おそらく新築当時の大工さんのものと思われるのみが天井の中から出てきた。腕の良い大工と評判の人だったらしい。なんだか本当に対話をしているような気持ちになった瞬間であった。約3時間、3人がかりでの作業を終えて4人で事務所に帰る。帰り際に遅めの昼食、美味なラーメンであった。

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